前回までのあらすじ・・・
なんやかんやで参戦決定。
結構本気で準備。
レースは順調、一時は表彰台と思われたが。
あと2時間のところで異変が・・・。
「エンジンかからなくなりました~っ」
という悲痛な叫びが無線を通じて聞こえてきます。
時刻は午後7時過ぎ・・・
「セルは回るんですけど、燃料来てません。」
とりあえず、チームに車が停まったことを伝えます。
ピット内も騒然。
AHA松さんが、電圧の確認を要請。
「電気は・・・、12Vあります・・・」
いくつかやりとりしますが、原因がわかりません・・・。
更なる問題は、車がサーキットの中に停まっていること。
車のリアが少しコース上に残った状態です。
このままドライバーを乗せっぱなしにしておくのは危険です・・・。
t_murさんから、外に退避していいか、との要請が入ります。
作業すればなんとかなるかもしれません、今なら3位のままです。
でも、当然皆が怪我無く帰ることの方がもっと大事です。
即座に車を離れるよう、指示を出します。
ここでドライバーは車を離れ、無線も通じなくなりました。
場内で車を探していたチームメンバーから、1個目ノヘアピンで止まっている、との連絡。

ちょうど矢印の辺り。小山の影の向こう側です。
別の角度から見ると、停まったまま、フラッシングIDを点滅させる106が確認できました。
あまりにも突然の事態。
まったく予兆もありませんでした。
皆、呆然とした表情、このままSCが出て、車両が戻ってくるまで、なすすべがありません。
ラップモニター上では、後ろの車が徐々に周回数の差を詰めてきます。
AHA松さんと専務さんが、主催者にSCを出すように要請しに行きます。
一度は断られますが、諦めません、もう一度話しに行きます。
SCは基本2時間に1度しか入りません。1時間以上待つことになります。
その間にも、今度はやけに早いペースで時間だけが過ぎていきます・・・。
「あっ・・・。」
と誰かがつぶやきます。
オートプロプジョー106が、N Class 4位に転落したのです。
しかしまだSCは出ません。
トラブル発生から、15分がたち、20分になろうかとしています。
順位は下がっていきます。
ついに、N Class 5位へと下がりました。
最悪の状況に備え、予備の車の準備が始まります・・・。
何人かは食い入るように、ラップモニターを、
そして他の何人かは、祈るようにコントロールタワーを見つめます。
しかし、その時。
コントロールタワーで人の動きが激しくなります。
・・・、
黄旗です!
SCのプラカードも出ます。
我々のために車両回収車が、出動します。
しばらくして
無線にノイズが入ります。
続いて、t_murさんから、
「これからピットに戻ります。」
との連絡が!
トラブルから30分後車はピットに戻って来ました。
皆が駆け寄り車をピット前に誘導。
メカが車をチェックして、エンジンをかけてみると、
短いクラインキングとともに、エンジンがかかりました!!
歓声!
どうやら緊急用のフューエルカットスィッチの誤作動が原因のようです。

まだ、諦めるわけには行きません!
大急ぎで給油します。
ドライバーはさといもさん。
もはや燃費は関係ありません!
ガンガン追い上げの指示を出し、午後7時51分コースへと復帰します!
順位はN Class 5位。
総合では20位辺りまで落ちました。
N Class 4位との差は10周程度。

皆の声援を受けて、さといもさんは快調なペースで飛ばします。
この時間帯になると、各チームエース級のドライバーを投入し、ペースも上がっています。誰もが1台でも上を目指し、限られた夜間視界をものともせずに、ハイペースを維持します。
ペースを上げるあまり、さすがにクラッシュや完全なコースアウトは無いものの、
あちらこちらで軽くコースオフする車が続出、土煙が上がります。
目の前で土煙上げられると、ライトが反射して何も見えなくなります。
かなり危険な状況ですが、さといもさんのペースは落ちません。
しかし上位チームもさるもの。中々周回差は詰まりません。
そして、1時間が立とうとする頃でした。
突然の無線連絡。
「もう燃料ありません~、警告点いてます!」
これはおかしい。車両救出の後燃料は満タンにしたはずです。
むしろ、メーター側の問題かもしれません。
いずれにしても交代時間も近かったので、ピットインの指示を出します。
いよいよ最後のドライバー交代です。
最終ドライバーはOさん。このコースをもっとも知りつくした男です。
しかし、
確認してみると、やっぱりガスがありません。
残り時間を考えると、念のため給油するしかないようです。

虎の子の2分間を費やして、最後の給油です。
・・・意外に量が入ります。どうやら、その前の給油で急ぎすぎたようです。
いまだ順位は N Class 5位。
午後8時45分、最後の追い上に出発です。残り50分。
N 4位の車ももう一度ピット/給油があるようです。
指示は「全開」です。
ペースの上がった車両、時折あがる土ぼこりの中、
Oさんは16秒台のペースで走り続けます。
一周、また一周、ラップタイムを読み上げながら、
祈るようにラップモニターを見つめ続けます。
周回差は詰まってきています。
しかしまだ6周差。
そして残り時間は後20分。
残念ながら、順位を上げるのは難しいようです。
しかし誰もペースを落とそうとはしません。
もちろん他の車に最後の最後でトラブルが出る可能性もあります。
でも、そのためじゃ無いんです。
耐久レースで、たとえ順位が見えていても、最後までできる限りの力を見せる。
自然にそんな空気が流れているんです。
後数分で午後9時35分。

サインエリアは人であふれています。
皆ゴールの瞬間、そして全てのレース車両への祝福を待ちかねています。
ピットからは、残り時間を伝え、後数周だと話します。
そして

ついにそのときはやってきました。
午後9時36分。
先頭を走るMR-Sに、チェッカーフラッグが振られます。
次々にレース車両がチェッカーを受けます。
無線が入ります。
「今、最終立ち上がった~!」
皆が見守る中、我々のオートプロプジョー106が、チェッカーを受けます。

エビスの夏の12時間は、チェッカーと同時に花火を打ち上げてくれます。
レースカーの中からも花火が見えるようで、チェッカーが出たことが分かるそうです。
12時間の、そして数ヶ月前の準備からの、さらに昨年のレース終了からの、
暑くて、熱くて、長い時間の終了です。
最終結果は
Lap数 444周
総合 17位
N Class 5位
昨年よりは良かったけれど、目標には届きませんでした。
上位を目指すには、やはりトラブルフリーでなくてはなりません。
悔しい結果ですが、学んだことも多かった2012年でした。
そしてその夜の宿では、既に来年の話が出ているのも例年通り。
来年、また全然ドラマティックではない、
完全勝利の日記が書けることを願って(笑)。
おしまい。