普通二輪教習に通い始めて、通算12日目にして、卒業検定を受けられることに。
ここ数日の緊張感から、寝不足気味な2日間だったので、昨夜はかえってスッと眠れた。そのおかげで、朝の目覚めも極めて順調。幸先いいかな?受付時間の25分前には教習所に到着できた。
卒検に関する説明で、試験官が「今の時点では路面はウェット判定なので、急制動は14mラインを使います」
天気予報通り、早朝のうちに雨は上がり、路面はわずかに黒く湿っているか、ドライ。これで14mを使わせてもらえるなら、棚ぼたですな。しかし、試験官は続ける。
「卒検開始直前に再度路面を見て、その時に確定します」
うーん、どうかな?どうなるかな?
説明がおわり、約1時間のインターバルが。二輪用の教習小屋に移動し、まだ誰もいないコースに出て路面を見てみた。
こんな状態。これでウェット判定っていうの?ま、濡れていないとは言えないけど。なんなら、水まいてみようかな?なんて邪悪な気持ちがムクムクと。
もちろんそんなことはしないけれど。
検定開始の5分前、いよいよ試験官がやってきた。いざ、路面判定は?
「ご覧の通り乾いているので、11mでいって下さい」
ああ、残念。ぬか喜びでございました。
今日の卒検は、私一人。この時点では緊張感はほどほどで、まあ、大丈夫だと思っていた。
ところが「では、始めて下さい」の瞬間から、にわかに盛り上がってきたのであった。
バイクの前後を確認、OK!
さてと、またがるぞ。右手ブレーキ。後方確認。右足ブレーキ。ミラーを合わせて。後方確認。右足おろして、左足をシフトに。クラッチレバー握って。1速に入っている。エンジンスタート。キーを捻って。一呼吸おいて、スタートボタン。
・・・?エンジン掛からないよ?? ・・・3秒位迷ってから、気づいた。
!!
スタンド跳ね上げてない!!
ああ、やってもーた。しょっぱなから。
いやいや、オレ、落ち着け、オレ。
バイクからしっかりと降りて、もう一度初めからだ。
後方確認し、バイクから降りて、スタンド跳ね上げて、手順略、ウインカー出して、後方確認してスタートできた。
焦る!焦る!
でも、落ち着けよ。
外周1周する間は、慣らし運転、採点されない。この間で気持ちを落ち着かせるんだ!
完全に落ち着けたとはいえないが、一つ目の課題、踏切、しっかりと停車し、左右確認し、1速のまま渡りきり、クリア!よし、その調子。
交差点をいくつかこなし、大物アトラクションの4連発に差し掛かる。
坂道発進、よし!エンジンブレーキもしっかりと効かせた。
クランク、これは怖いぞ!ややふらつきながらも、無事にクリア。
万一があるかも、と思っていたクランクをこなせたことで、気持ちは少し楽になった。
すかさずスラローム。これはミスったことはないけれど、1度だけパイロンにかすったことがある。
8秒以内というタイムは気にせず、パイロンだけに気を遣おう・・・よし、クリア。
GoProの画像でチェックしたところ、7.5秒程度で通過できていた。減点はないよね。
ちなみに、事前に試験官に聞いてみた。時間規定のあるスラロームと1本橋、車体のどこで計るんですか?
いずれも、前輪がトリガーだそうだ。スラロームの場合は、入り口のパイロンに前輪が差し掛かってから出口のパイロンに前輪が差し掛かるまで。
一本橋は、前輪が乗ってから降りるまで。
そして、S字。難易度の低いS字でミスをしたらへこむよね、きっちりクリアしたことで気持ちがかなり落ち着いた。
だがしかし、結果的に、この安っぽい安心感が鬼門だったのだ。この感情の起伏の波状攻撃により、こともあろうにコースを間違ってしまったんだ。
S字ののち、外周路に出てから交差点に入って、出て、また外周路に、という順路をすっ飛ばしてしまった。
司令塔から教官が、コースミス!そのまま外周路を続けて、2番ねーっ!と。交差点のナンバーだ。
もう、この時点でダメダメ。2番ってどこよ?状態。
コースを間違えたとしても、それ自体は減点対象ではない。復帰するまでにミス無く走ればそれで良し。でも、え、いまどこまで行った?どこ走ってる?という、記憶喪失状態で。
外周半周する間に、なんとか記憶が戻り、コース復帰。はあ、あせる。
残るは急制動、そして一本橋だ。
最後まで苦労していた急制動、しかもウェット判定の14mかも、なーんていう甘い夢も打ち砕かれた急制動。さて、どうなるか?
時速40キロまで加速して、安定感のある急制動を見せなければならない。
これまでの練習では、40キロを出すことに関しては、かなり安定できていた。
メーターとエンジン音の両方を確認しながら、ブレーキゾーンに突入するんだ。
でも、この日は違った。それらを確認する余裕が、まるでない。

