エスティマの試乗

エリシオンが候補であるからにはエスティマもいちおう試乗してみるかということで、軽い気持ちで試乗しました。（この2台、値段的には競合車のようで、営業もお互いに微妙に意識しあっているような感じがします。セールス上は、まあ、その、路上で見かける頻度がそのままの結果ということで。）

エスティマは、2代目の3列目に30分ほど乗った事があり、狭いし揺れるしシートがガタガタするしで、「この程度のものなのかあ、こりゃあり得ないわ～」と、まったくもってアウトオブ眼中だったのですが、3代目後期型のハンドルを握ってみれば予想以上にいい車だったというのが正直な感想です。

ということで、高速を中心に、若干の一般道も含めた千葉～佐倉間の試乗です。

試乗車はアエラスGエディションという特別仕様車で、FF2.4リッターのCVT。天気は雨。試乗時間は1時間ほど。
意識としてはエリシオンと比べてどうなのか（しかも運転席で感じること限定）というところに少し重きを置いた試乗です。コースも同じです。

フォトギャラリーエスティマも合わせてどうぞ。

結構加速がいい。
セールス氏を含めて大人3人子供2人での試乗だったが、アクセルを大きく踏み込まなくてもスーッと加速していく。飛び出し感は無いが動き出してからがまあまあ速い。エリシオンはもう少しもっさりしていた。（個人的にはもっさりでOK。むしろ飛び出すほうがいや。）

高速巡航は結構楽だし、高速への合流も楽。加速時のエンジン音はそれほど気にならない。100キロ巡航は余裕。120キロも大丈夫。横風への耐性も結構いける感じ。雨天でロードノイズが大きめだったこともあるが、気になる風切り音は聞こえない。直進性もまずまずいい感じで浮ついた感じは無く、中速域から上の加速がいい印象もあって高速は疲れなさそうだが、エリシオンの安定感、安心感には少し届かない。

ハンドルの感触はしっとりとした感じで軽くも無く重くも無い。印象はエリシオンに少し似ているがエリシオンが上。ただ、まれに路面からの外乱を増幅しているような感触が来ることがあった。電動パワステが何か悪さをしているのだろうか。油圧のエリシオンならそんな心配は無い。

乗り心地はエリシオンに近いところまでいっているがエリシオンが上。しかし差は大きくない。わりとフラットな姿勢を保つ感じでアルファード（マイチェン前）のようになんとなく常に揺ら揺らしているようなことは無い。橋のジョイントなどもあまりショックを伝えずにいなす。高速での乗り心地は結構いい。
街中は時々硬い。路面が荒れているところは少々コツコツと振動がくる。轍の底に亀甲状のひび割れがあるところを60キロくらいで通過する場面はエリシオンには敵わない（エリシオンの乗り心地がミラクルかもしれない）。街中の乗り心地はエリシオンが明らかに上だが、エスティマがどうしようもないかといえばそんな事は全く無く、乗り心地全般としては結構良い方ではないだろうか。しかもミニバンにしては地に足付いた感覚がある。ヴォクシーでは緊張して身構えた高速出口のランプは余裕で通過。

ブレーキの印象はまあまあ。０G停止は容易。特にこれといった印象を感じなかったのは今乗っているコロナに近いからなのか。

CVTの感覚はあまり嫌なところが無い。むやみにエンジン回転だけが先に上昇してしまう事もあまり無い。トルコンズルズルのATよりも直結感があるくらい。CVTにありがちな減速時にやたらグイグイとエンジンブレーキが効くことも無い。これならATからの乗換えでも許せる。むしろ多段ATでは実現できない途切れの無い加速が味わえるメリットのほうが大きいかもしれない。

静粛性も結構いい。しかしエリシオンには届かない。

運転視界はまずまず良好。アイポイントはセダンの屋根と同じくらい。屋根越しに遠くを望むとまではいかないが、十分気持ちいい。フロントウィンドウが寝ていてAピラーも寝ているが、ピラーが少し遠くて車幅もあるせいか視界の邪魔になるという印象は薄く、鬱陶しさは少ない。

センターメーターは好みでないが、速度計は大きくて文字盤も読みやすく、意外にも許容範囲。ところがそれ以外のメーターはダメ。回転計はあまり見る気がしない。燃料計と水温計はセンターメーターの一番助手席側に小さいのが付いていて、これまた見やすくない。トータルでのメーター類の見易さは明らかにエリシオンが上。

運転席に座って、「さあ、車を運転するぞ」という気分の盛り上がり感はエリシオンのほうが相当上。そのあたりはエスティマはかなり薄味。

ということで、なんだかんだで色々な部分を比べるとエリシオンのほうが上、特に乗り心地やメーターの視認性を含めたトータルの運転のしやすさ、車としての基本性能はエリシオンが上。

しかしエスティマがダメかといえばけっしてそんな事はなく、エリシオンとの相対比較で及んでいないだけであり、絶対的にはかなり良いほうなのではないかという印象。性能的に我が家にとってエスティマがダメだというポイントは無かった。我が家にとっては十分以上。エリシオンは走り出した瞬間に「うわあ、なんだこの快適な車は」と感じたが、エスティマもそれに近い印象を受けた。

結論：これは選択肢だ。