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R_SWの"ニコイチ3.5型12ホールエディション" [スズキ Kei]

整備手帳

作業日:2023年7月13日

新規格K6A/F6A 4穴インジェクター世代のエンジン制御【サービスマニュアル】主に2000年代前半

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目的 修理・故障・メンテナンス
作業 DIY
難易度

初級

作業時間 30分以内
1
夏場のパワーダウンをインタークーラーでどうにかしたいと相談があり、そもそも水温が高いと、制御でパワーダウンさせてしまいます。もっと深い理解を共有すべく、Keiのサービスマニュアルのエンジン制御の記述の一部を抜粋してまとめておきます。
メーカー指定の経典と言っても良い物です。
純正状態以外で何かしようという方は、そもそも純正状態で何をしようと制御されているかを理解し、実際の車両の挙動と照らし合わせる事で、より深い理解と結果が得られるヒントとなるはずです。

あとターボ車は外気温10度以上では10w-30以上が指定となっており、特に純正オイルのエクスターでない場合は、特に5w-30を避けて、10w-30以上がエンジン保護に良いです。
ご注意ください。

keiのK6Aターボとkeiスポーツ、keiワークスのカムやピストンの違いはこちらにまとめていますので
https://minkara.carview.co.jp/userid/407402/car/2353895/7266348/note.aspx
ラパンターボとラパンSSの違い、MRワゴンターボとMRワゴンスポーツの違いにも適用できる部分がありますので、参考までに。
2
【F6A ターボ 黄色4穴インジェクター車両】

燃料噴射時間制御
燃料噴射時間は、エンジン回転数(クランク角センサ)とインテークマニホールド圧力(プレッシャセンサ)をデータとした基本噴射時間に各センサの補正を加えて決定する。

主な噴射時間補正

●無効噴射時間(電圧補正)
バッテリ電圧が低下するとインジェクタのバルブの機械的作動が遅れるため噴射量が減少する。これを補正するために電圧が低下したときは、その度合に応じて通電時間を長くしている。

●吸気温補正
吸入空気温度(吸気温センサ)に応じて増量補正する。

●暖機増量補正
冷機時は、冷却水温(水温センサ)及びマニホールド圧力(プレッシャセンサ)に応じて増量し、運転性の向上を図っている。
暖機が進むに従い、通常の基本噴射時間に戻っていく。

●始動後増量補正
始動時の冷却水温に応じて噴射時間を増量補正し、一定時間で減少しながら補正を終了する。

●加減速補正
マニホールド圧力の変化量(プレッシャセンサ)、冷却水温(水温センサ)、エンジン回転数(クランク角センサ)により加速状態検出時は、燃料噴射時間を長くし、減速状態検出時は、短くする。

●パワー増量補正
スロットル開度(スロットルセンサ)、マニホールド圧力(プレッシャセンサ)、エンジン回転数(クランク角センサ)に応じて増量補正する。

●空燃比フィードバック補正
EPIシステムは、三元触媒を用いて排気ガスの浄化を行っているが、三元触媒を効率良く機能させるために混合気を理論空燃比(A/F=14.7)付近に保つ必要がある。このため、O2センサを用いて、混合気のリッチ/リーンを判定し、燃料噴射量を変えるフィードバック補正を行っている。
O2センサ電圧が高いとき(混合気リッチ)は、燃料噴射量を減らして、空燃比を大きくする。
O2センサ電圧が低いとき(混合気リーン)は、燃料噴射量を増やして、空燃比を小さくする。
この繰り返しにより常に理論空燃比(A/F=14.7)付近に保つことができる。
エンジン冷機時などのO2センサ不活性時にはフィードバック補正は行われない。

●空燃比学習機能補正
空燃比フィードバック補正が加えられる前のベース空燃比が経年変化等で理論空燃比からずれると、エンジン冷機時などフィードバック補正を実行していないときの走行に不具合が生ずることがある。そこで、ECMに学習機能を備えて、変化するベース空燃比を理論空燃比付近に保つようにしている。これにより、経年変化等でたとえベース空燃比がずれてもエンジンは「学習補正済ベース空燃比」を基準に各種補正を加えた適正な空燃比で運転される。

