実家でクルマの買い替えを考えていた頃、何気なくインプレッサのカタログをリビングに置いていました。
ラリーカーのイメージが子供の頃から頭に残っていて、「スバルならインプレッサ」程度の理由だったと思います。
しばらくして、特に大きな議論もないまま、そのインプレッサに決まりました。
今、中古車情報やスペックを見ても、強く惹きつける要素は多くありません。
ですが、実際に日常で使い、時間を共にしたあとで振り返ると、「あれはちゃんとしたクルマだったな」と思えるクルマでした。
このクルマを思い出す場面は、高速道路です。
合流して、巡航に入ってからの時間、特別に静かだったわけでも、速かったわけでもありません。
ただ、車線を保ち、一定の速度で走っているときに、「余計なことを考えなくていい」状態が自然に続きました。
ハンドルに頻繁に修正舵を当て続ける必要もなく、アクセルに神経を使うこともありませんでした。
今のクルマに比べると、装備も性能も控えめでした。
それでも、高速を流している時間の落ち着きは、今思うとかなり完成度が高かったと感じます。
このインプレッサには、FB16の水平対向エンジンが搭載されていました。
正直に言うと、当時はそのことを特別に意識していませんでした。
音が気持ちいいとか、フィーリングがどうとか、そういう感想を持った記憶はありません。
ただ、今になって振り返ると、高速道路で感じていた「落ち着き」の一部は、このエンジン配置によるものだったのだと思います。
エンジンが低い位置にあり、クルマの動きが上下に揺さぶられにくいためか、アクセルを踏み足しても、フロントが持ち上がるような感覚はありませんでした。
結果として、速度が上がっても姿勢が変わらず、クルマ全体の状態を気にする必要が無かったのだと思います。
当時は、特別なクルマだとは思っていませんでしたが、今になって振り返ると、GP型インプレッサ1.6i-Lは、私に運転の基準を作る役割をきちんと果たしてくれたクルマだったと思います。
あとから知って、少し面白いと思ったことなのですが、スバルファンならご存じの自動車ライター、マリオ高野さんが、当時GC8に加える愛車として、新車を中津スバルで購入されたのが、同世代のインプレッサG4(GJ3アプライドC型)だったということです。
ボディ形状は違いますが、世代は同じGP/GJ型前期、エンジンも同じFB16、そしてボディカラーも、同じディープシーブルー・パール。
当時はそんなことを意識することもなく、ただ生活の中で使っていただけでした。
ですが今になって振り返ると、この世代のインプレッサは、派手さとは別の軸でちゃんと選ばれていたクルマだったのだと思います。