
いつも以上に今回の内容は私の記憶や経験や肌感覚で思う所を記事化しました。全てが正しい訳ではない場合もありましょうし抜け落ちている事もありましょうが温かい目で読み進めて頂けると幸いでございます。
それこそ物心ついた今を生きる10代20代の若年層は当然ながら年艇的に「今」しか知らないので絶対的な基準が「今」でしかないのは当たり前ですが、これが年齢を重ねれば重ねる程「過去」を知ることがイコールになりますので現代との比較が容易にできてしまいます。人生経験豊富な方の中には「昔はよかった」とつぶやくように今昔を比べてしまうとそういった感情を抱く側面は往々にして出てくる場合もありましょう。これは現代の若者が中高年に移行したとて同じことで、最も未来が今よりいい状況であれば「昔は悲惨だった」等とつぶやく内容が変わるかも知れませんが結果としてやってることは似通った事が多いことになるでしょう。ただ昔と全く異なる点、それは
今の時代その気になれば昔の情報を容易に収集できるようになった
要はインターネットの普及がそうさせている以外の何物でもないのですが、お家にはパソコンやタブレット、片手にはいつもスマホを持ち何時でもその気になれば瞬時に得たい情報を入手することが可能な世の中になりました。我ら世代で記憶に残る「バブル経済」といった言葉があり、最近でも「中古車バブル」といった言葉がそこらじゅうで聞き及びましたが、そういった時代背景の中でもブーム流行というのは手を変え品を変え形を変え紛れもなく存在した訳です。そんな若年層から見て先人たちが何を求め何を持ち何を大事にしていたのか?を紐解いていくと、
実は本質的な所は時代が進んでいたとしても大きくは変わっていないのでは?と私は感じていますが特に中年代以上の皆様は如何お思いでしょうか?
今回はそれこそ昭和60年代のバブル上昇期から令和の今に至るまでの自動車ブームを振り返りながら流行ブームの変革具合をお送りしていきます。ブームというのは当然に多くの方が追い求めた物や事柄です。ご年を召した方には振り返りとして、過去を知らぬ世代には知識材料としてご覧いただければ幸いでございます。
現代、自動車は一人一台が当たり前の時代を通り越しマイカーを持たない者も増加傾向になりました。都心部はよりその傾向顕著なようですが私のような田舎住みにとってはまだまだ一人一台時代なように感じます。それは、田舎は都心部程公共交通機関の発達が無く何なら減便規模縮小や廃線にまで追い込まれる事業者も存在し車でなければ生活すら困難といった事情もあるからです。最も、自分には何ら影響のない立場からか、原付でいけよ、自転車使えよ、歩いていけよ、なんて相手にするだけ馬鹿馬鹿しすぎる陳腐な戯言を時折聞きますが、多くの人が車移動を必要に迫られ行っている事情も地域によってはありますので勿論中には私のように原付多用派や自転車推進派、徒歩健康実践派等のような方も居るには居ますのでそれこそ選択の自由といったところでしょう。
時代は高度経済成長期から次第に好景気、バブル期へと移行する前の昭和50年代。その頃の自動車は贅沢品の印象や要素が強く一部の軽自動車が多くの市民権を得ていた時代、より多くの人が「マイカー」の所有を夢見で日夜労働に励んでいた頃。その一方、自動車購入に掛かる"税金"は物品税として乗用車で23%から15.5%もの高い税率が設定され庶民がおいそれと手を出せる代物でもありませんでした。この当時自家用車の新車初回車検は2年、まだまだ現代とは異なる時代背景でした。
その後、技術進歩と共に工業製品の品質も徐々に向上してきた側面もあり、昭和57年9月の道路運送車両法改正によって自家用乗用車の初回車検期間が1年伸長、現代と同じく3年になりました。更には自動車にとって見た目の洗練度として大きな転換点が訪れます、それが
昭和58年3月 ドアミラー車の新車販売解禁

