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2010年04月04日

電球をLEDに交換すると色んな不具合が出る理由に関する考察(Ver.2)

電球をLEDに交換すると色んな不具合が出る理由に関する考察(Ver.2) (Ver.1には矛盾点があったので,さらにつっこんで考察しました.)


リアのブレーキ関係の電球をLED(Light Emitting Diode: 発光ダイオード)に交換すると,ABSなどの警告灯が点いてしまうとか,LED自体がブレーキを踏んでもないのにチカチカ点滅したりすることがあるのは有名な話です.
その理由として,LEDが微弱電流を流してしまうからという記述もよく見かけます.

しかし,私は,ダイオードの原理を考えると,この微弱電流がABS警告灯の原因であるという理由がよくわかりませんでした.
原理的に,ダイオードに電流が流れる状態にあるということは,普通の電球にも電流が流れる状態であるからです.
電球には微弱電流が流れるけど,LEDには流れないという状態は有り得るので,その違いで電球が切れたと車が誤解し,警告灯が点くというのならわかります.

よって,勉強しました.
できるだけ電子工学の専門家でなくともご理解いただけるように,フランクに解説したいと思います.
フランクなのは,私が専門家ではないので,専門用語を巧みに使えないという意味もあります_(^^;)ゞ

ダイオードは,詳しいことは抜きにしてp型半導体とn型半導体という材料を,滑らかにつなぎ合わせたもの(PN接合と言います)で,これに電圧をかけると,電流が流れます.
特徴的なのは,電圧をかける方向(p型の方が+でn型が-とか,n型が+でp型が-とかいうこと)で,電流の流れ方が違うというということです.

一方で,電球は,タングステンという,金や銅よりも熱で溶けにくくて抵抗値少しが大きい金属が,二つの電極の間につながっているだけで,二つの電極のどっちが+でも電流が流れる電子部品です.

さて,ダイオードの話に戻ります.
n型半導体は,電子をたくさん持っている半導体です.
p型半導体は,逆に電子が足らない材料です.電子の抜け殻である正孔をたくさん持っていると言い換えることができます.

画像の中の一番上の図は,ダイオード(PN接合)に電圧をかけていない状態です.
pとnの二つの半導体を滑らかにつなぎあわせても,図のように何やら段差があることがわかります.
電子がnからpに動くと同時に正孔がpからnに動くと電流が流れるのですが,この段差は,坂を上るのが大変なのと同じで,電子はpに流れにくく,正孔はnに流れにくいことを表しています.
電子はちょっとした坂でも登れないひ弱なヤツと思ってください.

電圧がかかっていないときの状態に対して,p型が+で,n型が-となるように電圧をかけた場合が上から二個目の図です,これを順方向と言います.
段差が小さくなることがわかりますよね?
つまり,電子の中でも元気なヤツが動けるようになり,電流が流れ始めます.
電圧をさらに大きくすると,元気のない電子も動けるようになり,ますます電流が流れます.

LEDが発光するのは,電子が坂登りする時に,赤の矢印のようにストンと落っこちることがあり,その時に光を放出するためです.
ダイオードに光るのと光らないのがあるのは,電子がまっすぐ落ちるか回り道して落ちるのかの差です.
光が出ているけど目に見える波長ではないとか,弱すぎて見えないということもあります.
これは,シリコンとかガリウム砒素とか,使う材料で違い,LEDには目に見える光が出やすい材料が用いられます.

「順方向では電圧をかけると電流が流れるのなら,ちょっとだけ電圧かけても電流が流れるはずだから,電球と同じじゃん?」と思われる方もおられるかもしれません.
理論的にはそうなのですが,実際にはPN接合には抵抗があって,ある程度の電圧をかけないと電流が流れ始めません.
この様子を表したのが,三個目の図です.
横の軸で左から右に行くと電圧が大きくなるということで,縦の軸で下から上に動くと電流が大きいというグラフです.
ちなみに,IR LEDというのは赤外線を発光するLEDのことで,光は目に見えません.
LEDの発光色によって何ボルトで電流が流れ始めるかというのは違いますが,いずれにしても,目に見える光を出すLEDには,少なくとも1.7ボルトの電圧をかけないと電流が流れないということがわかります.

ここがミソです!
車において,ABSやアクティブデフなどを制御する時には,ブレーキを踏んでいるか踏んでるか否かという判断もしなければなりません.
そのためには,制御コンピュータがブレーキランプの信号を用いることが多いようです.
つまり,ブレーキを踏んでいなくとも,制御のために常時,もしくは定期的にブレーキランプに確認のための信号を流している可能性が考えられるわけです.
この信号の電圧が,LEDに電流が流れ始める値よりも小さい場合をまず考えましょう.
この場合は,信号を送れないのですから,電球が球切れであると判断されます.
「電球が切れた」という警告灯があればそっちが点灯するのでしょうが,そういう判断まで出来る車はほとんどないので,「ABSが壊れている!!」と勘違いしてしまうわけです.
逆に,LEDに電流が流れる電圧だけど,普通の電球は点灯しないという微妙な電圧を持った信号が送られてきたとしましょう.
そうすると,LEDに換えたことで,ブレーキを踏んでもいないのにチカチカと点滅したり,ボーっと薄明かりで点灯したりするわけです.
つまり,LEDに微弱電流が流れる時には電球にも微弱電流が流れているわけで,LED特有の症状ではなければ,全ての症状の原因として扱うこともできないと考えられます.

