今年もスカGの車検のため、代車でマーチをお借りした。
以下、この秀逸な車のインプレ。
言うまでもなく、個人的主観の固まりです。
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代車マーチ詳細データ
型式 : DBA-K13
グレード: 12X
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT
ドア数:5枚
ボディ色:ナイトベールパープル(GAB)
エンジン型式 : HR12DE (直列3気筒DOHC)
エンジン排気量:1.2ℓ
エンジン最高出力:79ps/6,000rpm
ホイールベース : 2450mm
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<全般・概略>
先代K12マーチと比べて、室内に座った感じや走らせた感じなど、いずれも全般にひと回り大きく且つ重くなったように感じる(スペック表を見ると確かに若干サイズ・アップしているようではある)。それと共に、質感が物凄く向上している気がする。ワンランク上のクラスになったような感じさえ受ける。実用性は相変わらず充分で、或らゆる用途で快適に気持ちよく使える。
<外観>
先代K12がカエルのような外観で明確で際立った個性があったのに比べると、現行型はどこか焦点がぼやけて個性が薄まってしまった気がする。先代のデザインに抵抗があった人には受け入れられ易いと思われるものの、先代のデザインが大好きだった私としてはやや物足りない気がする。
<室内>
先代K12型に比べてとにかく質感が向上している気がする。リッター・カー然とした安っぽさがない。
具体的には、ハンドル、ギア、ペダル類、などの操作感がとても素晴らしい。特にギアなど、軽くてカチャカチャした感触が全くなく、かっちり、且つ、しっとりした感触がある。その他、エアコンなどのパネル操作、ワイパーやウィンカーなどの操作系統はいずれもカチャカチャ感、スカスカ感がなくてしっとりしていて秀逸。もはや昔の大衆車のイメージは全く通用しないようだ・・・。
また、シートの生地、内装の素材なども、ワンランク上の質感が感じられる。
メーター表示は速度計、燃料残量計のみ。必要最小限の情報を最大限に見やすく表示してくれている。実用性重視で素晴らしい。
ハンドルには上下に調節機能が付いているので、小柄な女性から私のような大男まで適切な運転姿勢が得られる。これも素晴らしい。シートの高さもまた秀逸で、昔の車のように足先を前方に投げ出した形ではなく、お尻の位置が少し高めになっているために膝から下を自然に下におろした形となり、とても楽。 これはミニバンなども含めて最近の車の特徴だと思う。
室内は先代よりも確かに広く感じる。助手席との間も、かなり余裕があり、もはや室内にいる限りはリッター・カーという事を忘れてしまいそうだ。
<エンジン>
余り存在感がない。スポーツ・カーなら、それは良い意味ではないが、マーチのような町乗り用の車としては、それは褒め言葉ではないだろうか。先代だと、低回転時は非常に静かでも高回転まで回すと結構大きな振動と騒音があるのが気になったが、こちらのマーチは高回転まで回してもとても静かなので、本当に存在感がない。アイドリング・ストップ機能のため、信号待ちの時に自動でエンジンが止まるが、元々エンジンが静かなので本当に止まったのかどうかも分かりにくいほど。
馬力についてはCVTの助けが大きいのだろうが、加速は充分。B15サニーと比べても明らかに加速が優れている。
<駆動系>
発進時の加速が異様に伸びる感じがして素晴らしい。CVTのせいだと思うが、エンジンのパワー以上に加速している気がする。とにかく加速が伸びるので、思わず気付かぬ間に速度が出すぎてしまう側面もある。
また、通常だと『O/D OFF』スイッチというものが、CVTだと『スポーツ』モードというらしい。このボタンを押すと常に高いエンジン回転数を維持するモードになる。その際、アクセルを放すとエンジン・ブレーキがよく効くようになり、確かに『スポーティ』な感じに切り替わる。従来のATだと、O/DをOFFにしてもエンジン・ブレーキの効きは弱いものだが、こちらはそれなりによく効いてくれるので、アクセル操作で速度や挙動をコントロールしたい時には大変に有り難くも助かる機能だ。とはいえ、MTほどの効きはさすがにない。また、このスイッチを押した瞬間に間髪入れずに切り替わるのが素晴らしい。従来のATだと、O/D OFFスイッチを押してからギアが切り替わるまでに時間差があったが、こちらは間髪入れずに切り替わるので、とても気持ちいい。
<ブレーキ>
とてもよく効くのだが、その感触がまた素晴らしい。しっとりとしていて、絹のようなと言うべきか漆のようなと言うべきか、とても滑らかで質感のある感触。もはやリッター・カーのフィーリングとは思えない。昔のリッター・カーのような『軽くてスカスカ、何だかフカフカ・シュポシュポ』という感じが全くない。滑らかでカッチリしていて、且つ、しっとりしている、本当に秀逸だ。効き、レスポンス、コントロール性も充分。正直、とても『スポーティ』だと思う。私のスカGよりもよっぽど秀逸なのは間違いない。マーチでこんな秀逸なブレーキであるならば、最近のスポーツ・カーは一体どんな素晴らしいブレーキなのだろうか?
