ベンツとアニメ。

先代モデルとはそのコンセプトをガラリと変更し、日本では2013年1月に発売が予定されているらしいメルセデス・ベンツの新型“Aクラス”。
※少し前の雑誌なんかでは「2012年秋発売」とか「年内登場予定」とか書かれていたので、当初の予定より少し遅れているのかも。

そんなまだ日本仕様の詳細さえ発表されていないAクラスの限定車が標準仕様に先行して発売されることになりました。
この限定車はAクラスの発表・発売当日に行われるそうで、装備内容云々は別として「初物好き」にはたまらない仕掛けなのではないでしょうか。

と同時に、「NEXT A-Class」という新型Aクラスを訴求するキャンペーンが開始されており、その内容は“新世紀エヴァンゲリオン”のキャラクターデザインを手掛けた貞本義行が制作したオリジナルアニメーションでAクラスの魅力を表現するというもの。

「アニメーション作品を用いてメルセデスブランドを表現するのは世界初の試み」とのことで、確かに意外な組み合わせのキャンペーンではあるものの、その狙いは単純というか明確かと思います。

日本市場におけるメルセデス・ベンツとしては、ベンツに対する「ユーザーの年齢層が高そう」「保守的」といった固定化しつつあるイメージをくつがえさないことには今後の成長が見込めないわけです。

そこでエヴァ。
このアニメーションに熱狂した1995年当時の中高生が、今ちょうど30歳前後から半ば。
まさに今後メルセデス・ベンツが開拓したい年齢層にリーチしているわけです。

そしてアニメーションともコラボレーションできる柔軟性をもった、決して「保守的」ではないブランドであることを訴求したいわけです。
(アニメとコラボするという手法そのものが若干古臭い気もするけれど)

なもんで、ベンツに対する固定化したイメージをくつがえすのに、エヴァ(に関係する人物による)のアニメによるキャンペーンは実に合理的な一石二鳥な施策だと思うのです。

と。
ここまでは理屈をつけてみたものの、実際にアニメを見た限りではこの作品でベンツやAクラスに対するイメージアップがはかれるとはとうてい思えず(少なくと直接的には)、貞本さんのファンが「タダで良いものが見れた」と言って終わりそう。

ベンツにしても広告代理店にそそのかされることがあるのだなぁと思った次第。