この対策で最も単純明快なのは,電球も点灯させるということです.
つまり,LEDの配線に電気的に並列になるように,電球もつなげれば良いのです.
そうすると,LEDだけでは送ることができなかった確認信号が,電球の方を通って帰ってきます.
電気的に並列ということは,両者にかかる電圧は変わりませんので,明るさはかわりません.

でも,電球を繋ぐとブレーキ踏んだら光ってしまいますよね?
余計です.
ですので,電球と同じくらいの消費電力を持った抵抗器を繋げるわけです.
もっと言えば,左右およびハイマウントストップランプの電球は同時に光るものですから,どこかで配線が並列に繋がっているというのが妥当なので,左か右かハイマウントかどこか一つの配線に抵抗器をかませれば,全てをLEDに換えてもOKということになりますね.
もしくは,ハイマウントだけは電球のままにしておけば抵抗器も噛ませる必要がないかもしれません.
実際に対策を施された方々は,だいたいこれでOKだったようですね.
ただ,この場合は,抵抗器がばっちり電力を消費しますので,リレーを使って,ブレーキのon/offにより回路が切り替わるようにしても良いわけです.

しかし!以上の話だけでは矛盾が出てしまうのは,LEDが微点灯してABSの警告も出る場合です.
両者の原因が相反すると書いたわけですから,完全なる矛盾があります.
この場合は,ブレーキを踏んでいない時に微弱電流が流れた/流れないではなく,ブレーキを踏んだ時に大電流が流れるか否か,もしくは球の抵抗値で球切れを判断をしているものと考えられます.
ブレーキを踏んで電球が点灯するときには大きな電流が流れますが,LEDにはそれと比べると無視できるくらいの電流しか流れないというか,流せません.
つまり,ABSの制御コンピュータがブレーキonを感知できないので,これが球切れと判断されるのでしょう.
微点灯と警告の原因を分離して考えればよいわけです.
つまり,ブレーキoffでは微弱電流で微点灯して,ブレーキonでは車が期待したほど電流が流れないので警告灯が点く.
いかがでしょう?
なんとなく合っている気がします(?_?)
ABS警告灯が走ってしばらくすると点いたとか,エンジンかけたら直ぐに点いたというのは,運転の仕方やMTかATかの差でブレーキを踏んだ/踏まないにも差があるからと考えると素直かも??
この場合も一番簡単なのは,抵抗器をカマして抵抗値調整してやれば良いということになります.
ですので,多くの場合,微点灯も警告も同時に解消されるのだと思います.
リレー使った方がスマートですけどね.

最後に余談を.

三番目の図の中にLampと書いたのは,電球の特性です.
本当は,ちょっと極端というか,電流の大きさが全然違うので,LEDの特性と重ねて示すのには無理がありますが,イメージ的に捉えてください.
電球は,電圧を増やした分だけ電流が流れます.
電球の線よりLEDの線の方が立っていますよね.
これが,LEDがパっと点灯する仕組みです.
電球は,この特性の違いに加え,フィラメントが明るくなるまでの時間差がありますから,これでヌルっと点灯するように見えるのです.
一方,LEDはちょっとした電圧の変化で流れる電流が大きく変化するわけで,きちんとした製品には過電流防止や電圧安定のための回路がきちんと入っています.
LED自身はバッテリーや発電機からの電圧が直でかかっているわけではなく,一緒に組み込まれた抵抗器や過電流防止ダイオードなどによって,LEDには電流が流れすぎて焼き切れてしまわないけど逆に流れなさすぎて暗いということにもならない,といった美味しいところの電圧で安定するように設計されています.
オクに出品されているようなノーブランドLEDは安くて魅力的なのですが,すぐに切れてしまうのは,こういった回路設計や使う部品がいい加減なのだと思います.

それと,順方向の逆で,n型が+,p型が-となるように電圧をかけた場合が四個目の図です,これを逆方向と言います.
段差がキツくなりましたね.
電流はますます流れません.
ちなみに,LEDに極性があるのは,このように逆方向に電圧をかけても電流が流れないからです.
しかし,逆方向でも,順方向よりもものすごく大きな電圧がかかると,電流は流れるようになります.
これが原因でLEDが壊れることがあるそうで,ちゃんとした製品には逆電流防止の回路も入っているようです.

これらを考えると,ちゃんとしたメーカのLEDがバカ高いのも納得できるのかも.
また,「極性があるから注意」と書いてある製品の方が設計がちゃんとしているのかも?

以上ですが,私は半導体ではなくて磁性材料の専門家で,もちろん車の専門家でもないです.
間違っているところがあれば悪しからずってことで,是非ともご指導いただければ幸いですm(__)m
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Posted at 2010/04/04 16:29:24

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