
MarshallのBluetoothスピーカー、
小さい方Emberton II と
大きい方Middleton を購入。
視聴がとても楽しい。
前回はジャズ〜フュージョン畑を試したが、今回はもう少しポップな方向で。
ポイントは、以下の3点。
・全体的にバランスが良いか
・小さなスピーカーなのに低音が出るという触れ込みは本当か
・元気さ、パンチ、キレ、フレッシュネス
ここまでで、全体的には元気でパワフル、スピーカー口径が小さいながらもそれぞれのモデルが想起させるよりはよほどに下に伸びるように感じさせる低音が印象的。豊かでboomyではなく、節度感あるが質の良い極低域を伝えてくるように感じる。
中高域は、小さなEmberton II の方がよりフレッシュ。大きなMiddletonの中高域は、それよりはやや透明度が下がる。聴き比べると明らかに差があるが、単独で聴けばそれぞれにバランス良く聞こえる。
MORELENBAUM2/坂本龍一のアルバム「CASA」から、BONITA。
ブラジルのモレレンバウム父娘(チェロと歌姫)と坂本龍一のピアノによるとても穏やかなボサノバ。
お洒落カフェでそのまま流れていそうな曲たちはどれも素敵なのだが、中からBONITAを選んだ。
冒頭の海沿いを思わせる環境音、コシのあるチェロの箱鳴りや歌姫のシルキーハスキーなボーカルがスピーカーを試す。
おもしろいのは、どちらのスピーカーで聴いてもいい感じなんだな。
小さなEmberton II の方が透明感を、大きなMiddletonの方はチェロやピアノの逞しい部分を特徴にしながらも、音のまとまりというのは甲乙つけ難い。アコースティックな楽曲が得意なのか?エレキギターの印象が強いMarshallなのに。
坂本美雨のアルバム「DAWN PINK」の1曲目、ひとつだけ。
北海道、雨の支笏湖畔。車内でパソコン仕事をしながら掛けていたFMから流れてきた。その瞬間、「あれ、サカモト節?」と手を止めて聴き入った。曲のクレジットは聞いてなかったんだよ。
手数少なめなのに味わい深いメロディー、お洒落テクノな音色とリズムセクション、柔らかく意表を突いたコードワーク。
そしてボーカルが始まった。あらお洒落でかわいらしい。
そのうち、フニャフニャしたバックコーラス。矢野顕子だ!
もうね、確定。坂本美雨。なんだ、パパとママにプロデュースされてんだ?
調べたらファーストアルバムなんだね。
坂本美雨のクリアで情感控えめなボーカル、そしてややミュートを掛けたwowギターの小気味いいバッキング、これは小さなEmberton II の方が素敵にデリバリーしてくれる。
楽曲としてリズムセクションが前に出ない音色で構成されていることもあり、Emberton II の勝ちだ。シンセベースだけは惜しいのだけれど。おもしろいもんだな。
しかしここにきて、2台のスピーカーに向き不向きが見えてきた。
ジャズとろけちゃう一曲、
野崎良太の不思議ユニット、Jazztronikの七色。
KORGのシンセ、01/W pro をしゃぶり尽くすように触っていたという彼のエピソードを知り、ボクが学生の頃にメインで同じ機種を使っていたこともあり「負けたな」と思った、というのは今ここで初めて外に語った。なんの勝負やねん。
先の「ひとつだけ」と同様女声テクノなワケだが、不思議とこちらは大きめなMiddletonの方が心地よい。
曲によって目立つ周波数帯の違いがあり、それがスピーカーの周波数特性に合うとか合わないとかの問題か。透明感のある小さなEmberton II に、七色のボーカルが乗りすぎているとか、シンセハイハットの「チキチーチキチー」がうるさ過ぎるとか。
また、バスドラムとうねるベースラインも大きいMiddletonの方が音ノリが良い。Jazztronicのようなクラブジャズ的な曲は、やはり低音の迫力が気持ちいいから、だね。
不思議ユニットといえばこの人。
超敏腕プロデューサー
冨田恵一の不定形ユニット、冨田ラボ。
アルバム「7+」からHOPE for US。
2歩先行くユニット「キリンジ」やMISIAの「everything」をさらっと作り出す、全てを分かってる音楽脳の持ち主、冨田恵一だ。
HOPE for US は、男女ボーカルやRyohuのラップパートを含む、楽器リッチな16ビートのやや横ノリソウルチックな気持ちのいいナンバー。
イントロがおもしろい。
アタックがシャープなパーカッションでスタートし、男声女声でセリフが差し込まれ、クリアなピアノとオルガンのトレモロ、そしてスネアが「タタタトタトン」。
ここまで13秒のイントロは歯切れよさ、キレ、透明感明瞭感が心地良いので、小さなEmberton II が間違いなくハマる。
ところが本編に入るとやや跳ねたり揺らぎのあるウォーキングベースが歌い出す。低音の魅力、大きめのMiddletonの出番だ。
しかし変化の大きな楽曲なので、部分部分で「ここはMiddletonがいい、あ、ここではEmbertonか」とフラストレーションが発生。
どうも、楽曲がボーカル物だったり電子楽器リッチだったりすると相性問題が出てくるのかも知れない。
一台しか持ってなかったらそんなことを思わないんだろうけれど。
ところで、

MarshallのBluetoothスピーカー、スタックモードというのがあるらしい。
これ、同一機種前提の書きようであるが、もしかしてEmberton II とMiddletonで出来たりしない?

