震災後の復興に加えて、原発事故の影響による放射性物質の拡散が話題です。
はじめは空気中に飛散した放射能物質の影響が話題の中心でしたが、次に周辺地域の農作物へ影響がおよび、さらに広域で水道水への影響が出はじめ、さらにここ数日、海への拡散が話題になっています。
「原子力安全委員会=班目春樹委員長=は26日、『放射性物質は海では希釈、拡散される」として、人が魚を食べてもまず心配はない』との見方を示した--中略--25日朝にヨウ素131が50ベクレル/cm3、セシウム137が7.2ベクレル/cm3検出された。原発の排水を規制する基準に照らすと、ヨウ素は1250倍、セシウムは79倍にあたる」(出展:3月26日アサヒ・コム)
ところが、想像以上に早く海産物から放射性物質が検出されました…けれども、TVでニュース速報が流れるわけでもなく、ニュースで報道される以外は、いつものバラエティ番組が流れています。
むやみに怖がる必要はないし、過剰反応もいただけません。でも、正確に現状を把握することも重要です。
正確な測定値を知ることです。素人判断でガイガーカウンターを鳴らしてびびっても、意味がありません。ガイガーカウンターは霧箱の原理を利用して、「放射線の数」をはかるものです。放射線がどれくらい出ているかという目安にはなりますが、放射線の持つエネルギーを測定することはできません。
食品や水産品から検出されて話題のヨウ素131、セシウム137は放射性同位体なので、時間が経つにつれて壊れていきます。このとき放出されるのがベータ線やガンマ線が遺伝子に悪さしてがん化させる要因になる、といわれています。
今、私たちが気にする必要があるのはベータ線やガンマ線を出す放射性同位体、近頃、よく耳にするヨウ素131、セシウム137などの存在です。
学生時代、興味本位でガイガーカウンターでいろいろなものをはかりましたが、海産物、肥料、コンクリートなど、放射性同位体がある原子をたくさん含むものの近くにかざすとカリカリと音をたてます。食品にガイガーカウンターをかざして、安全かどうか素人が判断するのはナンセンスです。
文部科学省の指定した測定方法では、サンプルを採取し「NaIシンチレーションサーベイメータ」で放射線量を測定します。この測定器は高価ですし、経験に基づいて操作しないと意味ある数字を得ることはできません。
便利なサイトがありますので、ご参考まで。
水産資源から4,080Bq/kgが検出されたのは、今後どう変化するかは観察すべき値だと思います。
水道水については、平常時
WHOの基準は10Bq/Lですが、今は非常時なので100Bq/kgに引き上げるのは暫定措置として世界標準といえるものです。300Bq/Lは、
ICRPの設定した暫定基準値で、
EUROTOMが設けた非常時の値よりは低いものです。
値の違いは、WHOの平常時の数値は一生飮む可能性を考慮しており、
ICRPや
EUROTOMの数値は、(原発事故が起きた後、1年以内に限定して)という但し書きが見え隠れします。
個々の数値から健康への影響があるかどうか判断するのはとても難しいですが、平常時と比べて、数値が極端に値が上がっていないか、長期間に渡って高い放射能が検出されていないかなど、注目していきたいです。
人体への影響については、空気中からの放射性物質を直接取り込むほか、、農作物や水産資源、飲み水などから経口摂取するなどの合計で考える必要があります。例えば、100ベクレル/kgの水道水を毎日1L、365日間摂取して、4000ベクレル/kgの魚を1回につき100g、週に1回食べたとしても・・・と計算してみてわかったことは、緊急時に限ったことであれば心配しないで済む値かもしれませんが、平常時の「海洋からは3.1μシーベルト/年、大気からは19μシーベルト/年(出展:日本原燃HP)」と比べると大きな値なので、長期期間にわたって高いレベルで放射性物質が検出され続けると心配です。
放射性物質の場合、30年後とか、次世代に影響が出てくるとも言われるので、今、どうしたらいいのかは判断に苦しむところです。
もうひとつ、放射性物質の測定についてもひと言。
プルトニウム測定器の有無が一時話題になりましたが、プルトニウムに限らず、ヨウ素、セシウムなどの元素をその場でぴぴっと測る「測定装置」のような便利グッズはありません。そのため、各地で細やかに時間を区切って測定しているわけです。この数値は信頼できると思いますので、気になる人は発表された数値を発表されているものを利用するといいと思います。
必要以上に気にすることはありませんが、気になる人がいれば、必要に応じて正確な情報が入手できるといいなぁ、と思います。
Posted at 2011/04/06 03:13:58 | |
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