
今回は私のオートバイに関する2003年当時のお話。こちらも私にとっては運命的。
そもそも英国製オートバイ好きの私はハーレーとは無縁。
例外はスポーツスターというモデル。これはハーレーの中では軽快なスポーツ車の部類。
特に1200Sというモデルだけはツインプラグに、リザーブタンク付きリヤショック、アジャスタブルフロントフォークとハーレーながらスポーティーな味付け。
とはいえ、いつか大型自動二輪を取ったら大好きな60年~62年式の古いトライアンフを買おうと思っていました。
しかし、現存する古い英車はオリジナルパーツで構成され、かつ状態いいの車体というのはなかなか手に入らないという問題が。
(英車乗りの人には『そんなこと言っていたら英車なんて乗れないよ』と言われましたが...)
2003年当時のスポーツスターは、基本設計が80年代と意外と古く、エンジンはリジットマウントで、鼓動の塊のようなオートバイ。しかもアメリカ製。
そんな刺激的な乗り物が当時新車で手に入るというのは何て価値がある事なのだろうと感激しました。
『旧車であるトラには今は縁が無い。いつかスポーツスターを新車で買おう。色は絶対パールホワイト。』と心に決めていました。
この時はスポーツスターがモデルチェンジするなんて想像もしてなかったので余裕ができた時に買えばいいとのん気に考えていました。
とある会社の見習いとして働いていた私は、一身上の都合から入社3か月で会社を辞めることに決め、手渡しでもらった最後の給料を全て使い大型自動二輪免許を取得。
人生は一路外野の方へ。
大型自動二輪免許をとってしばらくしたある日、友人に誘われ初めて大型車の試乗に行きました。
勿論オートバイを買う気も、貯蓄もありません。更に無職。
その時乗ったのはビューエル。どのモデルだったかは覚えていませんが、当時私が乗っていたヤマハSR400や教習所で使用したホンダCB750に比べて速いなーと非常に感心しました。
そのディーラーでは勿論ハーレーも取り扱っていて、憧れのスポーツスター1200Sが飾られていました。展示されていた車体の色は黒でタンクに大きな記念エンブレムのついた100周年モデル。
私:『これこれ。でもタンクに付いている大きな100周年エンブレムが好みじゃないので、もっとスポーティーなタンクデザインになった時に買おう。』
と夢を膨らませていました。
そこに営業マンが接客にやってきて、
営業マン:『いいでしょうそれ?来年からフルモデルチェンジするので現行型は今年が最後です。』
ここで衝撃!長い間同じ仕様で作ってきたのに、何で今更変えちゃうのって感じでした。
続けて
私:『何が変わるんですか?』
営業マン:『エンジンがラバーマウントになって振動が軽減され乗りやすくなるのと、リヤフェンダーとタイヤも少し太くなりますね。あと1200Sはなくなります。』
えーっ、スポーツスターなのにスポーティーグレードの1200Sが無くなる?
少なからぬ振動と細身のボディーがいいのに。
私にとって1200Sは入門用ハーレーではなく、イカしたスポーツバイク。目標にしていたモデルが無くなってしまうなんてとてもショックでした。
買える状況ではなかったにもかかわらず、いてもたってもいられなくなり一応調査。
私:『1200Sの白って今から注文できます?』
営業マン:『今からはもう無理ですね。来月には新型が発売されますから。』
ガーン。 来月って、あと数日じゃないですか。。。。
将来1200Sを新車で購入する計画が見事に崩れてしまいました。
がっくり肩を落として帰宅。
しかし、あきらめつかず電話をとり、別のディーラーに問い合わせ。
私:『1200Sの白ってあります?』
ディーラー:『もうないですね。今からだともう取り寄せもできないです。黒なら1台ありますよ。』
私:『白が欲しいので黒はいいです。』
ここも黒。次のモデルが出る直前の時期に黒が残っているだけでも奇跡的だけど、どうしても欲しいのは白。
どこにも無いならもうあきらめが付く。一生懸命探したけど、白は在庫がなかったのだと。
買い逃した無念さでモヤモヤっとしながら1日が終わろうとしていました。
夜になって電話が鳴り、出てみると、電話で問い合わせたディーラーでした。
ディーラー:『他のディーラーをあたってみましたが、やっぱりどこも在庫残ってませんでした。』
なんだ、やっぱりそうか。
ディーラー:『だけど、近県のディーラーで白を売約した人がいて、その人がやっぱり黒に変えたいって言ってるそうです。今ならうちに黒があるので交換できますけどどうします?』
私:『えー!じゃあ買いますっ!』
後先考えずに即答。逃したはずのラストチャンスがやって来ました。
ディーラー:『じゃあ後でお宅に伺いますので、今日中に契約お願いします。』
って、もう夜の8時半ですよ。。
夜9時半にディーラーの人が家にやって来て、契約成立。なんと忙しい一日。
散々白いスポーツスター!と言って探しまわったくせに、実は試乗はおろか、現車も見たことはなかったのでした。
あと支払いどうしよ。。購入の喜びと支払いへの絶望感が同時にやって来ました。
半月後、時間だけが経ちオーナーに。
ディーラーで長い説明を受け、キーを挿してエンジンを始動させると納車時のサービスで付けてもらったサンダンスボマーからは官能的な低音が。
アイドリングではタコメーターが常に踊っています。
私の心も躍る中、自走して帰宅。振動と音に終始感動でこの選択に間違いなかったと確信しました。
納車の半月後、なんとか職に就きめでたしめでたし。購入、支払い共にギリギリでした。
翌月、一緒に試乗に行った友人は新型のXL1200Rを購入し、結局二人共スポーツスター乗りとなりました。