11スピーカー交換+多チャンネルDSPでブルメスターS500をサウンドアップ♪
目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
ショップ作業 |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
12時間以上 |
1
メルセデス・ベンツS500の事例ご紹介です。
Sクラスはメルセデス・ベンツ最高位のモデルとして1972年に産声を上げました。
21世紀に入ってすぐの2002年。よりラグジュアリー性を高めたモデルへの需要に応えるべくマイバッハが登場したことで、フラッグシップの座を明け渡すこととなりましたが、あくまでもSクラスをベース車とした派生モデルであることを鑑みると、依然としてラグジュアリーセダンの根幹をなすブランドであることは、異論のないところでしょう。
Sクラスは1972年の発売以来、6回のフルモデルチェンジを経験しており、現行は7代目(2020年〜)のW223型です。
近年のメルセデス車全般に見られる曲線を多用したボディをまとい、ダッシュボードには12.8インチ!というぶっちぎりサイズの有機ELディスプレイを備えています。
車両価格が1,338万円〜だそうですが、すごいのがオプションの値段です。レザーエクスクルーシブパッケージは66万円/3Dコックピットディスプレイは13万円/ARヘッドアップディスプレイは41万円/リヤコンフォートパッケージは、135万円・・・とオプションだけでもう一台クルマが買えてしまいそうな王者ぶり。頭がくらくらしてしまいます。
現在のSクラスには、大きくワケてS400/S500/S580の3グレードがラインアップされていますが、今回はS500の4MATICをご紹介いたします。
Sクラスのオーディオシステムの構成は、400dと500の標準オーディオが9スピーカーで、それ以外は15スピーカーを操るBurmester(ブルメスター)ハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムが搭載されています。(車種限定でスピーカー数31個の4Dサラウンドサウンドシステムというのもあります。。。)
今回のS500は15スピーカーの3Dサラウンド搭載車で、さすがハイエンド純正オーディオらしく、どこにいても偏りのない、スイートスポットの広い音に身を委ねることができますが、もう少しリアリティのある音を志向される方には、BOSE然り、物足りなく感じられてしまう傾向があるようです。ただ、これは量産車として掲げざるをえない開発要件のあり方と、それなりに没入したい個人の嗜好の行き違いでしかありませんので、永遠に埋まらない溝ですね。
今回のオーナー様もその一人、ではありますが、抜本的に音の性質を作り替える!というのではなく、表現力の向上に力点をおいた、全体的なレベルアップをご希望とのことでご相談いただきました。
最初から4スピーカー、6スピーカーといったシンプルな構成のクルマであれば、いっそスピーカー数を絞ってシンプルに定位させるような方法も選択肢に挙がるのですが、もとが15スピーカーのゴージャスシステムですから、そうもいきません。
音場の形成への寄与度の低い一部のスピーカーを除いて、パフォーマンスの良い社外品に交換し、多チャンネルDSPで駆動するプランを提案し、ご用命頂きました。
予算的には、26万のDSPを筆頭に、11個のスピーカー、30mの追加スピーカーケーブル、全てのフィッティング作業と合わせて、税込約85万円ほどと、だいぶコスパ良くまとめることができました。
それでは加工の様子をごらんください♪
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○ヘッドユニットとDSPアンプ
ヘッドユニットという概念を死後の世界に葬り去ってしまいそうな、近未来なルックスですが、一応COMMANDシステムで制御されているようです。
そのうち、オーディオシステム部分は上述のとおり、Burmesterハイエンド3Dサラウンドサウンドシステムが司っています。ブルートゥース接続などのインターフェースはシステム側で担い、物理的なコンポーネントとしては、左リヤフェンダー部分にセパレート式のアンプがあります。
ここから、全15スピーカーに向けてスピーカーケーブルが伸びて(一部分岐しているため、根本で15chあるわけじゃありません)いるわけですが、このうち、フロントのツイーター・ミッド・ウーファー・センター、リアのツイーター・ウーファーの合計11chをDSPアンプに入力しました。
