
カムリ ハイブリッドに試乗しました。
新しいカムリはその存在は知っていましたが、どうしても『カムリ』という名前の味気の無さを感じるせいで避けていました。
しかし色々試乗の記事やお話しを見ると想像以上に印象が良いようです。ただのゆるゆる燃費マシンではなさそうだなと思い、次のクルマ候補の要の一部である「広い」「静か」「それなりに高級感のあるセダン」という点が合致することもあり、試してみました。
以下、印象に残っている順番に羅列していきます(笑)
★内装の高級感
内装色はブラックで、カタログでは重厚感がありましたが実車はそれほどでもありません。光の加減でそこらじゅうがプラスチックっぽく見えます。
ダッシュボードのステッチやサイバーカーボン調パネルなど高級感を演出する作りであることは感じられますが、それを乗り手が「高級だ」という印象を持つところまでにはちょっと物足りないです。
GSの時のような感銘も受けなければ、320のような高品質感も特段伝わってくるものではありません。「オーソドックス」とか「トヨタのミドルクラスFFセダン」というキーワードがあてはまりそうです。
(ただ、こういうのを「飽きがこないデザイン」と言うのでしょうか・・・)
★運転ポジション
FFということでそのポジションがどうなるか非常に興味がありました。ステアリングとペダルの位置関係はどうかな・・・。
各部を調整して落ち着いて前を向いたところ、さすがにFRと一緒というわけにはいきませんネ。
ペダルが手前すぎる感じはしませんが(A3より遥かに良いですし)、ステアリングとの位置関係がFR車たちほどビシッと決まりません。ほんの少しステアリングが遠く感じます。
ただ、FFとしてはかなり良い方だと思います。
★ハイブリッドならでは静かさ&振動特性!!
これはやはりすごい!
スタートスイッチを押してシフトをDに入れても何の音もしません。しかもホンダハイブリッドと違って発進は(アクセルを大きく踏み込まない限り)モーターのみで可能!とにかく静かです。新感覚です。正直これだけでも惚れ惚れします(笑)
音に加えて自分的にハイブリッド車で新たに発見したことがあります。
それはモーターのみでは振動がないこと。
エンジン車はどれだけ抑え込んだとしても動力を得るために「爆発」をする以上、必ずそれを感じます。それはエンジンにとって「鼓動」であり、ガソリン車ならではの味でもあるのですが、絶対的な振動特性という点ではモーターが「爆発」を必要としない以上、敵いっこありません。
静かさとこの振動の無さは低速時の素晴らしい快適性をもたらしてくれるということを確信しました。
★動力性能
これについてもこれまで見聞きしていたその良さに加えて面白い発見がありました。
まず、アクセルを踏んだ時の加速性能。
これは「3L並みの加速」といわれている通り、思わず「おー!!」と歓喜するほどの力を感じます。上り坂でも坂と感じない加速をしていくのには舌を巻きました。スーッと登っていってしまうのです。
そして発見したこと。それは動力の現れ方です。
そもそもTHSはエンジンとモーターが電気式CVTでつながってそれぞれから効率の良い出力の取り出し方をしています。
ハイブリッドであっても強め加速時のエンジンの回り方はガソリン車のCVTと印象は似ています。
踏み込んで多少のラグがあって回転が上がり、後は美味しい回転数でそれを維持。
ここにモーターが加わると独特な感覚があります。
アクセルをグッと踏み込むとまずモーターが即座にトルクを出してきます。それで加速力を感じている間にエンジンの回転が上がってきて、美味しい回転数に向かってだんだんとそのパワーをグーッと伝えてくるようになります。
これらを体感するのはもちろん極めて短時間の間です。
つまり、モーターのパワーの後にエンジンパワーが出てくるというガソリンターボ車とは逆になってるんですね。運転者にとってはエンジンがターボの役割をしている感じです。
これは結局、モーターがガソリン&CVTのパワーが発揮されるまでの間、そのネガをカバーするように作用していることになります。運転しながら「なるほどな!」と納得してしまいました。
あるいはエンジン、モーター共にそれなりの実力があるユニットゆえそう感じるのかもしれませんが、いずれにしてもこのパワー感があって燃費が良いなんて、すごいことだなぁと感心しきりでした。
★ハンドリング
トヨタのFFセダンということでほとんど期待していませんでした。
見聞きしていた内容が「なかなか良い」とあっても俄かに信じられませんでした。
ところが乗ってみてそれはほぼ払拭されました。
確かに動き出してすぐに感動するようなガッチリさやリニアさがあるわけではありませんが、一方で反応が緩慢だったりダルだったりという印象もないです。適度に遊びがある感じといったところでしょうか。
スピードが上がっても印象が悪くなることがなく、むしろ正確性が増していきます。
レーンチェンジでサッとコースを変える時、ドイツ勢のような横にそのままの姿勢で移動することはありませんが、ハンドル操作をすると一瞬軽くロールしてボディが付いてくるという感じです。
そこで体感できるレスポンスは日本車としては中々だと思います。
★後席について
ディーラーに帰ってから後席にも座ってみました。
シートサイズにも着座姿勢にもまるで問題はありません。
B4の時と同じようにゆとりがしっかりある広さを実感できます。もちろん脚も組んで座れます。
ドアサイズも小さすぎず、パワーウィンドスイッチの位置も適切です。
ただ、B4と比べた場合どこか質感で負けてるような気がしました。
ドアトリム、シートの形状や室内全体から感じる居住感など全てが「オーソドックス」で味気がないです。B4の方がよっぽど味がある気がしました。
その点が唯一の残念なところです。
★総合★
プリウスやインサイトのような専用でないクルマでのハイブリッドセダンは初めてでしたが、それゆえにこれまで持っているセダンの印象からの進化を強く感じることができました。
乗ってみて非常に好印象なクルマでした。
走って楽しい類のクルマではありませんが静かで快適なクルマとして見れば乗り味は十分に合格点だと思います。
これにエアロを付けるなどして、オーディオをカスタムしたら最近までの自分のクルマの価値観を覆すものになりそうで、そういう意味では候補として入れておこうと思います。
P.S.ただ唯一、名前がカムリでなかったら・・・。せめてセプターとかグラシア、欲を言えばウィンダムとして・・・(笑)