なんてタイトル付けましたが、またもや人の受け売りで貼り付けただけです(汗)
で、今日の方は
この本 を出された大和総研の熊谷さんです。
とても分かりやすい内容で勉強になる良記事ですが、流石に全文貼付は長すぎるので「関連情報URL」に紹介しておきますので、興味をもたれた方は其方の方へ読みに行って下さいませ。
私が特に紹介したい部分を抜粋しましたので、下記を読んでみてください。
いま一度問い直してみたい
消費税にメリットはあるのか
――それでは、一般的に考えて、消費税増税のメリットとデメリットは何でしょうか。まず、メリットについてはどうですか。
メリットとしては、第一に水平的公平性が確保できること。皆が広く薄く一律に負担する税のため、職種などによって税金が多い、少ないという不公平感をなくすことができ、税収も安定します。
世代間格差の是正を促すことにもなります。高齢者と将来世代を比べると、高齢者は年金などの生涯受益額が支払額より9500万円くらい多くなります。加えて、高齢者はフローの所得が少なく、所得税をあまり払っていない人も多い。これでは世代間で不公平感が募ってしまいます。
よって、ある程度資産を持っている裕福な人に、消費額に応じて税を負担してもらうようにすれば、そのぶん子育て世代や若年層の負担が減ることになり、不公平感が縮小することになります。
第二に、経済活動への中立性です。国が税収を増やす方法として、所得税率の引き上げもよく俎上に載せられます。しかし、所得税には、所得を得たときとそれを貯蓄して金利をもらうときに二重課税され、経済活動を歪めるという問題があります。消費税にはそれがありません。
第三に、高齢化社会に向けて国の社会保障費の負担が増えるなか、税収を安定させることができること。当然ながら、今回の社会保障と税の一体改革において、最も重視されているのはこの効果ですね。
そして第四に、税制を世界の潮流に近づけられること。所得税や法人税を軽減して、間接税や消費税のウェイトを上げていくのが、今日の世界のトレンドです。日本だけがそれに反するやり方をしても、企業の空洞化や高所得者の海外流出を招き、国内の経済力を弱めてしまうリスクがあります。
逆進性は消費税だけの問題にあらず
所得再分配の仕組みを建て直すべき
――では、デメリットは何ですか?
デメリットは主に3つ。逆進性、益税・損税問題、景気への悪影響です。
まず、低所得者ほど税負担が増すという指摘が多い逆進性の問題については、議論を尽くすべき課題ではあります。ただし、一般的に言われていることには誤解も含まれています。そもそも消費税だけを切り取って、逆進性の問題を論じるのはおかしな話。逆進性は、税制や歳出構造全体の歪みによって起きている側面も強く、それらを総合的に見ながら、理想的な所得再分配を考えていく必要があります。
たとえば、歳入面を見ると、日本では今、所得税が空洞化しています。構造的な要因により、9割の人が所得の10%以下しか所得税を払っていない。こうして課税ベースが狭まっている一方、歳出面を見ても、本当に困っている人にお金が行き渡っていません。こうした双方の歪みがあるのです。
実際日本では、国民負担率の低さがジニ係数(主に社会における所得再分配の不平等さを測る指標)の上昇を招いている側面があります。わが国の所得格差は、所得を再分配する前の段階ではあまり広がっておらず、社会保障や税を通じて再分配した後に拡大する、つまり不平等が大きくなる傾向がある。現状の税や社会保障の機能によって、うまく所得再配分ができていないのです。
国際的に見ても、大きな政府で国民負担率が高いほど、やはり格差は小さい。よって逆進性の問題を解決するには、国民負担率をせめて中負担まで上げると同時に、本当に困っている人のところに所得が再分配される仕組みをつくらなくてはならない。
具体的には、様々な所得税の控除を縮小したり、相続税を上げることなどが必要でしょう。このように、逆進性については消費税だけを切り取って論ずるのではなく、税制や歳出構造全体の問題として検討する必要があります。
逆進性の解消には給付付き税額控除、
益税・損税問題にはインボイス方式を
――消費税増税にあたっては、「逆進性」の解消を目指すために、一定所得以下の人に支払った税金の一部を戻したり現金を給付したりする「給付付き税額控除」や、低所得者が購入する割合が高い食料品などに軽減税率を適用する「複数税率」の導入も議論されています。どちらがより好ましいでしょうか。
複数税率には3つ問題があります。品目ごとに合理的な線引きが難しいこと、負担軽減額はやはり高所得者の方が大きくなり、逆進性を解消する効果に疑問があること、そして減収幅が大きいということです。
