2009年05月30日
ホンダ・インサイトを試乗させてもらった。
<外見の印象>
ハイブリッドというとスポーツ・カー好きの私には無縁の宇宙人的な車(!?)というイメージであったが、最新のインサイトは5ナンバー・サイズのなかなかスポーティなデザインで、どことなく親近感が持てた。
<室内の印象>
最初にトランク内を見せてもらった。様々な機能がついていて随分と便利だなぁと感心。スペースの大きさも全く以って充分といった感じ。少なくとも私のおんぼろスカGよりは間違いなく実用性は高い。但し、スペア・タイヤがないとの事なので、サイド・ウォールの負傷でタイヤがパンクした時を思うとちょっと不安に感じる。
次に運転席に座ってみる。シートやハンドルの位置など違和感なくすぐに馴染む感じで好印象。但し、スカGに慣れた身からすると、フロント・ガラスが随分遠いところにあるように感じられた。ダッシュ・ボードがやたら広い。空力フォルムのため、フロント・ガラスを寝かせないといけない都合上、どうしてもこうなるのだろうか、と推測。スポーティな印象は抱かないものの、こんなものだと思えばすぐに慣れてしまうだろう。
フロア・シフト、ハンドブレーキなどいずれもすごく使い易かった。最近の車はハンドブレーキが足で踏むタイプの車が結構あるが、個人的な好みで言えば、あれは使い難くて好きではない。インサイトはとても使い易くて好印象。
但し、メーター周りのいろいろな表示が何の意味を示しているのか、チンプンカンプン。馴染みのない表示がたくさんあって困惑。
それにしても、後方視界が悪いのには思わず笑うほかない。尤も、決して悪い印象ではない。最近の車は、フェアレディZにしても現行スカイラインにしても、こんな感じの車をよく見かけるので、こんなものなのだろうと思う。運転席真上の天井は高くても後部座席の天井がやたら低く、そのまま車体後端までなだらかに下りて行くラインも最近の車ではよく見かけるラインだ。空気抵抗の少ないフォルムを実現するためには必須な形なのだろうか???
ハンドルも適度な直径だし、握る部分の太さも適度なもので、とても操作しやすい。
<エンジン>
思ったよりはずっとエンジン音がするのにびっくり。以前、プリウスが発進時にエンジン音もなく走り出したのを記憶していたから、インサイトもそんな感じだろうなどと思っていたが、全然違った。普通の車と変わらないエンジン音がする。私なりの解釈で言えば、電気モーターがエンジンをサポートするという事は過給器がエンジンをサポートするようなものだと考えれば、ハイブリッドとは妙に宇宙的で特別な未来カーではなく、実は別に普通の車と同じと考えてよいのではないか、という気がする。ターボ車がNA車より数十万円高くなるのと同じように、電気モーターの分だけ数十万円高くなる。ターボやスーパーチャージャーはパワーを得るためにエンジンをサポートしているが、電気モーターは燃費の良さを得るためにエンジンをサポートしているのであって、目的こそ違うものの、結局のところ、サポート・システムという意味では同じようなものではないかと思えてきた。そのように見てみると、ハイブリッドという名前とは裏腹に、とても自然で普通でごく当たり前なもののように感じられる。過給器がカレーライスにさらに唐辛子を入れるようなものだとすれば、ハイブリッドはコーヒーに牛乳を混ぜるようなものと言えばどうだろうか・・・???
尤も、プリウスとインサイトとは同じハイブリッドとはいえ、コンセプトが異なるようではあるが・・・。
但し、エンジンのレスポンスはとても悪かった。特に低回転でアクセルの踏み始めの時、エンジンからの応答がとても悪い。エンジンとアクセルとがダイレクトにつながっていないような感触だ。尤も、スポーツ・カーならこういうのはタブーでも、実用車なら別段気にするほどの事でもないとは思うが。
<駆動系>
それにしてもCVTはいいなと思う。変速ショックが全くないのがいい。個人的には、オートマの変速時のあのスポーンと抜けるような間抜けなショックがとても嫌いなのだが、CVTだとそういう間抜けなショックが全くないのだから素晴らしい。
<ハンドリング>
予想以上にスポーティな感触にびっくり。ハンドルに対するレスポンスがものすごく鋭敏だ。ノーズの動きも相当シビアに反応するので、或る程度慣れたとしてもやはりそれ相応に神経を使うのではないかと思う。フロントのやたら重いスカGに慣れているからそう感じるだけかもしれないが、それにしてもハンドルを少し切るだけでノーズがスパーン、スパーンと切り込んでいくのには毎回舌を巻いた。これは確かに楽しい。足回りもとてもしっかりしていて、しっかり地面に踏ん張っている感じがする。決してフワフワしていない。一般向けの車としてはかなり固い足回りにしていると思う。そして、カーブの箇所ではハンドルを少し切るだけで、車が理想のラインにピタリと決まり、オン・ザ・レール感覚で曲がっていく感触は確かにワクワクするほど楽しかった。車を運転していて何が楽しいかと考える時、やはりカーブを曲がる時にうまく姿勢を決められて、レールに乗っているような感覚でズバッと曲がれた時が最も楽しいのではないかと思う。古い車などではその姿勢を作るのに自分であれこれ操作して車を手なずけて姿勢を作るのだが、最近の車はよくできていてハンドルを少し切っただけで車が勝手に姿勢をバッチリ決めてくれる。このインサイトは特にまた一段と素晴らしかった。車が勝手に決めてくれるからドライバーの仕事がないといえばそれまでだが、レール感覚で曲がれる快感はそれでもやはり楽しい。随分とスポーティなハンドリングの印象だが、燃費を気にする人々が買う車としてこんなにスポーティな味付けにする意味があるのかとふと不思議に思う。私のようなスポーツ・カー好きにはたまらない楽しさではあるけれど・・・。尤も、最近の車は総じてシャープな傾向にあるように感じる。単に、古い車しか乗っていない私の感覚が古いだけなのかもしれない・・・。
Posted at 2009/05/30 21:36:00 | |
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