それぞれの入力信号と、合成される出力信号との関係は、システム図でご確認ください。
使用したDSPアンプはヘリックスのV-TWELVE DSP(税込264,000円)です。
これは今回のように、沢山のスピーカーがついているクルマをターゲットとして開発された商品です。入力はスピーカー出力で12ch(RCA出力で6ch)に対応し、プロセシングできるチャンネル数は、内蔵アンプの12ch+RCAプリアウトの2ch=14chまで対応できるようになっています。
今回は、前述の通り入力側で11ch使い、出力側は11個のスピーカー(コアキシャルスピーカー2個含む)を鳴らす接続になっています。
○スピーカー群
すべてBLUE MOON AUDIOで統一しました。
フロント3wayのうち、高域のツイーターと低域のウーファーは、2wayモデルのAX165(税込93,500円)、中音域のスコーカーは8cm口径のMX080(税込33,000円)で構成し、センタースピーカーとしてもMX080を使いました。
リヤ側については、ドアの純正2wayをコアキシャルスピーカーCX100(税込40,700円)にまとめ、リヤトレイ上のサテライトスピーカーをMX080に置き換えました。
上記以外の純正スピーカーとして「フロントサテライトスピーカー2個(ルームミラー付近)」というのだけが残っているのですが、これは音場への寄与度が低そうだし、DSPのリソースも上限いっぱいだし、という理由でDSPの管理下には含めませんでした。
スピーカーのフィッティングについては、当然ながらポン付けできるようなところは一つもなく、全てにおいて異型バッフルをカスタム製作して、きっちりと取り付けました。(これはだいぶ手がかかります(ΦωΦ))
スピーカーケーブルは、コストを抑えるために極力、純正ケーブルを活かしましたが、DSPへの入出力のために30mほど追加することとなりました。
以上を持って、DSP活用による11ch入力→11スピーカー駆動という、多チャンネルラグジュアリーカーの典型的なシステムが組み上がりました。
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それではドアチェックからです。
芸能人のお宅訪問ってこんな感じでしょうか。
ホワイト系レザーがライティングに彩られてめちゃめちゃファンシー!荒川区の凡人には評価不能の世界です。
とは言っても、メカニカルな部分については、辛うじてコメントできますので、気を取り直してトライしてみます。
刮目したのは、画期的なシートアジャスターです。
シートの形状を模したスイッチが取り付けられているのは、はるか昔からのメルセデスオリジナル様式ですが、今回のスイッチは押しても部品はスライドせず、感圧式とでもいうのでしょうか、指の圧迫を感じ取って、パワーシートのモーターに指示を伝える仕組みになっています。なんともかっこよいですが、修理代に100万円とか請求されないことを祈ります。
ドアのスピーカーレイアウトは、中程に見えるスコーカー(ドアスピーカー)と、ミラー裏のツイーターの2つです。
低音域のウーファーは、運転席と助手席のキックパネル(つま先の壁)に埋め込まれています。
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ドアトリムを外したところです。
最近主流の樹脂パネルを使った構造で、金属のドアフレームに、たくさんの部品がアッセンブリーされた樹脂パネルが取り付けられています。
スピーカーも、樹脂パネル上に取り付けられていますが、パネルにスピーカーホールが設けられている訳ではなく、スピーカーバスケットから生えている3本のステーによって、パネルの上に「立っている」ような状態です。
要は、スピーカーが宙に浮いた状態ですね。そしてスピーカーの前面(スポンジのところ)が、ドアトリムの裏側に接することによって、この樹脂パネルとドアトリムとの空間がスピーカーボックスの役目を果たすようになります。
よって、さらに樹脂パネルを外して、アウターパネル側に手をかけるようなことはせず、この樹脂パネルと、ドアトリム裏を防振して、スピーカーボックスとして機能させるようにします。
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樹脂パネル側の作業が終わったところです。
