
ネットでミュージカルフィデリティを検索すると、A1というアンプの情報が異様に多いことに気づきます。
女性ボーカルの艶やかさが独特の世界だとか、トロトロの大トロの再生音を聴かせるとか、個性的な魅力に溢れたアンプのようです。
創業者のアントニー・マイケルソンはクラリネット奏者だったそうで、データよりも彼が判断する良い音楽を聴かせることを追求するという開発方針で生まれ、純A級作動で設計されたのがA1です。1980年代に発売され、いったんカタログから消えていたものの、2年前に現代的にモディファイされて復活したモデルが発売されています。
ネットにある情報では、音ではなく音楽を聞かせるアンプという賛辞と、A級動作で物凄い発熱がある(上面パネルで目玉焼きが焼ける?)のに、放熱を考えていない躯体と耐熱マージンの低い電子部品が使われていて、宿命的な故障に絡む情報に満ち溢れています。あるサイトでは「自分の身を燃やしながらすばらしい音楽を聴かせてくれるアンプ」と表現されていたりします。
A1はデザインも個性的です。通常の半分以下の高さで船底のような傾斜がついたフォルムは一見液晶TVとセットになったHDプレーヤーのようですが、ボリュームとセレクタのつまみなど独特の魅力があります。これはAudiのデザイナーがデザインしたのだとか。
A1の聴かせる音楽に魅入られてしまって、ミュージカルフィデリティの世界から抜け出せなくななった方もたくさんいらっしゃるようですし、2台目、3台目のA1(派生モデルも含めて)を故障したときの予備機に購入されている方もおられます。禁断のA1なのですね。
僕が使っているE-100というモデルは、A1の美点でも欠点でもあるA級動作ではなく、一般的なAB級動作に変更されたモデルで独自性が薄れたせいか、ほとんど情報がありません。僕はE-100でも国産アンプにはない音楽がよく聞こえればいいじゃないかという個性は感じるのですが、一度は「自分の身を燃やしながらすばらしい音楽を聴かせてくれるアンプ」というのを聴いてみたいものだと思うようになりました。きっとE-100の美点が突き抜けた音があるんだろうという期待です。検索では結構中古品も見つかるのですが壊れやすい古いアンプでなかなかポチッという勇気が出ませんでした。
何気なく見つけたブログで、ある方がA1を内部部品を耐熱性の高いものに交換し、なんと天面の放熱パネルを穴あけ加工して放熱性を高めて永く使えるようにモディファイする過程が載っていました。そしてそのA1を譲ってもいいですという最新ページがありました。
昔の英国車でも、こういうモディファイありましたね。
僕の友人でジャガーの12気筒に惚れ込んで購入したのが、オーバーヒートと電装関係のトラブルに悩まされて、電装品を国産品に換装し、配線を引き直してもらい、特注のラジエターを載せた男がいました。
クルマと違って、モディファイすれば出てくる音も変わってしまって、もはや同じモデルとは言えないのかもしれませんが、A1は20年以上前の製品で、ジャンク化した個体か何がしか部品の交換修理で救命されているものしかないような気がします。
サイボーグ化されたA1でも聴いてみたい、延命治療を施されているとなれば当面は安心して使えるし。
ということで、連絡を取らせていただいたら気持良くお譲りいただけることになりE-100のルーツ=ご先祖様を田舎家にお迎えすることになったのでした。
Posted at 2011/04/23 19:03:06 | |
トラックバック(0) | 日記