取説を見て、チャレンジ

おお、bluetoothのLEDが両方とも点灯!完成だ!
やってみるもんだな。
肝心の音だが、こりゃちょっといいんじゃない?
上から下までしっかりと出て、さっきまでの不満はほぼ解消だ。
現状の正解にたどり着けた感覚だ。
やや濁りが出た気もするが、スピーカー配置や向きの工夫でなんとかなるかも。今後のトライアンドエラーで試してみよう。
次は、
TWEEDEESの「Béret e.p.」からBéret Beast。
先の冨田恵一に比類するミュージシャン/プロデューサーの沖井礼二は、ポスト渋谷系とも言われたCymbalsでサウンドプロデュース面の大黒柱だった人で、今では「沖井節」とでも言えそうなクセ強、しかし上質な楽曲を丁寧に作っている。
ボーカルの清浦夏実は戦前の総理大臣 清浦奎吾の玄孫(孫の孫)にあたる。それはともかく努力系ボーカルなのは間違いない。
どうでもいいな、それは。
ノリのいいエレクトリックハイハットやスネアのバッキングシンセのザラつきが、元シンセ使いのボクにはとても気持ちよく聞こえる楽曲なのだが、小さいEmberton II の強く出る周波数帯域にハマるのか、やたらとうるさくて萎えるんだ。
かといって、大きいMiddletoxだと、伸びやかなはずのボーカルが少し影をまとってしまう。
どちらのスピーカーでもやや物足りない残念な結果に。
今どきのスピーカーが、今どきの楽器リッチ・電子音リッチな曲で輝きを失うのか?
みんな大好き
鹿乃(かの)ちゃん、アルバム「Yuanfen」からエンディングノート。
あ、鹿乃、知らない?
あざとかわいいロリ元気キャラのYoutuberとか歌い手とか中国人から巻き上げプロとかやってる鹿の妖精。
そしてサウンドプロデュースは、神戸大学卒の田中秀和。そのスジではヘンタイ呼ばわりされているが、多分に賞賛の要素を含んでいる。詳しくはググられたし。
それはともかく、幅の広い作風というか引き出しの多さでアニメ・ゲーム・Youtubeなどの二次元メディア系に多数(ホントにたくさん!)の楽曲を提供してきた田中秀和作品の中で、ボクが最も好きな曲。
割と王道のポップス、生音多用。雰囲気・空気感を味わいたい曲。
これもね、先のbéret beast同様、それぞれのMarshall一つずつで聴いたら、やや中途半端なんだ。
帯域にハマって聞き苦しいということはないけれど。
でも、ここに来て二つのMarshallをスタックさせて鳴らすのが楽しくなっちゃうんだな。大きなMiddletonで曲の太い足腰や空気を作り、小さなEmberton II で鹿乃の高めでややハスキーなボーカルの色ツヤとかピアノのキメのアタックなどが俄然華やぐ印象。
普段はMarshallスピーカー二つを同時に鳴らして楽しみ、ポータブルで使いたい時はその時々の気分やニーズで好きな方を持ち出す。そんな使い回しであればサイコーかも。
ボクはハードロックやヘヴィメタルは聴かない人だが、Marshallである以上エレキギターギンギンな曲も聴いとかないとね。
レッチリみたいに乾いたギター、U2みたいな湿度の高いギター、いろいろあるだろうけど、これを聴いてみた。
言わずと知れた
Guns N' RosesのWelcome to the Jungle。
久しぶりだなぁ。中学生の頃の曲か。
ボクがカシオペアとか坂本龍一に傾倒していく頃、弟がこっち方面ばかり聴いていた。
ボクが「ヘビメタ」と言うと、弟から「ヘヴィ・メタルや!」とたびたび怒られたものだ。
Marshallのスピーカーで普通に聴いていると、あれ、こんなに普通なの?曲がもう古くなったということか?と、少し寂しく感じた。
いや待て、ヘヴィメタルは大音量やろ。ということでボリュームを上げると、俄然輝きを放ち出す。
小さいEmberton II も大きなMiddletonも。
ああやはりMarshallはMarshallなんだな。
「悦子の母乳だぁ、ファッ!」
え、知らない?
空耳アワーですよ。この曲のエンディング。
これは、空耳ではない。断じて。
ということで、シロウトがごちゃごちゃ書いてきたが、Marshallの Bluetoothスピーカー、店頭で一度聴いてみてくださいな。驚くはず。そして、欲しくなるはず。