はづきのブログ一覧

12月を振り返ってみると「クルマノワダイ」は中旬頃を最後に、それからはグラスがどーしたクリスマスがこーしたといった話題ばかりで。
年の瀬だしこのまま2012年は終わりかなぁと思っていたら、最後にドデカイのが来ました。

トヨタの“クラウン”がフルモデルチェンジです。
もちろんクラウンについても思うことがいろいろとあるけれど、その前に最近のトヨタについて。

最近のキャッチコピー「ReBORN」にとても違和感を覚えます。
ストレートに受け取れば「トヨタは生まれ変わります」という意味なのだろうけれど、倒産したGMならまだしも営業利益1兆500億円を稼ぎだす企業が高らかに宣言するメッセージじゃないだろうと。

もちろん企業内での自己否定や改革は必要だろうし、これまでもそれに取り組んだからこそこれだけの利益をあげられる企業になったのでしょう。
ただ、それを表に出してプロモーションに利用するなよと。

「生まれ変わる」のは「デザイン」と「運転の楽しさ」と言われているけれど、それはあまりにも既存のトヨタユーザーをないがしろにしたメッセージだと思うのです。
要するに「ReBORN」を発信すればするほど、既存のトヨタユーザーに対して「あんたの乗ってるクルマ、ダサイよ」「あんたの乗ってるクルマ、運転しててもツマンナイでしょ」と言ってることと同じなわけですから。

「デザインや走りに個性がない」と評価されているのは事実かもしれないけれど、「それよりも『トヨタのクルマ』という安心感で選んでいる」という顧客に支えられて今の業績があることを考えると、「ReBORN」というメッセージがあまりにも軽々しく感じられるのです。
それこそ「リボンのイラストにかけあわせてリボーンって言いたいだけちゃうんか」とツッコミたくなるぐらいに。

今回のクラウンにしてもそうで、日本のどこに「クラウンには生まれ変わってほしい」と願っているユーザーがいるというのだろう。
トヨタとしては、そんなクラウンでさえ「ReBORN」させることで自分たちの取り組みがいかに真剣かをアピールしているつもりなのだろうけれど。

日本車が渇望しても手に入れることができない「歴史」というブランドをまといかけていたクルマをプロモーションの一環に利用してしまうなんて、さすがトヨタ、やることがえげつないぜ。

ピンクのボディカラー設定がその顕著な例で、「クラウンにピンクを設定しちゃうなんて、トヨタってば変わったでしょ？」とアドバルーンとして言いたいだけ。
本来なら、日本を代表する高級車に新たに設定するボディカラーなのだから、日本の景観や美意識に映えるボディカラーとはなんぞや？といったところまで考えて訴求してほしいのです。

まぁ、ここまでやられればとりあえず「生まれ変わった」ことは十分伝わったのでその後の成果を見たいところなのだけれど、「こんな無茶苦茶な提案がとおるなんて、トヨタってば変わったでしょ？」といまだに「生まれ変わった」アピールにご執心のよう。

一消費者としてはトヨタが生まれ変わったかどうかなんてどうでもよくって、その後のアウトプットだけが重要なのです。
その結果、ラクガキみたいなクルマが日本を代表する高級車として街中を走り回るんだと考えると「ReBORN」してくれるなとも言いたくなります。

アウディは「シングルフレームグリル」というデザイン上の変革をなしとげてから、世界トップの高級車ブランドへと「生まれ変わり」ました。
一方のトヨタが「生まれ変わります」と連呼しながら、やってることはシングルフレームグリルをいじくるのとピンクのボディカラー設定だけでは同じ日本人としてあまりに悲しい。

※「権力より、愛だね」っていうコピーも、一種の権力の象徴であるクラウンに使われると滑稽としか。
結局、ここまでトヨタに対して私が否定的なのは、最近のトヨタのプロモーション全体が気にくわんという単純な理由なのかもしれません。