前方に、ブレーキング位置を示すパイロンが立っているのがわかる。
この時点で、スピードは。

おいおい50キロ出てるやん!オーバースピードにもほどがある。ボクの教習所ライフでの史上最高速度を、ここ、卒検で記録(笑)
普通、45キロでも出しすぎと言われるのに。
しかしこの時、私自身はそんなことに気づいていない。帰ってきて動画を確認して、さっき気づいたんだ。ああ、余裕なかったワケだ。
パイロンが前輪のすぐ両脇に。すなわち突入の瞬間でも、こんな感じ。

48キロくらいかな。ああ。ああ。
と言いつつ、急制動は1発OK。11mの停止位置に1mほど残して。リアブレーキもロックしていなかった。
ただし、エンスト。急制動でのエンストは減点されない。シフトをしっかりと1速に入れて、再始動。・・・1速に入れて。・・・1速に・・・、入らない?Nからシフトが動かない。
多分10秒位はあれこれとやってみたけれど、全然シフトが動かん。なんでや。
最後に思いついたのは、じゃあ、そのままエンジン掛けたれ!ニュートラルのままクラッチレバーをニギニギしたら、ギアも噛み合うやろ。
ということで、無事に脱出。ここ、減点されたかなぁ?
そしていよいよ、最後のさいご、一本橋だ。直近の教習では、脱落など皆無であったこの一本橋。初めての日には、1度も成功できなかった一本橋。今日、これで、いやしかし、脱落したら一発アウトだよ・・・などと走馬灯のように記憶の断片や思いが頭をよぎっている。
これ、あかん傾向やな。気持ちが体を凌駕する。落ち着いて、という心理状況とは正反対。
とりあえずこのように、

一本橋の延長線上にしっかりと場見ることに成功していながら、スタートした次の瞬間、こうなる。
なんだなんだ、左にブラックホールでもあるのか?と思うくらい。吸引されていく。
なんとか一本橋に乗れたものの、幅30cmの左端エッジギリギリを走っている感じ。
ああ、終わったな。うん、終わった。・・・オレの分身オーディエンスたちが、1.5m上空からささやきあっているようなイメージに囚われつつ、ああ、神よ、終始ふらつきながらもなんとかクリア。
あとでGoProで確認したら、7秒以上かけるべきところ、7.1くらいかな。タイムだけはよかった。
ゴール地点にバイクを停車し、以前忘れかけていたエンジンストップもこの通り。
もうね、こんなにチキンなヤツだとは思っていなかったですよ、我ながら。一本橋のあの怖さ。その瞬間から膝が震えている。大げさではなく。教習小屋に戻って、試験官が戻ってきて、講評を聞いている間も。
その講評では、主に2点を指摘された。
・低速走行時の不安定さが目につく。一本橋ね。バランスの乗り物だから、今後もしっかりと意識してください。
・急制動に進入する時の加速が山なりだった。本当は早めに40キロに到達し、その状態を維持しながら入るべきでしたよ。
それ以外は、まあまあ、とのことでした。
ん?これは合格かな?指摘された部分についても、不安定さの減点はあったとしても、致命傷は無かったわけだし。
受付ホールで15分位待っていると、先程の教官がやってきて、合格です、と告げてくれた。
いやぁ、合格ですか。もしかしたら行けるかな?とは思っていたけれど、全体的なバランスについては話にならない状態だったことを思うと、合格を頂戴するのが申し訳ないくらい。
ウチの社内の本田さん(こち亀の、ね)からは、教習で補習もなく1発で卒検取れたら立派なもんですよ、なんて言われてたので、かろうじてそのラインには乗れたことになる。
ただし、いずれにせよ、鼻高々、自信満々な合格ではなかったことを、今後の二輪ライフの糧として安全運転に努めることにつなげたい、本気でそう思えたのでした。しかしまあ、この歳にして、なかなかメリハリのあった夏をすごせたものだったなぁ。
近日中に、免許併記に行こう。「普自二」が記載されるんだよね、確か。
それと、いよいよお迎えに行くぜ!待ってろよ、MT-25。