• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2010年02月06日

プリウス事件とタイレノール事件

プリウス事件とタイレノール事件 私の好きな自動車ジャーナリスト、岡崎五朗さんのブログでトヨタの豊田社長によるプリウスをはじめとする最近の問題に対する記者会見についてのエントリーがありました。

私もゴローさんの意見に同意です。

で、今回の一連の流れを見ていて思い出したのが、1980年代にアメリカを震撼させた「タイレノール事件」とそれに対するジョンソン&ジョンソン(J&J)社の対応。これは、アメリカでのマーケティングの教科書やケーススタディで必ず取り上げられる有名な話です。

1982年9月、アメリカのシカゴで7人の市民が青酸化合物による中毒で死亡し、その直前にJ&Jの鎮痛剤「タイレノール」を服用していた、と警察が発表しました。(実際にはタイレノールはJ&Jの子会社マクニール社製でした)

これを受けて、J&Jは直後に役員会を開き、タイレノールが原因かどうかまだ特定できていない段階で市民に対して「タイレノールを一切服用しないでください」という大規模な告知キャンペーンに乗り出します。合わせて専用のフリーダイヤルを設置し、10万件以上の消費者の問い合わせに対応。さらに、毒物混入可能性のある製品の店頭からの回収を発表し、実施しました。

当時タイレノールは鎮痛剤市場で35%シェアを誇っていましたが、主力のカプセル剤が店頭から姿を消し、もちろんこのブランドをわざわざ買う消費者もいなくなり、シェアは8%に激減したそうです。(8%残っただけでもすごいですが)

J&Jはこの間、1億ドル分以上もあった小売店頭商品の回収、消費者が既に購入済みの製品を安全な製品に取り替える取り組み、そしてなにより積極的な情報開示と告知キャンペーンを展開し、全米の世帯の85%が2.5回以上はこの告知TVコマーシャルを見た計算になるレベルでの投入を行いました。

やがて、毒物混入があった製品は複数の工場で別々に作られていたこと、そして混入商品がシカゴエリアでしか見つからなかったことなどから、製造段階ではなく小売店頭で第三者によって青酸カリが混入されたことが明らかになります。

事件の2ヵ月後には、こういったコミュニケーションの努力などの甲斐あってタイレノールの売り上げは事件前の80%までに回復。6ヵ月後には、外箱の密封化、ボトルキャップの固定、ボトル口のフィルム固着などの新パッケージとして、第三者が開封したらすぐに分かるような工夫をこらしたタイレノールの新製品を発売し、短い期間で鎮痛剤シェアNo.1の座を回復するに至った、とのこと。

この件でのJ&J社の対応は、極めて優れたものとして賞賛を受けました。今回のトヨタとの違い、あるいは学びは何があるでしょうか?僕の勝手な感想ですが、こんなところでしょうか?

1.なにはともあれ、事態への対処方法を消費者に大至急、具体的に伝える
*「タイレノールを飲むな」とまず明言したJ&Jに対して、「ごめんなさい、信頼してください」しか言わないトヨタ
*「プリウスに乗っている方、まずはこういう風にして対処してください、ご不明な点、不安のある方はこちらの問い合わせダイヤルに電話してください」という告知を、記者会見の場でも行うべきでは?

2.自分に責任があるかどうか、何が問題なのかが分かる前であっても、消費者を守るために必要な対策はコストをかけてでもスピーディに行う
*全商品の回収を決めて迅速に行ったJ&J、「調査中です」と言っているトヨタ
*別に、すぐにリコール/回収すれば良いと言うことではなく、まずは「こういう対策を至急打ちます」ということを現時点で可能な限り具体的に伝えるべき

3.問題を再発させないための対策を打ち、消費者に見える形で伝える
*J&Jはパッケージの刷新という分かりやすい手段で示すことができた(高コストにはなったが)
*クルマでも、説明の工夫で分かりやすくすることはできるはずだが、トヨタはあいまいにせずしっかり打ち出せるか、これからの課題

トヨタのような大会社、しかも比較的保守的な人が多そうで経営陣にも頭の固い人が居そうな会社だと、たとえ創業者一族の豊田社長が「こうしたい」と思っていても、社内の反対論があるとそれを押し切るのが難しいんだろうな、と勝手に同情してます。

もちろん、タイレノールでは7人もの犠牲者が出ていて、事態の深刻度ははるかに高かったのは間違いありません。また、医薬品という比較的シンプルな製品であり、問題の原因が店頭での第三者による故意の毒物混入と言うことも比較的早期に分かり、対処方法も具体化しやすかったのだとは思います。

ただ、危機的状況のときこそリーダーの真の価値が見えてくるのも事実。ぜひ豊田さんの力を発揮して、「あの危機があったからトヨタはさらに強くなった」とあとで言われるような会社にする好機と捉えて思いっきり推進してみていただきたい、と外野として勝手に思ってます。

これからもトヨタ車は多分買いませんが(ごめんなさい)、会社としてはおおいに応援してま~す!!

