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2月にタイミングベルト交換を実施しましたが、その後、燃焼の不調が悪化し、アクセルを踏んでもボボボボ、ブスブスいってしまって回転が上がらず、マトモに走れない状態になってしまいました。
元々、燃焼はやや不調で、どうにか改善したいものだと思って、点火プラグやエアフィルタの交換、エンジン内のクリーニング剤など色々試していましたが、どれも効果は一時的で、根治しない慢性疾患の様な状態ではありました。
しかし、いくらなんでも「走れない」ということはありませんでした。なにか、もっと酷いことが起きている様子です。
ベルト交換をしたメカニックのK氏は、O2センサの故障を発見し、これも交換してくれましたが、それでも状況が改善しませんでした。各配線からコンピュータまで徹底的に調べてもらいましたが、原因が判明しませんでした。事故車として入庫した別のクーペフィアットの部品といろいろ入れ替えてみて変化があるか診てもらいましたが、コンピュータ交換でもセンサー交換でも効果無しで、途方に暮れる状況に陥ってしまいました。
K氏はベルト交換で不手際があったのではないかとさえ考え、ベルトのコマ位置を再確認してみたそうですが、ここにも問題がありませんでした。
冷えているときに症状が顕著に出て、暖まってくると治まってしまうことから、朝どこかをいぢって、テストして、暖まってしまうからその日はもう続きがあまり出来ない、という繰り返しで日数がかかってしまいました。
ある日、リフトで上げて、アンダーカバーを外して、どこが悪いのかなぁ、とK氏があちこち覗いていたら、ひょんな拍子に吸気ダクトの裏側(下から見上げているので、上の部分)に指がズボッと刺さってしまったそうです。ケンシロウみたいに。「アターッ!」と力を込めた訳ではなかったのに、あっけなく入っちゃったとか。
下側からは見えないところである上に、上から見てもゴチャゴチャ黒いホース類が交錯するところの下なので、誰も今まで気付かなかった箇所です。
ダクト自体は、エアクリーナボックスから延びてきて、ターボの吸気口に繋がっているものです。
このダクトのターボチャージャー寄りの部分は蛇腹になっていて、クネクネ動かせるようになっています。エンジンがぶるんぶるんと動いたときに、その動きを吸収する構造になっている訳です。
その蛇腹のところが、パックリと割れています。1/2周くらい。恐らく、かなり以前からクラックが成長してきて徐々に大きくなり、ベルト交換というエンジンをズラす作業を実施したために最終的に致命傷になったようです。
この箇所は、エアフローメータより内側の位置なので、コンピュータが認識している吸気量以上にここから空気を吸ってしまっていたに違いありません。その結果、空気が多すぎで、燃焼の不調が起きていた様です。
ちなみに、工場に入庫していた別のクーペフィアット20Vのダクトでも、全く同じ箇所に、同じ様な亀裂が出来ていました。10年目くらいの車齢のクーペフィアット20Vのダクトには、必発の疾病の様です。
K氏いわく、排気側も酸素量が多くなり、その結果、想定以上の酸素濃度に長期間曝されて、O2センサが壊れたと考えると、話の筋書きがつながるとのこと。
今まで長く悩んでいた燃焼不調は、これが原因だったのでした。
そうか、だから右折待ちなどで、チャンス到来時に発進しようとすると、そういうときに限ってエンストしそうになって怖い思いをしたんですね。きっと、発進時にエンジンがブルンと動いて、割れ目が大きく開いてしまい、いざ発進というときに空気が多すぎになっていたのでしょう。
なるほど・・・
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原因さえ分かれば単純な話で、ダクトを交換してしまえば一件落着です。
で、ダクトを注文してもらうことにしました。
ところが、話は単純には終わらなかった!
このパーツ、メーカーでの製造を終了している上に、既に在庫も無いそうです。
マンマミーア!
ここにも絶版イタ車を苦しめる妖怪ケッピンが!
こんな筒ごときのためにクーペ君が再起できないのは我慢なりません。ワンオフ製作ですっ!
このダクト、実物を見るとわかるのですが、意外ときついカーブを描いて、他のホース類をかわしつつ、3箇所くらい分岐してセンサーだかブローバイホースだかなんだかがくっついている複雑な形状のものです。しかも、エンジンのぶるるんという動きを逃がしながら、1.2barもの過給圧を稼ぎ出すというターボの吸気にも耐えなければなりません。
ワンオフ職人氏は、かなり悩まれたと聞きました。
ゴールデンウィークを挟みましたが、3週間で作製してもらえました。
全てをアルミで作ってしまうと、エンジンの動きを吸収することが出来ませんので、いろいろ分岐する部分はアルミで、その前後を汎用のホースでつなぐことになりました。
写真は、製作したパイプを取り付けたところです。
写真の右端の外側には、純正のエアクリーナーボックスがあります。バッテリーの前の青い部分からエンジン寄りが、今回作製してもらった部分です。
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上の方からみていると、青いホースのところしか見えません。
3つの分岐がある複雑なアルミ部分は、下の方にもぐってしまっています。
アルミ部分のアップが、この写真です。上の方のエアクリーナボックスから下りてきて、このアルミ部分を経由し、下の手前の方のターボ過給器に青いホースでつながります。
ちょっと費用がかかってしまいましたが、必ず時間と共に劣化する部品で、しかも製造終了の欠品パーツという悩みをひとつ潰すことが出来ました。青い汎用ホースのところだけ、傷んできたら交換すればよいのです。
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今回の整備伝票
走行距離:85020Km
整備工場:デスティーノ
インテークサクションパイプ製作取付け(ジョイントホース&クランプ等含):45,150円(消費税込み)
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位置関係がわかりそうな写真をもう一枚
今回、このダクトを交換したことにより、吸気音の音色が、より低く硬質な音になりました。あまりイタリアンな音色ではない気がしますが。
もうひとつ変わったのは、レスポンスです。
随分鋭くなりました。
吸気パイプの材質を換えただけなのに、意外な効果。
いや、プラシーボ効果?
K氏に訊いてみました。
すると、アルミの硬いパイプが入ったことにより、吸気でパイプがへこむ量が減り、パイプをへこまさなくなった分だけレスポンスは向上するとのこと。
やっぱり気のせいぢゃなかった!
パイプ交換の意外な効果を知りました。
ちょっと、得した気分です!!
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今回、製造終了と欠品が確認された吸気ダクトの部品番号と思われる部分のアップ。
7786174と読めます。
クーペフィアット20V用のものです。
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07.Jun.2010 追記
後日、リフトアップした際に下からの写真を撮りましたので、載せておきます。(携帯電話の汚い写真で恐縮です。)
写真の下側がクルマの前方です。
写真の左の方がクルマの上部に向かってエアクリーナボックスの方に伸びており、右のほうがターボの吸気部につながっています。
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