
一昨日はアウディRS6について「ヒツジの皮を着たオオカミ」が好きだって話を書きました。
で、今日のニュースを見て持ったのが「こいつはアヒルの皮を着たハヤブサだな~」っていうバカみたいな感想。東北新幹線の新型車両「はやぶさ」です。
でも、なんとも妙なデザインだと思いませんか?運転席の先にムニョ~っと伸びたへんちくりんな形のクチバシがついてて。人それぞれの感じ方だと思いますが、世界でも一番カッコ悪い電車の一つでは?
なんでもこのデザインはトンネルを出る時にバーンという音を出さないために、断面積の変化率を一定にしながら、運転席の窓ガラスからの視界を確保しようとして生まれたものらしいです。
ま、リクツは分かるんですが、いかにも「エンジニア」の考えそうなことで、「デザイナー」が関与していないことが良く分かります。ある意味、ニッポンのものづくりへのスタンスの典型例ともいえるのでは?
この根本に流れているのが、極端に話を持っていきすぎかもしれませんが「人生の豊かさ」というものに対しての理解やコミットメントの不足だと思います。別の言い方をすれば、「クオリティオブライフ」についてのみんなの期待値が低い、ということ。理系の人に別に偏見はありませんが、えてして理系的に頭のいい人はなぜか、人生楽しむというスタンスの割合が少ない、と感じます。
腕時計一つとっても、エンジニア系の人のクオーツ、さらには機能一辺倒のデジタルクオーツ時計をしている割合は、文系の人に比べてかなり高いのでは?という気がしてます(僕の周辺での観察なので間違ってると思いますし、僕自身クオーツも好きな時計が結構あるのでエラそうなこと言えませんが)。んでもって、エンジニア主体で行きすぎると「製品」としては優れいていても「商品」としては「??」なものになりかねない、という気もしてます。次のM5が「アヒルの皮を着たハヤブサ」みたいなデザインだったら、誰も買いませんよね。
これに対して、例えば南ヨーロッパに旅行したら皆さんも感じられたと思いますが、町の作り方や公園のあり方、ちょっとした小道でのオープンカフェ、平日も深夜までにぎわうバーなど、ニッポンよりも明らかに一人当たりGDPは低いはずなのに、「この人たちホントに人生をエンジョイしてるなー」と感じます。
ヨーロッパに限らず、アメリカでも結構感じますし、オセアニアでも同様。
ニッポンは世界第二位の経済規模を持ち(中国に抜かれてもダントツ3位)、個人の資産も額面上は多い、という国でありながらたまの休日は渋滞ぎっしりの高速道路、良さげなお店はすぐに行列、海沿いの町でもどうにも町並みゴチャゴチャ通りも狭い、夏の湘南あたりにでも行こうもんなら毎日の通勤列車の方がマシだったってな混み具合、、、
あまりにも「人生の楽しみ方」オプションが貧弱に見えてしまいます(実は発想変えればいろんな楽しみ方があるし、そうしてる人もいっぱいいますけどね)。明治維新以降、そして敗戦以降欧米の先進国に「追い付け追い越せ」で頑張ってきた姿勢はとても素晴らしいと思うのですが、その中で「楽しむ」ということがおろそかにされ過ぎたのかな、という気がします。
本来、ニッポンは伝統工芸(美しい着物、蒔絵、木工、などなど)や伝統芸能(歌舞伎、落語、能、などなど)そしてまた賑やかな祭りに代表されるように、もともと庶民も人生を楽しむ姿勢を持つ国でした。「京の着倒れ、大阪の食い倒れ、神戸の履き倒れ」なんて言い方もありますね。
そろそろ、僕たちニッポン人も本来の「人生を楽しむ」スタンスを思い出して、それを忘れずにいい仕事をしまっせ!!っていう形にしていくのが必要じゃないかな、と思います。そうすると、これまでに培った素晴らしいエンジニアリングの力が本当に活かされてくるんだろうと思いま~す。
またまたいつものごとく勝手な戯言、失礼いたしやした~~~!!
Posted at 2010/06/17 12:19:29 | |
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