目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
1
今回はブローバイガスの処理について、いつもの如くダラダラと書きます (^^;
ブローバイガスは燃焼室から吹き抜けたガスの事で、主としてピストンリング部からクランク
ケースへ、或いはバルブステムシール部からタペットカバー内へ漏れ出たガスを指します。
ブローバイガスには未燃焼HC等の環境汚染物質が含まれているため法令により大気放出
が禁止されています。
このためカーメーカーではブローバイガスを吸気経路に還流させて燃焼させてしまう処理を
行っています。
図の純正配管はRB26の例で、一般的にクローズドタイプと呼ばれる方式です。
仕組みとしては、
軽負荷時(負圧時)はPCVバルブ(Positive Crankcase Ventilation Valve)を介して
ヘッドカバーからブローバイガスを吸気ポートに引き込んでいます。
掃気効率を上げる為にサクションパイプからヘッドカバー内へフレッシュエアーを導入して
います。
PCVバルブは-500mmHgなどの負圧が非常に高い場合は通路が狭くなり、また0mmHg以上
の正圧時にもバルブが閉まる構造となっています。一般的には差圧が-100~-200mmHg
にてバルブが最も開く構造となっています。
高負荷時(正圧時)は上述の様にPCVバルブが閉じられるため、ヘッドカバー内のブローバ
イガスはリヤ側ターボ上流のサクション負圧によってサクションパイプ内に引き込まれます。
2
純正配管のままでサーキット走行などを繰り返すとブローバイガスが多量に発生するため、
ターボのコンプレッサーハウジング内やインタークーラ内に溜まったり、燃焼室内が汚れ易く
なります。これを嫌ってキャッチタンクを装着するのが一般的ですね。
もし仮にPCVバルブ部分やヘッドカバーのニップルにブラインドキャップを付けて、ブローバ
イガスをエンジン内に封じ込めてしまったらどうなるでしょうか?
この場合は未燃焼HCがエンジンオイルに混入したまま抜けなくなるのでオイル劣化が激し
くなります。通称ガソリン希釈と言われ、潤滑性能の低下、スラッジの増大などの悪影響を
もたらします。
図の市販のオイルキャッチタンク装着では一般的な配管例を記載しています。
ここではPCVバルブにブラインドキャップを付けているため、吸気負圧とは無関係となり、
ヘッドカバー内圧の上昇に伴ってブローバイガスがキャッチタンクにトラップされる事に
なります。当然ですが、純正配管に比べると掃気効率は落ちます。ですので、少し早めの
オイル交換が必要かと思います。
キャッチタンクを付けてサーキットを走ると、思った以上にブローバイガス+オイルが溜まる
事に驚きます。トラップされた液体は乳白色で粘度が低く、ガソリン臭がします。
一方、エンジンオイルはこのトラップ量ほどには減っていない事が殆どです。即ち、キャッチ
された液体にはガソリン成分が非常に多く含まれている訳です。
ガソリンの気化する温度は大よそ30℃~200℃ですので、低沸点分から蒸発し、ブローバイ
ホースを通ってキャッチタンクに行く間に冷やされて、液化します。
ここには流れによって一緒に持ち出されたオイル分も含まれています。
因みに、ガソリンは複数の炭化水素系留分の混合物ですので明確な沸点は無いようです。
3
図はnismoのオイルキャッチタンクを装着した例です。
純正配管にオイルキャッチタンクを割り込ませる構成となっており、掃気効率は純正同様に
優れていると思います。
特徴的なのは、キャッチタンクに溜まったオイルを底部からエンジンブロックへリターンさせ
る構造です。
純正配管に比べると吸気サクションパイプへのオイルの持ち出しが少なくなり、吸気系の
汚れが軽減されると思います。但し、キャッチタンクにはガソリン成分も含まれていると思わ
れますので、これをオイルパンに戻す事にやや不安を感じます。
まぁ信頼のnismo?ですので、多少のテストは行っている事でしょう!
蛇足ですが、ブローバイガス中のガソリン蒸気を出来る限り液化させずに吸気経路に吸引
するためには温度を下げない事が重要で、nsimoはこの点を考慮してか、EXマニ付近に
タンクを設置し、ブローバイ配管も極めて短い構成としていますね。
因みにゴキちゃんはnismo類似方式としています。恥ずかしいので図は描きません(^^;
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