照りつける太陽
上がっていく気温と路面温度
これ以上ない、梅雨明けの空の下、
スイフトの集団はサーキットへと入っていった
スイフトONLY走行会
第弐話「ギンギラギンにさりげなく」
荷物を大体おろして、熱を吸収した黒いボディにテーピング。
長袖長ズボンに着替えたら、Bグループの走行開始。
減衰:街乗り仕様のまま(F:10 R:9段戻し)
タイヤ:DZ101 215-40/17
細いピットロードを抜け、2コーナーはインベタでクリア後、踏み込み始める。
コース図↓(タカスオフィシャルサイトより)
ノミの心臓の異名を持つ私は、じっくりと観察するため、
本当にゆっくりとコースを、そしてヒゲ号のコンディションを見る。
発進時や低速でハンドルを切ったときに、ペダルにコツコツと違和感を覚えていたからだ。
一定のRを描くのは2コーナーと3コーナーで、タイムを縮めるにはコツがいりそうだ。
数週走って、とりあえずアタックしてみる。
サーキット走行は久々な上、街乗り仕様なのでロールが殊更ひどい。
油温を確認すると、既に105℃。まだ余裕のはずなのだが、
私の中では既にCautionの文字が浮かぶ。
主に集中力と体力・次いでブレーキフィーリングの問題。
それからは、2週アタック→2週クーリングを基本に走ることに。
長袖・長ズボン・フルフェイスメット・・・
皆、似たような条件とはいえ、基本はエアコンオフの為、
まさに車内は熱中症になるための環境。
一本目は、無事完走し、水分補給と一服の為、喫煙室へ。
なんと、走行車のベストラップがモニターで表示されており、
1本目は同じBクラスのクポーさんに一歩及ばずも、中々健闘した部類と自画自賛。
クポーさんがどれだけ手を抜いて走っていたのかは、この後身をもって知ることに。
はぁ・・・と深いため息を吐いた後、サーキットの各コーナーのナマ映像モニターに目を移すと。
砂利に突っ込んでる黒スイと白スイ。
このクラスだと、黒いのは黒31さんか、ZACさん。白いのは・・・八宝菜さんか。
誰が?いつ?接触?自走可能?怪我?
頭の中を色々な単語が飛び交う。
砂利を大量に持ち帰ってきたものの、大事には至らず、ほっと一息。
2本目は、B→Cとランクダウンした。減衰を前後5コマ硬くし、タイヤの温度を測る。
右後輪が殆ど暖まってないことに吃驚する。
気合を入れなおして走るが、タイムは伸びず。
3本目ともなると、流石に日も高くなり、体力の限界が近いことを認識する。
車にもシビアなコンディションになってきており
タイムは伸びるどころか、2本目よりも更に遅い結果に。
フリー走行タカスの走り納めだと思い、5周と決めた上でコースイン。
1周目はもちろん様子見で流し、2周目アタック。
3週目後半からブレーキフィールがフニャッとしてきたのでクーリング。
5周目ラストアタック。
6周目、クーリング走行で事件が起きる。2コーナー後のS字で50kmくらいで流していた。
スピードが出る区間なので、邪魔にならない程度のスピードで端っこを走行中。
ががががががががががががががががっががが!!!!!!!
はい、動画を晒しておきます↓
まさに青天の霹靂。パニックルームもといパニックインザカー。
なんとか落ち着いてスピードを落とすと、
が が が が が が と音のボリュームも間隔も短くなってきた。足回りか駆動系にトラブルか、
と頭の中では冷静に判断するものの、心中穏やかではない。
音の発信源がすぐには判断できなかったものの、左側から聞こえる。
極力スピードを出さずに、なんとかピットに戻る。
スタッフが駆けつけてくれて、すぐに原因究明。
ご存知、”鈍色の凶器”フォーク。
運の悪いことにサイドウォールに刺さっており、
「バリ山なのにもったいないねー」と慰めの言葉を多くの方から頂く。
なにかが憑いているに違いない私は、念のためと純正タイヤを持っていっていたので
自走で移動が出来たのは僥倖としか言い様がない。
かといってパレードランに参加できるほど、精神的ダメージがないわけではなかった。
後輪を純正に戻したところでパレードランは終了。
肉体的にも精神的にも疲弊しきっていた。
もたもたと片づけをし、ここでやっと関東組と車を並べる。
スイフト☆王子の挨拶があり、続いてはじゃんけん大会。
なんといっても、大物はTryforceのZC-Twisterだ。
じりじりと焼けるような日差しの下、じゃんけん大会は進む。
偶々じゃんけんに勝ち進んだ私が、くじで引いたのはなんと。
Tryforceの・・・
ステッカーだった。
負けたらしゃがんで、景品が残っていれば、また立ち上がってじゃんけん。
まず異変が起きたのはクポーさん。
異常なほど息が荒く、汗も大量に流れていて、ろれつが回っていない。
「らいひょうふれふ・・・」どうみても大丈夫ではない。
クーラーボックスの氷や濡れタオルで体を冷やし、
水分補給しつつ日陰で休ませることに。
かくいう私も、炎天下の中、地獄のスクワットを繰り返すうちに
眩暈がしはじめ、立ち上がることが億劫になってきた。
原因は・・・熱中症ではなく、空腹。
到着してから何も食べていないのに、その時になってはじめて気付く。
しかし、炎天下の中、疲弊しきった体は、食物を受け入れることを拒否していた。
〆の挨拶も終わり、解散。
片付けや写真撮影の後、ZACさんを先頭にBBQ会場兼宿泊所に向かう。
追って説明するが、この場所、ちょっとしたワインディングを抜けた場所にあり、
要は山の麓に立地している。
荷物を部屋まで移動し、BBQへ。
スイスポおやぢさんが用意してくれた食材(ホルモン、鶏、カルビ、野菜にご飯)は
どれもおいしく、またレア焼酎”はちまん ろかせず”の濃厚な風味を堪能し、まさに至福のひと時。
山あいの爽やかな風
葉擦れの音、近くを流れる水の音
この上ない満腹感と疲労感
前日から眠れずに30時間動き回った結果
ーーー私は睡死体と化した。