羽化

蓼科の山小屋は、築40年の古屋です。
木製の外壁も、雨水が染み込んだりしたままになっていると、腐ってしまいます。
そこで、にゃぴは腐食防止の塗料を塗ることにしました。
表面に塗膜が出来るタイプではなく、木に染み込むタイプの塗料なので、あんまり丁寧に神経質に塗る必要はありません。気楽に、ちゃっちゃと塗っていけて、無心になれます。

塗装作業に熱中していたら、嫁さんと娘が、羽化中のセミを発見しました。


まだサナギの殻から上半身が出たくらいの状態です。
あわててカメラを取りに行きました。

体の色は、葉っぱみたいな色です。


なんだか、ふにゃふにゃで柔らかそうです。
羽もくしゃくしゃに縮んでいます。

しばらく見ていたら、
お尻の方が殻の中に残って、殻の外の上半身はイナバウアー体勢になってきました。
あのままだと最後は落っこちてしまうのぢゃないか、と心配な姿勢です。

あんまり上の方を見続けて、首筋が痛くなってしまったのと、トイレに行きたくなったので、ちょっとその場を離れて一休みしてから再び見上げてみると、


いつの間にやら、すっかり殻から抜け出して、ちゃんと足でしがみついています。
あー、どうやってこの体勢になるのかを見たかったのにぃ・・・。


大変なひと仕事を終え、一休みしているようです。
羽もだんだんピンと伸びてきました。
体の色も徐々に濃くなって、硬くなっていくのでしょう。

30数年前に、虫かごに羽化中のサナギを入れて、この小屋で今は亡き父と一部始終を一緒に見ていたことがあったのを、懐かしく思い出しました。

娘が図鑑で調べたら、エゾゼミらしいと言っています。

ふと、娘も大人になった時に、ここでセミの羽化を見たことを覚えていてくれるだろうか、と思いました。