
10/7 知床半島でクマ撃ちのオッサン

4:45、微妙な朝焼け

少し走って明るくなった頃、標津の漁港は既に帰港した船で賑わっていた。

そのまま羅臼に向かう途中の、有名廃墟ニコライ亭」

羅臼国後展望塔

羅臼の港町と

知床半島のその先を望む

とりあえず行けるところまで行ってみようか

ヒグマを撃ちに。

瀬石温泉、海際わの塩水か?

まあ、風情はありますな

その先にも海岸温泉が。
なかなかの密度、なかなかの熱い半島だな。

海岸に降りていくと、湯船が。
浸かりはしないよ。

泡がぽこぽこ。
触ってみたら、これはちょっと熱いよ!?
海水と混ぜないと、ね。

キタキツネが闊歩していたり

OUT RUN 的な滝があったり。

そして、車道はここまで。

この先、クマ高密度につき自己責任。
3kmくらい歩きましたよ。

傾いた番屋、ただしたまに人がいる。

国後島を眺めながら住んでいるのか。
ヒグマは見つからなかった。
さて、知床峠経由、ウトロを目指すぞ。

今や有名となった秘湯、熊の湯。
ものすごい蒸気だ。熱い。

峠は霧でした。
さて、これから本気のクマショットに向かう。

この季節、トラウト類の遡上ゆえに、河原がクマスポットとなるそうだ。

ホロベツ川河口。

濃厚くまゾーンらしい。

川登りを狙う、河口のトラウトたち。

橋上から望むと、

おーー!

いるいる!
クマはいない。

沖にはオーロラ号。
月曜なのに、客満載だ。

岩尾別温泉、三段の湯。
今年6月に息子と入ったが、やや泥くさいんだ。
この時、水着着用したイスラエル人の男女が入っていて、
「キャナイフォトヒア?」
と声を掛けたら、お二人そろってイエス!と答えてくれた。
でも女性は岩陰に隠れちまったけどね。

さて、こんどはイワウベツ川の河原だ。
カメラマンが5〜6人出待ちしている。クマさんの出待ち。

渓流釣りなんてする人も。
まあでも主役はそう簡単に現れるもんじゃない。
ボクは川沿いをクルマでゆっくりと2度ほど往復して、藪の中に目を凝らしてみる。
藪の中の黒い岩や木などが全てクマに見える病気にかかった気もする。やっぱりいないね。
先ほどの出待ちスポットに向かってあと300mくらいかな。時速5〜10キロ程度でノロノロ転がっていたところ、100mほど離れた正面に黒いモフモフがどこからともなく現れ、そして河原側の藪に消えていったんだよ。腰とお尻と後ろ脚程度しか見えなかったんだけど、確かにクマ。
えええっ!?
この時、どうせ見られないんだろうなという思いがほぼ支配的だったこともあり、突然起こったことに理解が追いつかない感覚。
次に、撮影できなかったことを悔やんだり、まあでもあれじゃどうやっても撮れなかったよなぁとか、ドラレコまだ装着してないよー、早くつけときゃ良かったとか、いやでもドラレコ画像じゃあねぇとか、まあそんな感情がぐるぐるループした。
そして最後に、いやいや直接生で見られたこと自体に喜びを見出すべきだよな、と納得することにした。
それからカメラマンの隊列に参加し、おしゃべりした。そちらからも見えました?
「私が最初に見つけたんだけどね・・・」とか言うおじいちゃんカメラマン(笑)は常連らしく、今までの武勇伝を聞かされたりこれまで撮ったクマ画像を見せてもらったり。
おおこりゃすげぇ!これ、ここで?
そうそう、日によって出ないこともあるし、3〜4回出てくることもあるんだ、と。
この時、午後4時。日没は近い。東の果てだからね。
もう、今日は出てこないかな、帰ろうか。
そう言ってカメラマン2人残して皆さま去っていかれた。
ボクと残ったカメラマン2人、まあボクもカメラマンなのか、じゃあ3人だ、そして離れたところに白人カップル、聞けばドイツからと言う、計5人が暮れ行く山奥で無言で河原を見つめ続ける。
ボクは、さっきクマをチラ見した上流方向に意識が向くので、そちら側に歩いてみる。うーん、もう、出てこないかなぁ。
そのまま15分くらい経ったか。
別の2人のカメラマンを見ると、あれ?2人そろって大砲をあっち側に向けてるよ?
もしかして!?

いたっ!
しかも2頭!!
お客さん、大興奮ですよ。
かなり暗いので、感度をISO6400まで上げて撮影。

おお、こっちに向いたぞ!
トラウト狩りしてるのかな?

彼らを見下ろす道路まで移動した。
母子のペアだな。

距離、100mはゆうに離れているが、見つめられると背筋が緊張する。
ものすごい、爪!
が、これだけ離れているし、人が複数人いるし、敵対しているふうでもないし、クマは自分たちの仕事に戻ったようだ。

母グマが漁をする、

子グマはそれを見つめて、

マネごとをしてみるようだ。

お、捕まえた!
もうかなり薄暗いわ、動きが速いわ、画像が止められない。

我々と反対側の岸に駆け上り、

2頭でムシャムシャやってる。

我々側の道路には、見事な牡鹿が。
まさに、野生の王国。ヒトの側こそ侵入者だと意識させられる。
なお、ラッコ撮影の機材 Zfcは小さなセンサー、しかも数年前のモデル。超望遠に特化して選んだ。
比して、今回のカメラはZf、フルサイズセンサーの、しかもほぼ最新機種だ。暗視性能は少なくとも現時点のNikonでは最高クラス。
ラッコほど離れた撮影とはならないだろうから、こちらを選んだということだ。
クマ、また戻ってくるかな?念じながら、カメラの感度を上げて試写。
フィルムカメラ時代の感覚を引きずる者としては、感度1600を超える領域はどうしてもエマージェンシーであり、画質は全く期待できないという固定観念がこびりついている。
だが、今この瞬間は画質より瞬間を切り取ることこそ求めたい。
ISO感度を12800〜51200なんていう「本当に使えるのコレ?」という数値を使ってみると、少なくともカメラのモニタ上では「案外行けるかも」と思えた。
よし、行くぜ!

ひーこえぇ

子グマも頑張る

白眼剥いてる

これは威嚇か?100mは切ってるし、こちらは崖上の道路だけど・・・。

母グマの漁を見つめる子グマ

クマ、白眼があるんだね

甘える子グマ
日没後数十分経ち、これ以降は危険だねということで解散した。ドイツ人もおおいに喜んでいた。
ボクも、クマ撃ち初回にして遭遇のビギナーズラック。
しかも、母子熊のトラウト狩りの瞬間という絵になるシーン。
願わくば、手で魚を掬った瞬間の画像なんて撮りたかったなぁ。贅沢な望みかな。
それとカメラ好きとしては、感度51200、600mm f6.3という撮影環境で、この程度の画像を残せたことに改めて驚いている。
少し古いAPS-C機のカメラマンは撮影をやめるくらいの薄暗さだったにも関わらず。
フィルムカメラとは違って、ビンテージよりも最新の機材を選ぶべき時代なのか。
興奮冷めやらぬまま、ウトロまで戻って夕陽台の湯でくつろぎ、この日を締めることになった。
くまくま。
Posted at 2024/10/09 07:55:54 | |
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