
今日のニュースで、世界の株価時価総額が「危機前」の水準に戻りつつあるという話がありました。
ぜんぜんそんな実感ないよなー、と思いながらヤフーファイナンスで株価の状況を見てみると、画像のような状態です。
日頃から経済を追っかけてる人には常識なのかもしれませんが、84年の初めから09年10月までの26年弱で、アメリカの代表的株価指数であるDJIA(ダウ平均、赤い線)は800%値上がりしているのに対し、日経225(青い線)のインデックスはちょうど0%です。この間、87年10月にはあの“ブラックマンデー”があり、世界の株式市場が急落しました。チャートでも左端の方で見てとれますね。なお、このチャートは縦軸が「対数軸」になってるので最近のアメリカの株価の変動がだいぶ控えめに表示されてます。
それにしても、「100年に一度の危機」とまで言われた状況から1年しか経っていないのに、アメリカの株価はこの26年間で9倍になる水準を維持してるわけです。年平均の上昇率に直すと8.9%です。これって強烈な話ですよね。途中での凸凹はありますが、結果として26年間毎年コンスタントに8.9%上昇を続けるペースでないと、株価は9倍にならないわけですから。この2月の金融危機どん底状態でも84年比500%値上がりですから、配当収入を除外したキャピタルゲインのみ考えても年平均7.3%のリターンだったというわけ。(しかもアメリカの企業は日本に比べて配当性向が高い所が多い)
これに引き換え、日経平均の方はバブル絶頂の1990年にかけてはダウ平均を凌ぐ上昇率でしたが、そこからは惨憺たる有様です。84年から26年間持ち続けていても、わずかな配当をもらうだけにしかならずキャピタルゲインはゼロ、ということ。アメリカが今回の「100年に一度の危機」で失ったものなんか日本のこの26年の機会損失に比べれば誤差みたいに見えます。
じゃ、これからの日本はというと「よし、今は厳しいけどこれから日本は強くなるぞ」という話は極めて限られています。当面は「うつむき加減」の国のまま行ってしまうのでしょうか?ハトヤマさんもマエハラさんも花火だけは打ち上げましたが、JALタスクフォースとかいうのも迷走を始めてるようだし、、、。
でも、アメリカのチャートを見て気がつくのは、ダウ平均が急速に伸びたのは2000年にかけての15年間だということ。この間、85年のプラザ合意をきっかけに世界的にドル安が進み、日本では強い円が過剰流動性と相まってバブル経済に繋がっていったわけですね。アメリカはと言えば、ドル安を活用して製造業が復権したかというと全くそういうことはなく、経済のサービス化が加速したわけです。この間GDPに占めるサービス産業の比率はほぼ8割に達し、製造業でまともに輸出競争力を持つところは製薬業界などごく一部という結果になっています。金融工学が発展し、ある意味サブプライムのタネが仕込まれたのもこの時期です。
この間のアメリカは「自分たちのやり方でとにかく儲かるところ、儲かる事にフォーカス」して経済を伸ばしました。金融業界しかり、不動産業界しかり、製薬業界しかり、IT系しかり。安い賃金でも地道に働く、なんてことができるお国柄ではないので、フツーの製造業が衰退したのは当然です。製造業で伸びたところも、金余りを背景に買収で規模を拡大していたところが多いと思います。
日本のこれからはどう進むべきでしょうか。アメリカのような「儲かりゃいいんだろ」的な割り切りを受け入れる風土はなく、そうは言っても皆が求める生活水準は高く、ハングリーさを失い、新しいアイデアを伸ばす土壌に欠け、敗者復活のチャンスも限られ、高齢化が加速度的に進行する、、、。
どうにも僕には日本が「じり貧に向かう茹でガエル」のようにしか見えなくって、心配です。
ま、僕なんかが世の中の隅っこで心配しててもしょうがないんですけどねー。
またまた失礼しやしたー。
Posted at 2009/10/19 11:54:51 | |
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