●アイドル安定化補正
アイドリング回転数の変化に応じて燃料噴射時間の増減を行い、アイドリングの安定を図っている。

●その他の噴射時間補正
フューエルカット復帰時補正、高温再始動後補正、高温時補正、大気圧補正、過給域増量補正などがある。

燃料噴射時期制御

●同期噴射
クランク角センサの信号をもとに各気筒の排気行程でそれぞれ独立して噴射される(シーケンシャル噴射)。

●非同期噴射
減速時フューエルカット復帰時や急加速時に非同期噴射を行う。

フューエルカット

●減速時フューエルカット
エンジンが高回転で、スロットルバルブ開度が小さいとき、HCの排出を防止するため、フューエルカットを行う。
エンジン回転数が規定値以下になったとき、フューエルカットを解除する。
減速時フューエルカットの規定回転数は、冷却水温度により決定する。

●エンジン高回転時フューエルカット
エンジンの過回転を防止するため、エンジン回転数が7500rpm以上のとき、フューエルカットを行う。
エンジン回転数が7450rpm以下になったとき、フューエルカットを解除する。

●高過給圧時フューエルカット
マニホールド圧力1907hPa{1430mmHg}以上のとき、フューエルカットを行う。マニホールド圧力が1827hPa{1370mmHg}以下になったとき、フューエルカットを解除する。

●点火時期制御
各センサからの入力信号より、ECMが最適な点火時期及び一次コイルへの通電時間を決定し、イグナイタ(ディストリビュータ内蔵)のベース電流を断続することにより、イグニッションコイル一次側への通電(点火)を制御している。
点火制御には、次の制御が含まれている。
・波形同期点火制御
・ソフト点火制御

1.波形同期点火制御
次の条件全てを満たしたとき、点火時期を5°BTDCに固定する。(ハード的にクランク角センサ信号波形に同期)
ダイアグモニタカプラのTS(テストスイッチ)端子とGND(アース)端子を接続
スロットルバルブ:閉(スロットルセンサ:アイドル判定時)
エンジン回転数≦2000rpm
上記以外の場合は、全てソフト点火制御になる。

2.ソフト点火制御
ソフト点火時期は、点火進角制御及び通電時間制御からなる。
①点火進角制御
点火進角制御は、基本進角に補正進角を加えることにより実施する。
[基本進角]基本進角は、冷却水温度、エンジン回転数、マニホールド圧力により決定される。
[補正進角]水温補正、アイドル安定化補正、フューエルカット復帰時補正及び加速補正等、各センサからの信号を基にECMが補正進角を決定する。
②通電時間制御
通電時間は、エンジン回転数及びバッテリ電圧により決定される。

●ISC制御
A/Cコンプレッサ負荷、電気負荷等によりアイドリング回転数が変化した場合、ECMによりISCバルブを制御し、バイパスエアの流量を変化させることによってアイドリング回転数を目標値にする制御であり、スロットル閉(スロットルセンサアイドル判定時)で車速が0km/h(AT車は走行レンジ)のときのみ行なわれる。
制御内容を以下に示す。
・A/CコンプレッサON時、ラジエータファンON時、電気負荷ON時にアイドリング回転数を目標値に制御する。
・始動性の向上を図るため、始動時の冷却水温が低いとき、始動後に回転数を上げる。
・高地や減速時においてアイドリング回転数が落ち込まないようにするためバイパスエア量を増加させる。このうち、減速時の補正をダッシュポット補正という。

フューエルポンプリレー制御
フューエルポンプのON/OFFの制御は、ECMがフューエルポンプリレーを制御(リレーコイル部の通電を制御)することにより行われる。
リレーON時フューエルポンプにバッテリ電圧が供給され、ポンプが作動する。
フューエルポンプは下記条件で作動する。
・イグニッションスイッチON後約5秒間
・エンジン回転中(クランク角センサ信号入力ごとに約5秒間)

●ラジエータファン制御
ラジエータファンのON/OFFの制御は、ECMがラジエータファンリレーを制御(リレーコイル部の通電を制御)することにより行われる。リレーON時ラジエータファンモータにバッテリ電圧が供給され、モータが作動する。
ラジエータファンは下記条件で作動する。
・冷却水温度が93℃以上で作動し、88℃以下で作動を停止する。ただし、エアコンコンプレッサ作動時は冷却水温に関係なく作動する。

●ABV-VSV(エアバイパスバルブ開閉用VSV)制御
ECMは、走行状態及び暖機時の冷却水温により、ABV-VSVをON/OFF制御する。
ABV-VSVの一端はバッテリ電源に接続され、他端はECMの「ABV」端子に接続されている。ECM内部で「ABV」端子がアースされると、ABV-VSVに通電され、エアバイパスバルブを開き、過給圧をリリーフする。