それまで実質的に禁止(型式認定の認可の問題で法的な禁止事項ではなかった)されていた問題でミラーの位置一つ変わることで随分と見た目の印象が変わったのを多くの当時世代の方は実感されたことでしょう。
実はこの時も既に今で言う所の「アンチ」が存在、フェンダーミラーでないといけない!といった層も一定数居ました。後に慣れと印象の問題だと普及率から読み取れた訳ですがその後暫くはメーカーオプションとしてフェンダーミラー車の設定も多くの車で確認出来ましたが、ドアミラー移行後は当時でさえ選択される方は少数派、その甲斐?あってかフェンダーミラー(乗用)車は後に多くの方に激レア認定される事も多い希少種としてマニアを中心に好まれたといったお話もありました。
景気の上向き加減も止まるところ知らずな空気感漂う昭和60年代、好況に沸いた街も庶民レベルで羽振りが良くなります。それが、
ハイソカーブーム

上位モデルであるマークⅡ三兄弟が飛ぶように売れた時代の始まり、それまで格下車をお手にされていた方がワンランク上のお車をこぞって求め、必然的に当時からマークⅡクラスをお求めになられていた購買層は更に1ランク上のお車を求める方が多く居ました。ハイソカーも高級セダンに限らず、よりパーソナル感を強めたクーペモデルも存在。その代表とされるのが二代目モデルに当たるトヨタソアラでしたが、ソアラまではお手が届かぬ特に若年層には「デートカー」(既に死言)として二代目から徐々に認知拡大中の当時三代目ホンダプレリュード

日産シルビア等が見た目の洗練度も相まって絶大な支持を得ていました。そんなバブル経済もいよいよ絶頂期近づく頃、一度は耳にした事があるフレーズではないでしょうか?1988年の流行語大賞にもなった
シーマ現象
当時高価格帯とされた400万円辺りからの高級乗用車が飛ぶように売れる様を表現した言葉ですが、シーマに限らずクラウン然り、その後登場するセルシオやインフィニティQ45といった更に格上の超高級車が次々と登場。地元中小企業の社長クラスを筆頭に事務所の隣に高級セダンといった姿は多くお見掛けするように次第になっていきました。実際に現地を見た訳ではないのでにわかに信じ難いことですが、その当時日本一売れる車がトヨタのカローラ。街を走れば必ずといっていい程何台ものカローラに出くわすといった状況は何処にでもあったのですが、兎角都会に至っては某ドイツ製高級乗用車が飛ぶように売れその地域はカローラ同様に見掛ける現象から、
「六本木カローラ」
なる言葉も登場。更には庶民にも外車ブームが巻き起こり憧れの代表格とされるこれもドイツ製高級乗用車を意味する
「子ベンツ」※5ナンバーサイズのCクラスセダンを指す場合が多い
を愛車にするのがトレンドとして、その言葉が当時視聴率を相当持っていたテレビドラマの内容として全国放送される等、その認知度を浸透させていきました。
時代は平成元年、初の消費税(3%)が導入されそれまで掛けられていた物品税が廃止。税率を比較すると明らかにこの時代にお手にした方がお得感があることも相まって更に高価格帯なお車の売り上げに追い風機運が高まります。実は消費税以外にも改正が認められ、それまでの5ナンバーであったり3ナンバーであったりすることで課税されていた自動車税制度が改正、今に続く排気量のみで自動車税区分が分けられる仕組みに変わっていきました。それまでは富の象徴ともされていた「3ナンバー車」が一気に庶民にも浸透、特にミドルセダンとされる三菱ディアマンテ

を筆頭に3ナンバーサイズの乗用車が更に庶民に流れ込んでいきました。
景気がいい、ということは多くの人が余暇や趣味にお金を注ぎ込むことを厭わないといったケースが多くそれが自動車界隈でも成立するのですが、ハイソカーや3ナンバー車が飛ぶように売れ続けるよそ目に「RVブーム」や「ステーションワゴンブーム」も進行。三菱パジェロに代表される本格RV車や、スバルレガシィツーリングワゴンといった車種やその他ライバル車達ももまた飛ぶように売れ絶大なシェアを獲得していきます。

