
竹島に尖閣諸島、最近の領土問題。
またそれを受けて、衆議院選挙では、
自衛隊をどうするか、憲法をどうするか、
が争点にもなっている。
ちょっと「戦争上等!」みたいな
雰囲気が感じられる今だからこそ、
ぜひ観ておきたい映画が
この「
カンタ!ティモール」。
知人に勧められてみたけど、結局三回観てしまった。
いろいろな要素がたくさん詰め込まれていて、
その良さを、この映画を、私にはとても一言では説明ができない。
まだあと二〜三回観てもいいと思っているくらいだ。
ぜんぜん消化できない。。。
この映画は、東ティモールが、
インドネシア軍の占領目的の理不尽な攻撃に対し、
24年以上に渡る非戦主義的な抵抗の末、
2002年に独立を勝ち取った歴史的事実を、
解放された現在から回想するように描いた作品。
その戦い方が一風変わっている。
武力では到底かなわないこともあるが、
真正面からの武力勝負を挑まず、
相手の理解を得ることで勝利を目指すという、
言い方は悪いけど、ママゴトみたいな戦い方なのだ。
ゲリラ部隊の上官は部下に、「一人でも多く相手を殺せ」などとは言わず、
「武器を取り上げろ、それでいい。決して深追いはするな」と指示するし、
戦闘で捕らえた捕虜には、なぜ自分たちが独立したいか?を説明して、
拷問もせず無傷で返していたんだそうだ。
その結果、独立を勝ち取るわけだけど、
その代償もとてつもなく大きくて、
何度も繰り返された殺戮で人口は3分の1に減り、
見境なく女性へは暴力が振るわれ、民家の9割は焼き払われ・・・。
そんなことがあったのに、
東ティモールの人は誰も恨まず、憎むこともせず、
過去の悲しみはそれぞれが心にしまって独立を喜び、今を生きている。
この話を、単なる美談や他人事で終わらせられないのは、
全然知らなかったのだが、
そのインドネシアの侵略を支えていた筆頭が、
他ならぬ日本だった(!)ってことだ。
国連での、インドネシア軍の即時撤退を求める決議にNoと言い続け、
インドネシア政府にどこの国よりも資金援助をし続けたという事実。
これが一番の衝撃だった。皆さん、知っていましたか。
すっかり戦争は終わっているんだと思っていたら(勝手に思っていただけだけど)
十年ちょっと前まで、日本は戦争していたということです。しかも侵略者側で!
こんな世の中だから、実は日本を陰で操っていた黒幕がいるのかも知れませんが、
観終わってとても心穏やかでいられません・・・。
それはともかく。
基本、ドキュメンタリーなので台本もないのですが、
登場するティモール人のセリフに、いちいちシビれてしまうんです。
そのシビれるセリフが多すぎて、二回目からは、
暗い中メモを取りながら観ているんですが、メモし切れません。
それに観るたびに印象も違う。
観れば観るほどわかる一方で、わからないことも増えてくる。
そのため、当時現地で潜入取材していたフリージャーナリスト、
南風島 渉(はえじま わたる)氏の著書、
「いつか、ロロサエの森で」まで買って読んでしまった。(これ、良書です)
しかし感心するのは、この映画には悪人がいないこと。
単純にインドネシア(&裏で日本)が悪、
東ティモールが善という描き方をしていないんです。
「人」と「業」をキッチリ区別している感じがする。
それから、ともすれば、
ヘビーになりがちな内容を(いや、実際そうなんだけど)、
監督達が東ティモールに関わっていくキッカケとなった、
「音楽」を軸にストーリーを展開させつつ、
サラッといろいろな問題をあぶり出している点。
そして現代にも共通する、いろいろな問題を投げかけつつ、
あえて何も結論づけていない点。
解釈は、あくまで受け取り手に任せている。
それでも唯一、この映画でキッチリ受け取るべきだと
私が感じたメッセージは、
「どうすればこの戦争のカラクリから抜け出せるのか?」
という監督の問いだ。
その答えの一つは、友人を射殺されたあるティモール人が、
そのインドネシア兵士に「なぜこんなことをする?」と聞いたときに、
「上官の命令だ」との答えに対して言い放った言葉にあると思う。
「あんたはただのコマだ。
上官は手も汚さず、なんでも思い通り。
今ごろ家族とくつろいでいるさ。
でもあなた方は狂った動物のように殺し合いをさせられる。
俺らと同じ奴隷だ」
もう一つこれに関連して、劇中にも登場する、先述の南風島氏のコメント。
「インドネシアの下級兵士は理屈の通らない戦争に行かされる。
死ぬまで戦ってこい、みたいな。そいつらと殺し合っても意味がない」
これが戦争の本質だろう。
我々庶民が焚き付けられ、殺し合いをさせられるだけのことだ。
戦争をやりたい本人は、戦場にはいないのだ。
だからぜったい、踊らされて戦争なんかやっちゃいけない。
・・・ああやっぱり、ほら、長くなった上に、まとまらない。
今夜はもうこれぐらいで諦めよう。
とにかく、明日の
松本市上映会を観に行こうと思っています。
字幕の言葉やタイミングも、実に良く練られていて、
最後までぐいぐい引き込まれるんだよなぁ。。
続編を書く気もするけど、
それよりこの記事、また明日になったら書き直していそう・・・。
Posted at 2012/12/14 00:00:36 | |
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カンタ!ティモール | 日記