●減速時制御
減速時、スロットルバルブが閉じるとターボチャージャにより過給されたエアはスロットルバルブではね返り、空気振動及び振動音が発生する。このため、減速時にVSVをONすることによりエアバイパスバルブを開き、過給圧をリリーフすることによりサージ音を抑えている。

●最高速制御
4000rpm以上で、車速が130km/hを超えるとVSVをONしてエアバイパスバルブを開き、過給圧をターボチャージャの手前でリリーフして車速を制御する。

●低温暖機時制御
低温暖機時には、過給されて回転数が異常に上昇するため、これを防止するためにVSVをONしてエアバイパスバルブを開き、過給圧をリリーフする。
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【F6A ターボ 黄色4穴インジェクター車両 最終モデルの変更点】

低排出ガス車認定制度の平成12年排出ガス25%低減レベルに適合させた。主な変更点を以下に示す。
・O2センサヒータ制御を追加した。
・ジェネレータカット制御を追加した。
・アイドル回転速度を900rpmに変更した。
・大気圧センサをECMに内蔵した。
・キャニスタを大型化し、キャニスタパージVSV制御を採用した。
・ダイアグコード24(P0171、P0172)空燃比リーン・リッチ異常を追加し、長期的な空燃比の診断を可能とした。
・WGV-VSV制御を追加した。
・ノックセンサを追加した。
・A/Cコンプレッサをリレー制御に変更した。

●点火時期制御
ECMは、ノックセンサの信号を基に、水温補正、安定化進角補正、フューエルカットリカバ補正及びノック制御量等を点火時期制御の補正としている。

●O2センサヒータ制御
エンジン冷機時等の状態の時に、O2センサの活性を早めるためにECMによって、ヒータを制御している。

●WGV-VSV(ウエストゲートバルブ開閉用VSV)制御
ECMは、走行状態により、WGV-VSVをデューティ制御する。
WGV-VSVは、一定周期で開閉運動をしており1サイクルに開いている時間の割合をコントロールし、ターボチャージャの過給圧を目標値に保つ。
WGV-VSVの一端はバッテリ電源に接続され、他端はECMの「WG」端子に接続されている。ECM内部で「WG」端子がアースされると、WGV-VSVに通電され、アクチュエータ内の圧力を逃がし、ウエストゲートバルブを閉じる。

●最高速制御
車速が134km/hに達するとWGV-VSVをOFFにして、ウエストゲートバルブを作動させ、タービンホイールに吹きつけられる排気ガス(排気圧)を減少させ、車速を制御する。
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【K6A NA (VVTなし)】

燃料噴射制御
エンジン回転数(クランク角センサ)とインテークマニホールド圧力(プレッシャセンサ)により、ECMが吸入空気量を算出し、基本噴射時間を決定するスピードデンシティ方式を採用した。なお、燃料噴射方法(タイミング)及び燃料噴射量(時間)は、エンジン始動時に実行される始動モードと通常運転時に実行されるフィードバックモードで下記のように制御される。

●停止モード:
・エンジン回転50rpm未満(クランク角センサ信号の入力が0.8sec以上ない場合)

●始動モード:
停止モード以外でエンジン回転数が600rpm以下の時に適用される燃料噴射方式で、クランク角センサ信号入力毎に全気筒同時に噴射する。ただし、極低温時においては、数回分割噴射を行う。また、燃料噴射量は、下記の始動時噴射時間に無効噴射時間の補正を加えて決定される。
・始動時噴射時間:冷却水温に応じて決定される時間で、冷却水温が低いほど噴射時間を長くして、始動性を向上させている。
・無効噴射時間:バッテリ電圧の低下による噴射時期の遅れを補正するため、バッテリ電圧の降下具合に応じて、インジェクタへの通電時間を長くする。

