6/20、続きから。
知床半島横断道路を初めて走る。
ところどころにタイトコーナーを有するが、基本的にはとても状態のいい峠越えのスカイラインだった。
峠は標高738m もあるそうで、北の果てという気候の厳しさも合いまって、本州であればかなりの高原を走り抜けている気分になってきた。
そして、これ。
うわぁ、リアルくま王国に侵入してしまった感がヒシヒシと。
どこかで見てみたい気持ちもあるが、最近話題になった、クルマに突進してくるヒグマの動画が頭をよぎる。あれは、こえぇ。
そして、今夜の宿。
その名も、「地の涯(ちのはて)」。
これより奥には道路は無い。
そんな知床半島の奥地の宿、魅力の一つが野趣あふれる露天風呂だ。
露天風呂は二つあり、一つは混浴露天風呂。
混浴ですと!?
魅惑の響き。
もしかして初体験かな。きっと、そう。
ただし、水着に似た湯浴み着を求められるが。
画像の奥側にも浴槽は広がる、知床の自然を感じさせられる露天風呂。
そこでね、見たんだよ。
例えば、こんなの。
お掃除用のホースが無造作に置いてあった。
んー、こういうのはお片付けしとかないと。
そして、あっちにも。
ね、壁面に白いホースが垂れてる。
あれ、でもなんか違和感。
うひー!
まさに、ホースの補強ワイヤーネット!
天然の蛇の抜け殻、しかもこんなサイズは初めてだ。
あなどれんな、知床。
お持ち帰りしたら、大金持ちだぜ!!
持って帰れなかったけど。
ちょっと気持ち悪かった。
それと、もう一つの露天風呂は、コイツだ!
分かります?
三段の浴槽。上から見てる。
こちらは、下側から。
林の中というか、知床の森の中に位置するこの湯船に浸かっていると、裸の人間が自然の中の一部であることを意識せざるを得ない気になってきた。
そして、まさかのクマさんが現れたとしたら、なす術のない自然弱者であることも理解させられた。
小鳥のさえずりやキツツキのマシンガンヘッドバンギングの音を聴きながら、三つの湯船を行ったり来たり楽しんだ。
でもね、一番上の湯船は熱かった。
下に流れるにつれ、湯温が下がるんだ。なるほど、そりゃそうか。
風呂でご一緒したおじさんと話した。
なんと大阪からだそうで、こんな遠くで神戸と大阪のオッサンが温泉トークかよ。
それはさておき、年に一度、知床の山を歩きにやって来ているとのこと。
数人ずつのパーティに分かれ、20分おきに出発して自然の危険に配慮しているらしいが、自分の班が歩いているときに遠くにヒグマを発見したとこのと。
トレッキングはそこで中断、撤退。
他班にも無線で連絡を入れ、対応を求めたとのこと。
うん、ここはまさに安易に分け入るべき場所ではないんだな。
6/21
朝食は、ここでもイクラ掛け放題!
先日のドーミーインのイクラより、より粘度の大きな濃いイクラ。
ああ、出汁を掛けてすすりたい!
とても美味しくいただきましたが、これだけイクラばかり食べてると、ありがたみが薄れてきていかんなぁ。
この日の行動目標は、オホーツク海沿いを駆け抜けて、夕方までに豊富温泉にたどり着くこと。
まずは、サロマ湖沿岸の北勝水産直売所。
売店では、この冬に買って感動したツブ貝の冷凍を自宅のJKに送りつけ、
ホタテフライバーガーは外せないところだ。
そんなに空腹でない息子と2人で、これまたシェアして食べることに。
広すぎて撮影に資する引っかかりのないサロマ湖だが、へぇ、そんなところがあるんだ?
サンゴ岬というポイントだそうで、Googleマップで見つけた。
マップ上では道はないが、未舗装路を辿れば行き着けるらしい。
あえて行き方は書かないので、興味を惹かれた方はサバイバルラリー的に探して行ってみられたし。
しかし、雨天。
ただ撮っただけの画像を一つ。
サロマ湖畔のワンシーン。
こんな貝殻の山が散見されるのも、らしいなぁ。
昨冬の第二の郷、紋別。
息子は初めて見たことになる、コイツが懐かしい。
夜になると、妖し七変化する巨蟹だ。
手前の草花は、ラベンダーにしては逞しすぎる。
調べたら、ルピナスというそうで。
Lupinus。
語源は Lupin ルパン という説もあるらしい。
ほら、夜はいろいろと化けて出る。
ここからは豊富を目指してひた走る。
白鳥の湖として有名なクッチャロ湖から内陸部に折れ、鹿だらけの寂しい道道84号線を経て、到着したのは、
ここ、豊富温泉スキー場!
コンパクトながら素直なうねりによって滑走者ごとに好みのラインを選べる練習スキー場、しかも全国有数の際立った泉質を誇る温泉付き!
次の冬には是非参戦したいその理由は、まだ他にもある。
みんカラスキー界の隠れた大御所先生のサブゲレンデでもあるからだ。
この日、どうやらご都合が合いそうだったので、半年振りにお顔合わせが叶った。
極北スノーエクスプレスとのランデブー
10分ほど歓談させていただき、握手をしてお別れしました。
冬は、こちらでお世話になります!
その後、ゲレンデ隣のこちらへ移動。
まさに、地方地域のふれあいセンター。
アットホームな食堂に温泉施設を完備した町の憩いの場だろうか。
ここで、今夜の豪華ディナー!
そば、うどん、ラーメン、カレーに混じって、なんと!
普通の羊肉ジンギスカンだけでなく、エゾシカのジンギスカンもいただける。
しかも、このお値段!
2人ともそれぞれを1人前ずつ頼んだよ。
奥がラム、手前の黒っぽい赤身がエゾシカ(鹿ソーセージ付き)。
それぞれ2人前ずつです。
脂控えめなイメージのラム肉だが、鹿の前には脂感が増して感じられる。
食べ比べの妙ですな。
鹿肉、いつも書いているが、火を通しすぎたら焼いたレバー的な食感とニオイが気になるので、できるだけ控えめに火を通したい。
ただし、ごく稀にE型肝炎ウイルスがいたりするので、生肉は勧められない。美味しいんだけどねぇ。
いずれにせよ、息子ともども満腹満足、安価な豪華ディナーになった。
そして、食堂横の通路から温泉へ。
石油系温泉として知る人ぞ知る湯治の湯。
更衣室へ入った途端、灯油に近い鉱物油のニオイが鼻をつき、このクセの強さに嬉しくなってしまう。
一般向け浴室と湯治向けの浴室に別れていて、その本気度が伺える。
石油系温泉では、新潟は新発田の西方の湯に入ったことがあるが、あちらはかなり熱いお湯で、長湯は難しい。
それに比べると、こちら豊富の湯治用浴槽では2時間でも入り続けられるような設定になっている。
かなり派手な刺青をまとったお客が2人いて、はじめはギョッとしたのだが、あ、そうか!
アイヌの人なんだね。なるほど。
近年、トライバルタトゥーという呼び方で、全世界の各民族に伝わる刺青に対して敬意を払って理解しようという潮流も見られるが、ボク自身はそういう地域性や民族性の表現に触れること自体が旅の喜びだと考えているので、実にいい機会だった。