
こんばんは。
油圧おじさんです。
エンジンブロック直で油圧を測った際に高回転で油圧がタレてくるように見える理由を実データどシミュレーション結果から考察してみました。
FA24でも同じなの?ととても気になってました。
■先に結論
エンジンブロック直で油圧を測った場合は、
エンジンのリリーフバルブ(油圧ほぼ一定)
→ 中間径路の圧損
→ 計測ポイント
となり流量が多い高回転&圧損が大きい高粘度(または低温)で特に下がって見えるのではないかと思います。
この図の黄色い径路あたりが中間径路。
以下今回の結論に至ったデータとシミュレーション結果です。
■油圧センサの場所
今回は下記の2か所で測った結果を比較します。
対象のオイルはGR0W-20CircuitとGR5W-40Touring
フィルタにサンドイッチブロックで測る方法。
スロットル付近のエンジンブロック直で油圧を測る方法。
ちなみにエンジンブロック直で油圧を測ると波形がギザギザになるのも油圧(油量)消費が変動した際にそれを吸収するリリーフバルブが径路の手前にあるからその影響がダイレクトに出ているだけなんだろう思います。(この部分は今回のシミュレーションでは検証してませんが)
■実データ
横軸rpm
縦軸油圧(100kPa)、線は平均値
0W-20@オイルフィルタ
0W-20@エンジンブロック直
5W-40@フィルタ
5W-40@エンジンブロック直
■平均値の比較
フィルタ部分はレブリミットまで上がり続ける。
0W-20@フィルタ vs エンジンブロック直
5W-40@フィルタ vs エンジンブロック直
硬い5W-40の方はエンジンブロック直が若干垂れてるように見えなくもない。
全部
0W-20@フィルタ vs エンジンブロック直
5W-40@フィルタ vs エンジンブロック直
硬いオイルを入れると柔らかいオイルより低下するなんてことはありませんでした。
高回転側の油圧差はオイル粘度によらず約-100kPaですね。
硬い方がもっと差があると思ってました。
オイルクーラーを入れると実線は上がるけど
点線部分は下にずれるはず。
オイルクーラーの圧損でリリーフバルブにかかる圧が下がるため。
■シミュレーション
赤丸で囲った部分の油圧を測った結果が下のグラフです。
追記2024/06/24)
リリーフバルブの位置が違う!
ポンプの直後。モデル要修正
※油圧径路の向き(下から上へ)の影響はは油圧の単位数100kPaに対して微々たるものなので無視してます。
リリーフバルブで油圧一定
それより手前のフィルタでは流量増加に従い圧損が増えるので油圧も増加。
逆に下流のエンジンブロック直は圧損分油圧が下がる。
計測した結果に近い。
中間径路の圧損を少し減らすとクランク側に分岐後の油圧はリリーフバルブ直後の油圧に近づきます。
■あとがき的に言い訳
グラフの縦軸は敢えて隠してます。
適当なシミュレーションなのに画像で値だけが独り歩きするのは避けたいと思ったからです。
ちなみに
このモデルは温度一定のアイソサーマルリキッドというタイプのモデルなので
クランクメタル周辺の温度上昇の影響などは無視してます。
(その分別の細工をしました)
また、傾向を確認するための平均モデルなのでR/Lバンクの油圧回路もVVTの動作タイミングなどは考慮してません。
油圧径路の長さや圧損も適当な値ですし
もっというと、リリーフバルブですら適当な特性です。
キャビテーション、エアレーションの影響も無視してます。
油量だけで説明がつくのか知りたくてモデルを使ってシミュレーションしてみました。
厳密な値は実験値から合わせ込みが必要なので、
適当な値しか設定できないというのが正直なところです。
仕事でモデルを組んでる人からしたら突っ込みどころだらけだろうと思います。
もし見られてたら正直恥ずかしい。
ただ、どこで測ると何が見えているのか?という点は少しクリアになったかなーと思います。
次の興味は「エンジンブロック直で測った際の波形のヒゲはクランクの回転に同期しているのか?」です。
分かったところでチューニングには全く効果はないですが、知りたいことが知れると少しすっきりして フフフ となる。
そんな感じです。
Posted at 2024/06/24 09:46:58 | |
トラックバック(0) | 日記