●フィードバックモード:
通常運転時は、各気筒毎に1-3-2の順に燃料噴射を行うシーケンシャル制御を行う。なお、噴射は各気筒の排気行程で行われる。また、燃料噴射量は、エンジン回転数と吸入空気量によって決定される基本噴射時間に、下記の補正を加えて算出する。
・体積効率補正:エンジン回転数、吸気圧力に応じて燃料噴射時間を補正する。
・フィードバック補正:O2センサにより、排ガス中の酸素濃度から空燃比を理論空燃比に補正する。
・暖機補正:冷却水温に応じて燃料噴射量を補正する。
・始動直後増量補正:始動時の冷却水温に応じて燃料噴射時間を補正する。始動後は補正量を漸減する。
・アイドルA/F学習機能補正:アイドリング時の燃料噴射時間を補正する。空燃比フィードバック補正が加えられる前のベース空燃比が経年変化等で理論空燃比からずれると、エンジン冷機時など
フィードバック補正を実行していないときの走行に不具合が生ずることがある。
そこで、ECMに学習機能を備えて、変化するベース空燃比を理論空燃比付近に保つようにしている。
・A/F補正:各運転域における空燃比のずれを補正する。
・大気圧補正:エンジン運転状態から大気圧を予想して、大気圧の変化によって生じる空燃比のずれを補正する。
・加速増量補正:吸気圧力の変化量、冷却水温、エンジン回転数により加速状態を検出して燃料噴射時間を長くする。
・減速減量補正:吸気圧力の変化量、冷却水温、エンジン回転数により減速状態を検出して燃料噴射時間を長くする。
・加速非同期噴射制御:スロットルセンサ変化量を加速状態として検出し、冷却水温により決定される噴射時間で、上記噴射タイミング以外で噴射させる。

●フューエルカットモード:
下記条件のとき、燃料噴射を停止する。
・エンジン高回転時フューエルカット:エンジンの過回転を防止するため、エンジン回転数が8000rpm以上になったときに、フューエルカットを行う。
・減速時フューエルカット:エンジン高回転で、スロットルバルブ開度が小さいとき、HCの排出を防止するため、フューエルカットを行う。
エンジン回転数が規定値以下になったとき、フューエルカットを解除する。
減速時フューエルカットの規定回転数は冷却水温度、A/Cの動作状態により決定する。

●点火時期制御
低回転(始動)モード:エンジン回転数600rpm以下のとき、BTDC5°で点火する。
なお、通電はBTDC75°からBTDC5°の期間で行なわれる。

●点火時期調整モード:ダイアグモニタカプラのTS(テストスイッチ)端子とGND(アース)端子を接続したとき点火時期をBTDC5°に固定する。

●通常制御モード:通常の点火時期は、エンジン回転数と吸入空気量により決定される基本点火時期に下記の補正を加えて進角または遅角される。ただし、これらはBTDC50°~ATDC10°(クランク角軸相当)で制御される。
・水温補正角:冷却水温に応じて補正する。
・アイドル安定化補正角:アイドル時の回転変動に応じて補正する。
・ノック制御:ノックセンサからの出力電圧に応じて点火時期を遅角して、ノッキングを防止する。

●ISCステッパモータ制御
ISCステッパモータは状況に応じて下記のモードで制御される。
・作動停止:バッテリ電圧が9.0V未満になったとき、ISCの作動を停止する。
・イニシャライズ:イグニッションキーをONからACCにしたとき、イニシャライズを行い、80ステップの位置で待機する。
・停止モード:エンジン回転数が50rpm以下のとき、80ステップに固定する。
・始動モード:エンジンが低回転(クランキング)時は、始動時バイパスエア量に固定される。
・通常モード:通常は、冷却水温に応じて変化する基本バイパスエア量に下記補正を加えてバイパスエア量を決定する。
・始動直後補正:始動後に冷却水温に応じてバイパスエア量を決定して、暖機状態に応じて補正量を漸減する。
・回転数フィードバック補正:現在のアイドル回転数と目標アイドル回転数の差に応じて、バイパスエア量を補正する。
・電気負荷アイドルアップ補正:電気負荷信号を入力したときに、バイパスエア量を一定量増量する。
・ダッシュポット補正:アイドルスイッチONかつエンジン回転数が高回転域から規定値以下に変化したときに、バイパスエア量を増量して、HCの排出を防止する。
・大気圧補正:大気圧に応じてバイパスエア量を補正する。
・ラジエータファンアイドルアップ補正:ラジエータファン作動時にバイパスエア量を一定量増量する。
・Dレンジアイドルアップ補正:シフトレバーの操作状況(R、D、2、L)及びA/CのON/OFFによりバイパスエア量を一定量増量する。
・負荷変化時補正:上記のアイドルアアップ状態から、補正がなくなる状態に移行する際に、補正量をゆるやかに減少させる。