今にして思えばですが、つまるところは「何でも売れていた」時代とも言い換える事が出来るかも知れません。
ただ、そんな好況時代もそう長くは続かないのは今にして思えば誰でも想像がつくことですが、当時はそれこそイケイケドンドンな時代、多くの方がこの状況が破綻することを気にもしなかったのです。そんな迎えた1991年頃から次第に訪れた
バブル崩壊
によってそれまで好況に沸いた経済は破綻、多くの人が実感でき恩恵を受けた夢物語は終焉に向かい今に続く不況となっていく訳ですが、自動車というのは企画から発売までに相当時間を費やすと言われるもの。それこそ当時の多くは新車発売から2年でマイナーチェンジ、4年でフルモデルチェンジと言った具合にモデルサイクルが今より随分と短命。そんな中、新車販売時から既に次モデルの研究開発に着手するとも言われ、つまりはバブル絶頂期に開発された車両達がまだその波を引きずりバブル崩壊後次々と世に輩出されていきます。そんな車たちの中には数多くの名車を生み今に語り継がれる事も多い
自動車黄金期時代

として認知されるのですが、要は開発コストも掛けました、デザインにも勿論コストを掛けより先進的な流線形が多様される車両も多くなりました、装備も充実しこれでもか!と言わんばかりの豪華路線を突き進みました、その結果…
どのお車も当然ながらバブル絶頂期よりも大きく売り上げを落とした
とされています。
そんな現実逃避をしたいにもいよいよ家計にも実感としてそれまでの贅沢三昧が嘘のように転がり落ちる様を体現する我々庶民ですが、自動車についてもバブル崩壊直後辺りに登場した豪華絢爛な物から一気にコストダウンを図ったものにモデルチェンジする頃、素人目にみても陳腐な造りが分かる程の物が多くございました。最も、見方を変えればそれまでが過剰であったともとれる訳ですが、そんな中多くの庶民に慕われる車が平成5年に登場するのです。それが
スズキ ワゴンR(初代)

今に続くハイトワゴン軽自動車の先駆的存在。それまでの軽自動車は室内空間は狭く言うて「軽は軽」等と言った概念が殆どの方がお持ちな状況。ただ、それまで殆どその姿を見なかった背は高いけどボンネットもある乗用車感覚のある軽自動車。室内は広く実用性も高い、おまけに価格は798,000円(税抜き)からと不況の時代にドンピシャな価格設定をも相まって爆発的大ヒットとなっていき競合他社も後に続けとハイトワゴン軽自動車合戦と言わんばかりの状況をスーパーハイト系が市場を牛耳るまではその認知度と存在感を高めていきます。
その後平成7年の道路運送車両法改正により初年度登録より10年超の乗用車の車検期間が1年→2年(現制度)に。それまで車検が1年毎になるからといった理由で買い替えを余儀なくされていた方もより長く自家用車を愛用できる状況が生み出しやすくなり、その後車の平均車齢が右肩上がりになり続ける様は今に続く状況です。
それまでの軽は女性の乗り物だとか、アンチ軽自動車の意識は随分とハイト系軽自動車が払拭するきっかけにもなりましたが、その世代が二世代目へと移行すると更に品質も然り機能性能も向上し、より小型乗用車に近づいていく訳ですが、バブル崩壊を迎えた数年後の1997年辺り、バブル期程の熱を帯びたものではありませんでしたが局所的にブームが再来します、それが
RV車ブーム
今見たくSUVなんて言い方はまだしなかったのです。分かります?RV車って。トヨタハイラックスサーフ

ランドクルーザープラド

日産テラノ

ホンダCR-V

等が主軸となり主に今で言う「陽キャ」な若者達がこぞって買い求めたものです。その当時、今のように大衆車ベースの小型RV車がほぼ存在せず、選択肢は必然的に中型クラス以上の車種に限られるのですが、特徴的だったのが現行モデルだけでなくかつてのブームもあり先代モデルもそこそこの人気を得ていた点。要は新車は高額で中古なら随分と安価になる為そちらの選択をしたユーザーが一定数存在したと思われますが、このブームもそう長くは続きませんでした。そう、世の中はまだまだ不景気暗黒時代、買ったはいいが維持が難しく次々とお手放しになりブームは再度終焉を迎えてしまいます。
景気も悪く環境問題がより注目を集め実働として動き始めた頃、環境に良くないスポーツカーはとんでもない!と一部の族が騒ぎ出しおまけにバブル崩壊から大して売れもしないスポーツカーは商売にならない、と大手自動車メーカーを中心に市場から実質手を引く形で姿を消しつつある頃、市場はより実利的な車を追い求めていくのですが、そんな折登場した
トヨタ bB(初代)