また諸外国では、消費税率20%弱程度につき、10%弱程度の軽減税率が一般的。消費税率が10%を超えるあたりまでは、費用対効果の側面から言っても、日本で軽減税率を導入するのは時期尚早かと思います。その意味においても、現段階で検討するなら、給付付き税額控除のほうがいいと思います。
ただし、給付付き税額控除にも考慮すべきポイントがあります。たとえば、国民の所得や資産をちゃんと捕捉する仕組みをつくり不正受給を防ぐこと、モラルハザードを防止するために生活保護との調整をしっかり行ない、受給者にとって働くことが損にならない仕組みをつくることなどです。
また、所得税の課税ベース拡大と一体的に行なうことも必要。所得税が空洞化している状況で給付付き税額控除をやっても、財政的な負担が大きくなるだけで、効果は薄い。まずは所得税の課税ベースを拡大し、その上で困っている人に対してある程度の税額控除を行なうのが理想的です。
――益税・損税問題については、どう解決すべきでしょうか。消費税においては、小規模事業者の事務負担を軽減するために、売上高が一定以下の事業者は税の納付が免税されます。しかしこの仕組みにより、免税事業者が消費者から徴収した消費税を懐に入れ、利益を得ることが起こり得るという「益税」問題があります。一方、消費税を価格に転嫁できない中小企業が、自腹を切って消費税額を負担するという「損税」を問題視する向きもあります。
これらの問題を解決するためには、当面は弱者を救済する法制などを実施するとして、ゆくゆくはインボイス方式の導入を考えるべきでしょう。インボイスとは、商品の流通過程で仕入先が発行する「送り状(納品書)」のことで、仕入税額控除の証明書の様な役割を果たします。インボイスには商品の価格や、仕入先に支払われた税額などが記載されており、その保存を義務づけることで適正な課税を行うことが可能となります。
つまりインボイスには脱税や二重課税を防ぐ効果が期待されるのです。ちなみに、欧州ではすでにインボイスが導入されているため、そもそも「益税・損税」という言葉自体が存在しません。消費税は国民が広く薄く負担するものだという考え方を、消費者に対してよく教育していくことも大事ですね。
≪中略≫
――それでは第三に、今後やるべき成長戦略には、具体的にどんなものがありますか。
今の日本の経済成長を阻害し、日本企業を海外へ逃避させている要因として、円高、EPA(自由貿易)などの遅れ、環境規制、労働規制、高い法人税という、いわゆる「追い出し5点セット」があります。
それらを全面的に転換し、法人税負担の軽減、自由貿易の促進、規制緩和、科学技術の振興などを目指す成長戦略を断行することがカギになるでしょう。内需やディマンドサイド(需要側)を過度に重視するのではなく、サプライサイド(供給側)政策に重点を置く。政府は「アンチビジネス」ではなく「プロビジネス」の姿勢を鮮明化するべきです。
加えて不十分だったのが、日銀の金融政策です。日本経済の最大の不安要因は円高とデフレですが、政府・日銀が一層協力してこれを阻止すべき。きちんとインフレターゲットを導入し、物価目標を1%程度から2%へ引き上げる、ETF(上場投資信託)などのリスク資産を購入して円高や株安に歯止めをかけ、それを将来的に貸し出しの増加につなげる、などの試みが必要です。
日本の財政が世界最悪レベル
であることは、動かざる事実
――ここまで聞いてきて、一体改革や消費税増税の本質が見えてきました。とはいえ、やはり増税はどうしても必要になるのでしょうか。
確かに「増税の前にやることがある」という意見はあたかも正論のように聞こえます。ただし、それについては、真の正論として言っている人たちと、政治的な思惑で先送りをしたいがために言っている人たちとが混在していることが悩ましいところです。
少なくとも事象面から捉えると、似たような議論が30年も前から繰り返され、抜本的な対策が先送りされ続けた結果、今の日本の財政状況は世界最悪レベルになっているという、動かざる事実があります。今回の増税決定を機に、その教訓を一から問い直してみるべきではないでしょうか。
転載おしまい
ま、増税がテーマですので一円も余計に払いたくない人は反対なのでしょうけど、この記事を読めば国債を発行するだけで解決出来るほど単純ではないという事が理解出来たかと思います。
でも、歳入よりも歳出が何十年も多く国民の資産さえも超えた負債を抱えているのに、未だ国債をどんどん発行すれば良い等と云う考えは、やっぱりどう考えても納得出来かねます。
と私は考えますが、この記事を読んでみてあなたはどう感じましたか?
Posted at 2012/10/12 22:14:50 |
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