●フューエルポンプリレー制御
フューエルポンプのON/OFFの制御は、ECMがフューエルポンプリレーを制御(リレーコイル部の通電を制御)することにより行われる。リレーON時フューエルポンプにバッテリ電圧が供給され、ポンプが作動する。
フューエルポンプは下記条件で作動する。
・イグニッションスイッチON後約3秒間、又は停止モード以外の時にフューエルポンプリレーを作動させる。

●ラジエータファン制御
ラジエータファンのON/OFFの制御は、ECMがラジエータファンリレーを制御(リレーコイル部の通電を制御)することにより行われる。リレーON時ラジエータファンモータにバッテリ電圧が供給され、モータが作動する。
ラジエータファンは下記条件で作動する。
・冷却水温度が97℃以上で作動し、93℃以下で作動を停止する。ただし、エアコンコンプレッサ作動時は冷却水温に関係なく作動する。
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【K6A NA VVT付きの変更点】

低排出ガス車認定制度の平成12年排出ガス50%低減レベルに適合させた。主な変更点を以下に示す。
・O2センサヒータ制御を追加した。
・吸気温センサを追加した。
・キャニスタを大型化し、キャニスタパージVSV制御を採用した。
・ダイアグコード24(P0171、P0172)空燃比リーン・リッチ異常を追加し、長期的な空燃比の診断を可能とした。
・ダイアグコード27(P0350)点火信号系統異常を追加し、失火検出を可能とした。
・A/Cコンプレッサをリレー制御に変更した。

●吸気温センサ(THA)
吸気温センサは、エアクリーナキャップに取り付けられ、感温部はサーミスタである。
サーミスタの一端は、ECMの「THA」端子に接続されており、他端は「E2」端子(センサアース)に接続されている。吸気温センサの雰囲気温度が変化すると、サーミスタの抵抗値が変化して、「THA」端子にかかる電圧が変化する。
ECMは、「THA」端子の電圧を吸入空気温度として検出する。
サーミスタの抵抗は温度上昇に伴なって低くなるので「THA」端子の電圧は温度が高いほど低くなる。

●O2センサヒータ制御
エンジン冷機等の状態の時に、O2センサの活性を早める又は維持するためにECMによって、ヒータを制御している。
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【K6A Sターボ(64PS) 緑1穴インジェクター車両】

燃料噴射制御
燃料噴射時間は、エンジン回転数(クランク角センサ)とインテークマニホールド圧力(プレッシャセンサ)をデータとした基本噴射時間に各センサの補正を加えて決定する。
燃料噴射制御は、エンジン始動時に実行される始動モードと通常運転時に実行される完爆モードで下記のように制御される。

●エンストモード(燃料噴射停止):
クランク角センサ信号の入力が1.0秒間以上ない場合

●始動モード(エンストモード、完爆モード以外):
始動モード制御時は、クランク角判定後、始動時全気筒同時噴射(数回に分割して全気筒同時噴射)を行う。その後、始動時基本噴射時間(冷却水温に応じて決定)にマニホールド圧力、スロットル開度、エンジン回転数、吸気温による各補正を加えて決定する。

●完爆モード:
エンジン回転数500rpm以上の場合

燃料噴射時間制御
燃料噴射時間は、エンジン回転数、マニホールド圧力、吸入空気温度等により決定される基本噴射時間に各センサの補正を加えて決定する。

主な噴射時間補正

●無効噴射時間(電圧補正)
バッテリ電圧が低下するとインジェクタのバルブの機械的作動が遅れるため噴射量が減少する。これを補正するため電圧に応じて噴射時間を補正する。

●水温補正
冷却水温(水温センサ)に応じて増量補正する。

●始動後補正
エンジン始動直後、冷却水温に応じて一定時間増量補正する。

●全開補正
スロットル全開時に、エンジン負荷及び冷却水温により補正量を決定し、徐々に増量補正する。

●空燃比フィードバック補正
EPIシステムは、三元触媒を用いて排気ガスの浄化を行っているが、三元触媒を効率良く機能させるために混合気を理論空燃比(A/F=14.7)付近に保つ必要がある。このため、O2センサを用いて、混合気のリッチ/リーンを判定し、燃料噴射量を変えるフィードバック補正を行っている。
O2センサ電圧が高いとき(混合気リッチ)は、燃料噴射量を減らして、空燃比を大きくする。
O2センサ電圧が低いとき(混合気リーン)は、燃料噴射量を増やして、空燃比を小さくする。
この繰り返しにより常に理論空燃比(A/F=14.7)付近に保つことができる。
なお、ヒータ付O2センサを採用しており、暖機途中から補正できるようにした。
ただし、走行性能を確保するため、増・減量補正時や燃料カット時においては空燃比フィードバック補正を停止する。
エンジン冷機時などのO2センサ不活性時にはフィードバック補正は行われない。