が若年を中心に大ヒット!見た目も刺さり維持費も大きな車に比べ掛からない、おまけに車体が安価と三拍子揃ったことで人気を博していきそれと同時に各メーカーコンパクトクラスに注力するようになり市場は一気にコンパクト一色に染まっていきます。それまでのコンパクトもそれこそかつての軽自動車を同列な扱いをする方も大勢居たものでしたが、バブル崩壊後一気に陳腐化した反省を込めてか?幾分相応しい仕立てであるコンパクト車を各メーカーリリースしたものでした。
その後暫くは話題性のある車種は登場するもブームと言うまでの事にはならず時代が進むに連れ特に軽自動車の進化が著しく徐々にそのシェアを伸ばしていくのですが圧倒的な転機がこの車の登場によって今に続くスーパーハイト系軽自動車のほぼ独占市場を立ち位置を確立していきます
ホンダ N-BOX(初代)

の登場。ハイト系軽自動車よりも更に背を伸ばすことにより室内空間を拡大、多くのユーザーがコンパクトカーよりより維持費の安い軽自動車にシフトをするばかりでなく、それまで中大型車のユーザーまでもがこれで十分だと思ってかダウンサイジングしていくのです。その結果、発売元が結果自分の首を自分で締める(高価格帯路線から軽自動車へ移行するユーザーが続出したため)なんて言われる事もある程。その一方で経済格差が取り沙汰され富める者はより豊かに、貧しい者は更に貧しくといった「貧富の差」がより鮮明になっていくのですが、その背景があってか無くてか自動車市場ではある種の都市伝説が現実化していく事になります。それは皆さんにも記憶に新しい
セダンモデルの絶滅
その一方で着々と注目を集めてきた
SUVモデルの台頭
そして今に至る、なのですが小型SUVモデルの登場に余りその影響に着目する方は少ないのですが、SUVモデルは総じて車体の大きさから
高価格帯車両ラインナップが非常に多い
それでも売れるということはお求めになる方が居るから売れるのであって経済が持ち直さない現状を鑑みるとやはり格差といった側面も見え隠れするのかなとも思う訳です。最も、手出し金額的に抑えられ易いお手にされ方の変革で買うから借りるに市場認知がなされるといった要因もありましょうが、車種に限らず高価格帯なお車が社会全体が不景気な状態で多くの支持を得るといった今までの自動車市場から見ればある種"異常"とも言えなくもない事が起こり続けているという実態を見れば、今後物価は更に上昇すると言われているので更に今までの概念では追いつかないような市場になる可能性も否定はできないのかなと思います。
こうして過去・現在と流行淘汰を経て今に至るですが、結局の所その当時の中若年層の多くが追い求めたデートカーであったりRV車であったりコンパクトカーであったりが今の時代はSUVであるということなのかな、と思います。バブル当時、既に廃業したジュリアナ東京(ご存じですか?)に若い子達が集まり朝まで踊り狂っていた状況も、今でこそそういった誰もが名を知る施設が無くなりましたがその一方でSNSを中心に踊りまくる若年者が相当数見受けられます。それの良し悪しの話ではなく時代が進んだ所で追い求める物や事柄については大差が無いようにも思います。
最も、過去と異なる点はブームが局所的ではなくより幅広い世代にも認知されている点においてはかつてのブームとは一線を画すものがございますが、特定のカテゴリーを追い求めるといった姿、つまり本質は変わらないような気もします。
自動車も持つことから借りることへ、それこそ有期限や時間貸し等それまでには無い方向へシフトしお車を持たない生活をも今後地方都市であっても波及することは最早必然といった所かも知れません。自動車が好き!といったユーザーからすれば中々考えられない事かも知れませんが、それこそ単なる移動手段や道具としての使い道であればそれで十分事足りるのもまた事実としてあります。お金も掛かるし手間も掛かる、いい車に乗っていればモテるなんて時代でもありませんからある意味所有する動機に欠けるといった事で多くの方が所有に拘りを持たなくなったのもまた一つの要因なのかも知れません。
見た目ポンコツの車を大枚はたいて所有するよりも
常に最新型でイキれる車を使う時だけ借りる方がコスパがいい
と思っているのかどうかは分かりませんが、今風に言うと所有することに強いメリットを感じる事が無ければ、今後お車を所有する方は益々減少の一途を辿るような気がしてなりません。