(あ、でもホントーにワクワクする車出してくれるなら、買っちゃうと思います。実質価値だけじゃなくて、精神的価値もしっかり作り上げてくださいね。)
ブログ一覧 | クルマネタ | 日記
Posted at 2010/02/06 10:17:43

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

SESAME フェイス Pro
ヒデノリさん

6/5 木曜日の朝‼️
ミッキーたんさん

関東は今日から暑くなるようです!
のうえさんさん

本日のランチ!(岩内町にきたらここ)
かんちゃん@northさん

人間ドックの結果がキタ~💦
chishiruさん

601📛『週末ドライブ』&『和K ...
ひろネェさん

この記事へのコメント

2010年2月6日 13:08
五朗さんのブログ見てきました。
そして改めてこのブログを読み直しました。^^

原因がどうあれ先ず早急に対応しなければならないのは、危険に直面されている顧客です。
メーカーの所為か第三者の行為かより今消費者が注意しなければならないことは何か!
それを製造者&販売者としてきちんと伝えることが、最優先ですね。

今回プリウス問題にしてもメーカーや販社がこの2系統のブレーキシステムを良く説明し
重要事項&注意喚起情報として伝えたならばここまで連鎖的に騒がれなかったかもしれません。
それ以前に売る側の都合を使用者側に押し付けてしまった感もありますが・・・
インサイトに対抗するため、販売時期を急がせた、故に軽微な問題点を感性のずれと受け止めた、
エコ替えと称して、販売政策を強化し結果的にヒットを飛ばしたが、ソフト面も同時に強化しなかったのが裏目に出ている気がします。
起きてしまった問題にあたふたせず、経営TOPらしい素早い判断で顧客を守る、言葉だけでなく実行に移したJ&Jやメルセデスの様な対応をトヨタにも実行して欲しいですね。

レクサス販売に躍起になるよりも、日本人のための日本の車を考えて作って欲しいです。
元トヨタユーザーであっただけに早期信頼回復に期待します。(買う買わないはやっぱり別問題ですがw)
コメントへの返答
2010年2月6日 20:54
本当に仰るとおりですね。

果たしてトヨタという会社はどこまで顧客のことが見えているのでしょうか?

「ブレーキが効かない感覚が一瞬あっても問題ない。さらに強く踏めばちゃんと停まるんだから、素人は四の五の言うな。」という姿勢がこれまでの発言から感じられます。

もう一度、どんなクルマを作りたいのか、どんなメーカーになりたいのかをゼロから見直すいい機会なのかもしれませんね。
2010年2月6日 15:26
はじめましてー。

両ブログ見させて頂きました。私が感じたのは、メーカーとしての危機管理の甘さもありますが、やはりマスコミの怖さです。

プリウスに致命的欠陥が有るというのには厳し過ぎるかもしれません。しかし今回は時期的にブレーキマットやアクセルペダルの問題に重ねる形で出てきました。この時点で、トヨタ社内でも当然とにかく謝罪する方向やいろんな検討がされていたとは思います。
しかし実際はそれの結論が出てくる前に、米政治家のトヨタ乗るな発言などがクローズアップされ、マスコミも煽る方向に。基本的に最近の報道は弱者保護の方向で有れば際限なくやってしまうような気がします。

関係ないですが、朝青龍のことでも、さんざん叩いて置いて、いざ引退となると、びっくりしたとか、まー凄い横綱だったとか。

今の時代は大きなコトでなく個人のことでさえ、こんなブログやなにかがあっというまに炎上するぐらい攻撃という物が急にしかも強烈になりつつあります。ましてや世界のトヨタ、格好のネタという感じです。勿論マスコミにはみんなに伝える義務がある!的な所があるのでしょうけど、必要以上になっているのでは。

しかし良い悪い別にして現実はそういう状況で、トヨタはそこを見誤ったのだと思うのです。大会社の社長、御曹司直系でも彼が全てを引っ張っていけるかどうかはわかりません。でもとにかく問題有るとこは尚して、真摯に対応していくしかないでしょう。

一般ユーザーや私たちは、あまり情報だけに迷わされないようにしたい物ですが、けど情報全く信じないっていうのもおかしいし、難しいです。取りあえず冷静にってとこではないでしょうか。


コメントへの返答
2010年2月6日 20:59
どーも、はじめましてー。
コメントありがとうございます!

メディアの報道姿勢について100%同意です。

報道だけではなく、バラエティ番組などの作り方も含めて、日本のメディアは極めて「感覚的、扇情的、一時的」なスタンスで仕事をしてます。

視聴率や販売部数などでしか評価されない仕組みの中で仕事をしているのでこうなってしまうのでしょうか?

海外のメディアもほめられたものではない面もありますが、ジャーナリストとしての自負をもって仕事をすることで評価される環境が日本よりも整っているのではないかと思います。

我々消費者も、できるだけいろんな情報をしっかりと取りながら、正しい理解と判断ができるように気をつけないと、ですね。

プロフィール

「やっぱりバブルだね http://cvw.jp/b/572203/44975398/
何シテル?   03/30 12:13
いい年して天然ですがよろしくおねがいします。
みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2025/6 >>

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

リンク・クリップ

12年、24万Km…今まで本当にありがとう 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2022/09/03 17:02:20

愛車一覧

BMWアルピナ B3 ツーリング BMWアルピナ B3 ツーリング
G21 BMWアルピナB3ツーリングのLCIモデルです。 これで6台目のアルピナですが ...
BMWアルピナ B8グランクーペ BMWアルピナ B8グランクーペ
アルピナ近年の傑作、B8グランクーペが納車されました。 RHD、アルピナグリーンにゴール ...
BMW 1シリーズ ハッチバック BMW 1シリーズ ハッチバック
コンパクトカーが便利な場面も結構あるので。実用車として良い車だと思います。
その他 その他 その他 その他
ブログを書くようになり、これまで時計の写真をちゃんと撮ったことがなかったことに思い当りま ...

過去のブログ

2023年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2022年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2021年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2011年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2010年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
2009年
01月02月03月04月05月06月
07月08月09月10月11月12月
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation