今回はほんの少しだけマニアックな話。
アメリカと日本の軽自動車。
一見縁がないようで、実はメーカー正規で一部の軽トラックなどが輸出されていたりしました。

ただし。。。農場や構内用の公道外車両として。
理由は簡単。アメリカの公道走行基準をクリアするのに日本規格の軽自動車では困難なため。

でも某番組では公道を堂々と軽自動車が走ってたり。。一見矛盾しているようですが、どうやら限定的ながら条件を満たせば軽自動車でも公道で使えるようになるみたいで、地域によっては普通に走ってたりします。
ではどうすれば公道で使用できるのでしょうか。
ここで軽自動車がアメリカで公道使用できる条件を上げていきたいと思います。
まず、アメリカでの軽自動車の主な流通ルートとしては新車、中古車ともに輸入となっています。公道走行可能な輸入自動車については、輸入時に以下の3点を満たすことが求められます。
・DOT(米国運輸省)の定めるFMVSS(米国連邦自動車安全基準)の条件を満たしている、
または改造によって満たされること
・NHTSA(運輸省傘下の交通安全局)の車体輸入適格基準を満たしていること
・EPA(米国環境保護庁)の定める排ガス基準を満たしていること
ちなみにNHTSAの審査上、右ハンドル車の輸入自体には特別な制限はありません。車体が米国連邦安全基準に準拠する形で製造されていれば、右ハンドル車も輸入可能です(現実的ではありませんが。。)。右ハンドルが使用可能かは連邦法もそうですが各州の州法が優先されます。

もともと米国向けに製造された自動車であればこの基準は無条件に通過できるのですが、安全基準に準拠しない形で製造された車については、登録者の請願書に基づいてNHTSAが審査し、以下のいずれかの基準に適合していると認められてから初めて、公道使用目的での輸入が可能となります。
・安全基準に準拠する形で製造された同年度の車種と実質上同じである。
・安全基準に準拠する形への改造が容易であること。
これが実に厄介で、例えば北米仕様の存在する北米以外の地域向けの車種についても、そのままパスできるわけではなく、メーカーなどからFMVSSの安全基準同等である根拠が示せない場合、NHTSAの実施する衝突テストなどをクリアして認定を受けたうえで、初めて輸入が認められます。また、FMVSSの規制自体については、
車齢25年以上の車については除外されますが(いわゆる25年ルール)、1968年以降に製造された車両はバンパー基準(いわゆる5マイル)に、また1987年以降の車両は盗難防止基準にそれぞれ適合しなければなりません。
またEPAの排ガス規制のほうですが、適用は1968年以降のガソリン自動車はすべて対象となります。
この基準を満たしていない自動車について、通関税の3倍の値段を払うことで改造が許可されます。ちなみにカリフォルニア州ではこれよりもさらに厳しい独自の基準があり、かの地で使用する場合にはこれも満たす必要があります。
これらの基準のため、個人レベルでの右ハンドル車の輸入は非常に困難となっているのが実情です。
ただしこれには例外があって、上記の輸入基準について、以下のものは除外されます。
・1968年以前の製造モデル
・オフロード車(2005年以前の年式で、最高速度25マイル時以下の車)
・公道走行しないレーシングカー
・米国非居住者の1年限定での使用
・先述の25年ルール対象車
オフロード車については公道使用しない前提なので、輸入時に特にこれらの基準からは除外されるのです。これを利用してスバルやダイハツ、三菱などの一部の日本メーカーは、実用軽自動車について外装を北米仕様へ、また
25マイル以上の速度が出せないようにあらかじめ国内向けのモデルから仕様変更し輸出していました。
また同様に並行業者なども中古軽自動車を最高速度を25mphまでに速度制限するように改造の上、北米へ輸入を行っておりました。
これらがいわゆるJapanese Mini Trucksと呼ばれ、一部のマニアにカスタムベースとしてうけておりました。
そんな経緯で米国へ輸入されていた軽自動車ですが、公道で走るにはどうすればよいのでしょうか。
米国連邦法では軽自動車の公道使用は認められていませんが、カリフォルニアやアラバマ、イリノイをはじめ18の州では条件付きで使用が認められています。
これらの多くの州では軽自動車は「低速車」または「小型貨物車」にカテゴライズされます(日本でいうところの”ミニカー”の扱いに近いものです)。そのためどの州でも例外なく州間高速道路などのフリーウェイでの使用が禁じられています。
また州法にもよりますが、車体基準は公道で使用するにはFMVSSの基準に合わせることも求められます。
ただFMVSSでは最高速度25mphかつ幅80インチ以下の多目的車(低速車、小型車)について、多くの場合安全基準について適用が除外されています。そのためミラーが日本と同様の可倒式だったり、5マイルバンパーがなかったりするモデルも存在します。
また北米仕様の醍醐味であるサイドマーカーですが、オフロード車についてはこれらは明確に適用外と記載されています。そのため、多くの場合サイドマーカーは装着されていません。

ただ公道で使用する場合については灯火規定であるFMVSS 108についての解釈が分かれるところです。低速車や特殊小型車では、地域によってSAE認定規格ライトの装着や後部側面または前後側面にSAE認定のサイドマーカーを装着することが必要なようです。
なお、当初はオフロード車扱いで輸入を認めていた右ハンドルの輸入中古軽自動車についてですが、これらのモデルは元々55mph以上の速度が出せる設計で排ガスの排出が一般的なリッターカーとそう変わらないこともあって、2008年からはEPAより一般自動車(パッセンジャーカー)と同じクリーンエア法の排ガス基準が求められるように規制されました。規制が厳しくなったおかげで以前に比べてJapanese Mini Truckの需要は若干下火になってきているようです。
何の予備知識もなくサンディエゴでサンバーを見たとき、衝撃とともに何とも言えぬ違和感を感じました。
日本の軽自動車と車格はほぼ同じなのに雰囲気がまるで違って見えたからです。
(こいつはUSDMらしく5マイルがついてますが。。。笑)
この雰囲気、日本で再現するのは中々困難を伴いそうですが試行錯誤は楽しそうです。
まあ結局何が言いたいかというと

街でトロトロ走ってるの見かけても煽らないでね♪
てことで
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Posted at
2012/07/18 08:09:24