●空燃比学習機能補正
空燃比フィードバック補正が加えられる前のベース空燃比が経年変化等で理論空燃比からずれると、エンジン冷機時などフィードバック補正を実行していないときの走行に不具合が生ずることがある。そこで、ECMに学習機能を備えて、変化するベース空燃比を理論空燃比付近に保つようにしている。これにより、経年変化等でたとえベース空燃比がずれてもエンジンは「学習補正済ベース空燃比」を基準に各種補正を加えた適正な空燃比で運転される。

●その他の噴射時間補正
Dレンジシフト時補正(AT仕様)、A/C ON時補正、高温再始動後補正、アイドル安定化補正、フューエルカットリカバ増量補正などがある。

燃料噴射時期制御

●同期噴射
クランク角センサの信号をもとに各気筒の吸入行程の前(排気行程)でそれぞれ独立して噴射される(シーケンシャル噴射)。

●非同期噴射
スロットルバルブ開度の変化が大きいとき(急加速時)に非同期噴射を行う。

フューエルカット

●減速時フューエルカット
エンジンが高回転で、スロットルバルブが全閉のとき、HCの排出を防止するため、フューエルカットを行う。
エンジン回転数が規定値以下になったとき、またはスロットルバルブ開でフューエルカットを解除する。
減速時フューエルカットの規定回転数は、冷却水温度及びA/Cの作動状態により決定する。

●エンジン高回転時フューエルカット
エンジンの過回転を防止するため、エンジン回転数がMT:8300rpm、AT:8000rpm以上のとき、フューエルカットを行う。
エンジン回転数がMT:8250rpm、AT:7950rpm以下になったとき、フューエルカットを解除する。

●高車速フューエルカット
エンジン回転数が規定値以上で、かつ車速が135km/h以上のとき、車速に応じたパターンでフューエルカットを行う。

点火時期制御
各センサからの入力信号より、ECMが最適な点火時期及び一次コイルへの通電時間を決定し、イグナイタのベース電流を断続することにより、イグニッションコイル一次側への通電(点火)を制御している。
点火時期制御には、点火始動モード、点火完爆モードがある。

●点火始動モード
冷却水温度とクランク角信号(エンジン回転数)により点火完爆モードと判定されるまで、点火始動モードとし、クランク角信号波形に同期した点火時期制御を行う。

●点火完爆モード
点火完爆モードでは、基本点火進角に各補正を加えて点火時期制御を行う。

[基本点火進角]
基本点火進角は、エンジン回転数とマニホールド圧力により決定される。

[補正]
水温補正、安定化進角補正、フューエルカットリカバ補正及びノック制御量等、各センサからの信号を基にECMが補正を決定する。

通電時間制御
通電時間は、エンジン回転数、エンジン負荷及びバッテリ電圧により決定される。

●ISCステッパモータ制御
ISCステッパモータは状況に応じて下記のモードで制御される。
・作動停止:バッテリ電圧が6V以下または16V以上のとき、ISCステッパモータの駆動を停止する。
・始動モード:始動時には、冷却水温に応じた始動時制御量に高地補正を加えてバイパスエア量を決定する。
・完爆モード:始動モード以外は完爆モードとなり、冷却水温に応じて基本制御量に各補正を加えてバイパスエア量を決定する。
主な補正
・ダッシュポット補正:減速時にアイドリング回転数が落ち込まないようにするため、バイパスエア量を増量する。
・ラジエータファン補正:ラジエータファン作動時にバイパスエア量を一定量増量する。
・電気負荷補正:電気負荷信号を入力したとき、バイパスエア量を一定量増量する。
目標アイドル回転数:800rpm
1000rpm(A/C ON時)

●フューエルポンプリレー制御
フューエルポンプのON/OFFの制御は、ECMがフューエルポンプリレーを制御(リレーコイル部の通電を制御)することにより行われる。リレーON時フューエルポンプにバッテリ電圧が供給され、ポンプが作動する。
フューエルポンプは下記条件で作動する。
・イグニッションスイッチON後約3秒間
・エンジン回転中(クランク角センサ信号入力中)