<足回り・ハンドリング>
今回、試乗して真っ先に感じた事、最も感激したのは足回りの秀逸さだ。乗り心地は極上なのに、全然フニャフニャしておらず、コーナーでも全く以って安定している。且つ、足回りに関しても、滑らかでしっとりとした上質感が満ち溢れている。
従来のこのクラスの車で言うと、乗り心地優先のために足を柔らかくする反面、『フワフワ、スカスカ』な状態となり、コーナーではフラフラ腰砕けになる始末だった。
ところが、この車は全く違う。そういえば、この車は余りロールしない。より厳密に言うと、私の感じた限りでは、今までのフニャフニャ車に比べて、ロール速度が遅いのではないか、と思う。だから、コーナーによっては、速度を高めて車を追い込むと確かにそれなりにロールはするが、そこまでロールするまでには結構時間が掛かる。
但し、その分、軽快さはない。ハンドル操作に対するレスポンスも、このクラスの車としては非常に遅い。それが、このクラスの車らしからぬ安定感、重量感、どっしり感を生み出している傍ら、“軽快さビンビン”の楽しさはない。挙動の遅さという点では、このホイールベース、この車重の車としては有り得ない事に、気持ちよくカーブを曲がるためにはフェイントを使いたくなる。
ハンドリングのレスポンスという点に関して言えば、先代K12の方がずっと軽快で鋭敏なので楽しいと言えば先代の方が楽しかったかもしれない。でも、それに対して、こちらは質感と安定感がグッと向上している。味付けの問題だから、どちらが優れているという事はない。それにしても、スペック表を見る限りでは、先代マーチも現行型もどちらも車重900kg台であり、大差はない。車重によるものでないとすると、ダンパーを固めにしているのだろうか。それも伸び側のレート??? その秘密を私は知りたい・・・
家の近くでいつも通る橋があるのだが、ここは路面のつぎはぎのせいで必ずガタンガタンという突き上げのあるポイントだ。ここを走った感触で言っても、このマーチは本当に秀逸だ。まるで突き上げがない。これには感心するばかり。今まで、足回りの柔らかい車でも、ここを走ると結構突き上げがあった。足回りフニャフニャの車はこういうところで結構突き上げがあり、案外、乗り心地が良いとは言えないのかもしれない。それに対して、このマーチは今までも最高の素晴らしい乗り心地だった。
<その他機能>
信号待ちなどで、自動でアイドリング・ストップする機能が付いている。ブレーキを踏んで車が完全に止まるとエンジンが止まり、ブレーキ・ペダルを放すと再び始動する仕組のようだ。だが、これだと、ブレーキ・ペダルを放してからエンジンが始動し、それから発進という流れになるので、発進が少し遅れる事に注意しなければならない。例えば、右折時に交差点の真ん中で待っている時でもエンジンが止まってしまうので、対向車が途切れた瞬間にすかさず出ようとすると、エンジン始動する間の時間だけ少し出遅れる。また、信号発進の時でも、やはり通常よりも発進のタイミングがワンテンポ遅れるので、慣れていないと少しストレスに感じてしまう。エコを優先するか、レスポンスを優先するかは好みの別れるところだが、このアイドリング・ストップ機能をキャンセルするスイッチもついているので、好みに合わない人も安心だ。但し、この場合、私の試乗した限りでは、デフォルトでアイドリング・ストップ機能がオンになっており、エンジンを切る度にデフォルト状態に戻ってしまうので、これをキャンセルしたい人は毎回エンジンを始動させる度にキャンセル・スイッチを押さないといけない。デフォルト状態でオフにできる機能があるのかもしれないが、私は把握していない。
Posted at 2011/09/26 17:41:53 | |
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