前述の3本足スピーカーはフルームーンオーディオのMX080に替わっています。純正ブラケットから純正スピーカーを取り外し、MDFで制作したバッフルを介してMX080を取り付けています。(全スピーカーの加工後の様子は(8)に並べています)
防振は全面貼りのデッドニンググレードで加工しています。
この防振はスピーカーボックスを構築を第一の目的として実施していますが、これだけの防振材の壁が加わることで、もともと高かった静寂性がさらに高まります。(ドアトリム裏にも実施しますのでダブルです)
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純正の状態のドアトリムの裏側です。
前出の樹脂パネルと対になってスピーカーボックスを形成する、もう片側の壁にあたります。
静寂性の演出にはだいぶ気を使ってあるようで、もこもこの吸音材が全体を覆われています。この後、ドアトリム裏に防振加工を行う関係で取り外しますが、その効果は引き続き確保したいので、再度取り付け直します。
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防振加工後のトリム裏の様子です。
吸音材を外して裏面を露出させ、共振しやすい平面部分を中心に、防振材を配置します。
欧州車というか、メルセデスは、リサイクルっぽい風情の素材を随所に使ってますね。
8
今回はメルセデス・ベンツS500 4MATICのサウンドアップ事例のフロントドア前編を御覧いただきました。
今回は作業箇所が多かったこともあり、写真・画像点数が37点と多いです。
カーオーディオの音質向上において、最も優先順位が高いのはサウンドアッププログラムとしてご紹介しているようなスピーカー交換+ドア防振ですが、当コーナーに登場する機会の多い、小型〜中型車、そしてスポーツ系のクルマのスピーカーだと、最小セットでフロント2way、仕様によっては3way、そしてリアのフルレンジが交換対象になります。
数にして4つから6つくらい。MAX8つくらいでしょうか。(パワードサブウーファー除く)
市場全体においても、やっぱりこのグループがボリュームゾーンになりますので、複数のスピーカーを制御するためのDSPも、8ch+パワードサブウーファー用プリアウト1chを扱える9chを上限とした仕様の商品が豊富です。
中心があれば、その上もあるわけで、豪華なオーディオシステムを搭載しているラグジュアリー系のカテゴリにおけるサウンドアップは、交換するスピーカー数がたくさんになりますし、それらを制御するためのDSPも、より多くのチャンネルが扱えるタイプが発売されています。
今回のS500は、その典型的な事例と言え、全15スピーカーのうち、主要な11個を交換し、最大14chまで扱えるDSPで制御しています。
このように沢山のスピーカーを交換する場合、その取り付け方法がある程度標準化されている、フロントドアのスピーカーとツイーター以外の大小さまざまなユニットを交換することになりますが、アッセンブリー形式の純正スピーカーユニットにカスタムバッフルを組み込んで、スピーカーだけ入れ替えたり、ブラケットの形状をそっくりコピーしてバッフルを作るなど、純正スピーカーの取り付け方法をきれいに踏襲して施工することになります。
純正と全く同じサイズの社外スピーカーがあればそう難しくないでしょうけれども、実際には径が多少違うのでバッフル制作の調整が必要ですし、パフォーマンスのよいスピーカーは総じてマグネットが強い分、奥行きが深いので、クリアランスを見極めて工法を検討・調整する必要が出てくるので、そこそこの図画工作パワーが必要になります。
こういった現物合わせが多くなる仕事は、どうしても作業効率が低下しますので、十分な利益を確保しにくいのが正直なところですが、幸か不幸か、当店は手のかかる仕事ほど燃えてしまう傾向があるので、そこそこの作業品質を維持できてると思います。(手前味噌ですいません)
仕事のボリュームが大きい分、フルにやると総額が大きくなりますが、オーナー様のご希望とご予算に応じて柔軟にプランさせていただきます。
どうぞお気軽にお問い合わせください♪♪
https://www.soundpro.jp/contact/index.php
直接のお電話もお気軽に♪
03-5913-8450です!
Sクラス W223 デッドニング スピーカー交換 ブルームーンオーディオ
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