●ラジエータファン制御
ラジエータファンのON/OFFの制御は、ECMがラジエータファンリレーを制御(リレーコイル部の通電を制御)することにより行われる。リレーON時ラジエータファンモータにバッテリ電圧が供給され、モータが作動する。
ラジエータファンは下記条件で作動する。
・冷却水温度が93℃以上で作動し、88℃以下で作動を停止する。ただし、エアコンコンプレッサ作動時は冷却水温に関係なく作動する。

●ABV-VSV(エアバイパスバルブ開閉用VSV)制御
ECMは、走行状態及び暖機時の冷却水温により、ABV-VSVをON/OFF制御する。
ABV-VSVの一端はバッテリ電源に接続され、他端はECMの「ABV」端子に接続されている。ECM内部で「ABV」端子がアースされると、ABV-VSVに通電され、エアバイパスバルブを開き、過給圧をリリーフする。

●減速時制御
減速時、スロットルバルブが閉じるとターボチャージャにより過給されたエアはスロットルバルブではね返り、空気振動及び振動音が発生する。このため、減速時にVSVをONすることによりエアバイパスバルブを開き、過給圧をリリーフすることによりサージ音を抑えている。

●最高速制御
4000rpm以上で、車速が132km/hを超えるとVSVをONしてエアバイパスバルブを開き、過給圧をターボチャージャの手前でリリーフして車速を制御する。

●低温暖機時制御
低温暖機時には、過給されて回転数が異常に上昇するため、これを防止するためにVSVをONしてエアバイパスバルブを開き、過給圧をリリーフする。

●WG-VSV(ウエストゲートバルブ開閉用VSV)制御
ECMは、走行状態により、WG-VSVをON/OFF制御する。
WG-VSVの一端はバッテリ電源に接続され、他端はECMの「WG」端子に接続されている。ECM内部で「WG」端子がアースされると、WG-VSVに通電され、アクチュエータ内の圧力を逃がし、ウエストゲートバルブを閉じる。

●最高速制御
車速が131km/hに達するとWG-VSVをOFFにして、ウエストゲートバルブを作動させ、タービンホイールに吹きつけられる排気ガス(排気圧)を減少させ、車速を制御する。

●過給圧制御
WG-VSVは、一定周期で開閉運動をしており1サイクルに開いている時間の割合をコントロールし、ターボチャージャの過給圧を目標値に保つ。
7
【K6A Sターボ(64PS) グレー4穴インジェクター車両の変更点】

低排出ガス車認定制度の平成12年排出ガス25%低減レベルに適合させた。主な変更点は以下の通りである。
・O2センサヒータ制御を追加した。
・ジェネレータカット制御を追加した。
・アイドル回転速度を900rpmに変更した。
・大気圧センサをECMに内蔵した。
・キャニスタを大型化し、VSV制御とした。
・IXU22Cを追加し、スパークプラグを2仕様とした。
・ダイアグコード24(P0171、P0172)空燃比リーン・リッチ異常を追加し、長期的な空燃比の診断を可能とした。
・ダイアグコード27(P0350)点火信号系統異常を追加し、失火検出を可能とした。
・A/Cコンプレッサをリレー制御に変更した。

●O2センサヒータ制御
エンジン冷機時等の状態の時に、O2センサの活性を早めるためにECMによって、ヒータを制御している。

●ジェネレータカット制御
ECMは、始動時、発進時及び加速時のエンジン負荷状態により、ジェネレータをON/OFF制御する。
ECM内部で「ALT」端子がアースされると、ジェネレータの調整電圧を下げる。

●ラジエータファン作動条件
ターボ仕様・Mターボ仕様
A/C SW OFF時:・IG SW ON かつ
水温 98℃で作動 95℃で停止
A/C SW ON時 :・上記条件に加えてIG SW ON かつコン
プレッサONで作動
8
【K6A Mターボ(60PS) ブルー4穴インジェクター車両の変更点】

(制御面での記載は特になく圧縮比8.4のSターボに準ずる形と思われる。書いてないから同一という意味ではない。ピストン(圧縮比変更)やカムが等が異なり、年式によってはABV-VSVの廃止等もある。下記を参照の事 https://minkara.carview.co.jp/userid/407402/car/2353895/7266348/note.aspx

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