前述したような『クルマの動き』を理解するためには、多少は構造も理解しなきゃダメだよな〜・・・と思い、
Motor Fan illustratedなどを手に取ってみたのだが、『何が良くて、何が悪いのか?』がはっきりと記載されておらず、どうも自分にはピンとこなかった。
ケイマンと911。Egレイアウトの次に二者が異なるポイントとしては、サスペンション形式ではないだろうか。二者共にフロントはストラットだが、リアのサスペンション構造は、ケイマンがストラット、911はマルチリンクと異なった構造を持つ。自分はケイマンのトラクションに不満を持ったことはないが、どういう差があるのか?は知りたかった。
そんなとき、偶然発見したのが
このページ。とてもわかりやすい解説だったので、転載させていただこうと。自分では同じ文章を書けそうにないし。(^^;) 転載に至り、書いた方に承諾をいただこうとしたが、既にGoo自体を退会されているようで連絡とれず。
この方、どこかの技術者さんなのかな? 最後に『如何にも同業者的』と記載しているし。文章自体に『現場の声』が感じ取れるような文章だな、と個人的には感じる。
質問は『よく主要諸元で、サスペンションの種類を見ると、ストラット式、独立懸架、マルチリンクなどの専門用語を目にします。主な種類などについて説明おねがいします。』という内容。
以下、その回答を転載。じなが、関連写真のみ数点追加しました。m(_ _)m
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絵が無いとなかなか説明が難しいですが・・・・。
サスペンションの機能は大きく別けて2種類あり、1つはクッションとして路面からの振動を遮断する機能、もぅ一つはタイヤを車体に拘束する機能です。で、サスペンション形式とは、この『タイヤ拘束機能』の形式を指し、このサスペンション形式も、大きく別けて2種類あります。
1.リジッドアクスル(車軸式懸架装置)
車軸式は車軸自体を拘束し、結果的にタイヤも拘束するサスペンション形式です。
バネ違いによって板ばね式(リーフ式)、コイル式、エアばね式などがあり、また、コイルとエアには2リンク~5リンクと使用されるリンクの本数による形式違いがありますが、サスペンション機構やその動きそのものはどれも大同小異です。いずれにしろ後述致します独立式より部品点数が少ないので、コストダウンにつながります。
この形式は、片輪がクボミに穴に落ちたりマンホールを踏んだりすると他方のタイヤもつられて揺れてしまい、直進安定性や旋回性能があまりよくない、ばね下の質量が重く、路面の凹凸でバタバタと振動し易い、幾何学的な理由により、駆動や制動力が路面に伝わりにくい、などの致命的な欠陥があり、乗用車にはほとんど使われなくなりました。
しかし一方、構造的に簡便で大荷重に耐えるので、トラックやバスには常識的に採用されています。また、片輪が何かに乗り上げるともぅ片輪はその乗り上げ力によって引き下げられる(シーソーの様に・・・・)とゆぅ利点から、不整地で前に進む為にどこか1輪が常に接地していて欲しいクロカン系RVには、今でも大変便利なサスペンションとして採用されています。
2.インデペンデント(独立式懸架装置)
御質問のストラット式、マルチリンクなどは、独立懸架装置(左右のタイヤが連結されていない)に分類される形式です。メリット~デメリットはリジッドアクスルのほぼ逆です。
さて・・・・
>サスペンションの種類を見ると
>ストラット式、独立懸架、マルチリンクなど・・・・
>主な種類などについて説明おねがいします。
・・・・それでは現在採用されております独立式懸架装置の代表的な形式を挙げておきましょう。
1.ダブルウィッシュボーン
使われているAアームがWish Bone=トリの鎖骨に似ている事からこの名前が付いた機構で、2本のアームでタイヤを拘束するモノです。
この形式そのものは、19世紀の終わり頃蒸気自動車でアメデ・ボレーなどが採用しており、独立懸架装置の中では最も古い形式の1つ、と言えます。
さて、サスペンションはクッションとして上下に動くワケですが、この時タイヤは真っ直ぐ上下するワケではなく、路面に対し、或いは車体に対しある角度を持って動きます(専門用語を使わせて頂くと、「バンプ~リバンプでキャンバやトゥの変化がある」となります)。このタイヤの角度変化は操縦安定性上非常に重要な要素で、この角度をどぅ付けるか?がサスペンション・デザイナの腕の見せ所です。
ダブルウィッシュボーン形式はこの点での設計自由度が比較的大きく、故に極限の性能を狙うレーシングカーには必ずと言ってよいほど採用されますが、市販車ではエンジンルームやトランクルームのサイズの関係で長いアームが使えないなど制約が多く、逆に現在でもマクファーソンストラット式などより劣っているダブルウィッシュボーンも少なくありません(現在、かなりスポーティなクラスに位置付けられているクルマでも、ちょっと信じられないダブルウィッシュボーンを採用しているケースもあります)。
これは某自動車メーカーによる、単なる市場戦略で『スポーツカーはダブルウィッシュボーン』とゆぅイメージを定着させてしまった事が大きな要因だと思われますが、いずれにしろダブルウィッシュボーン=高性能とゆぅ方程式は、市販車に関してはほとんど当てはまりません。
ダブルウィッシュボーン posted by
(C)ginapoolholic
2.ストラット式
これは恐らくマクファーソンストラット式を指すのではないかと思われますので、コイツの御説明を致します。
自動車の前輪が当たり前の様に独立懸架となった第2次大戦後、市販車の前輪にはダブルウィッシュボーンが常套手段として使われていましたが、‘50年代、元GMのマクファーソン博士によってマクファーソン・ストラットが発明されました。これは元々ダブルウィッシュボーンより低コストで作れ、しかし性能的には今一歩のスライディングピラー式を改良して生まれたモノでしたが、しかし同時に、当時のダブルウィッシュボーンの欠点もある程度改善出来てしまいました。
ダブルウィッシュボーンより良い、しかも値段も安い、とあって、その後全世界に広まりました。現在でもこの形式を採用しているクルマは沢山ありますね。
『ダブルウィッシュボーン信者』はマクファーソンを「安いファミリーカーのサス」と位置付けていますが、しかし実際には、4輪ストラットのインプレッサやランエボが公道最速のマシンであり、また、フロントにマクファーソンを採用していたポルシェ911が、量産車として何十年も世界最高のハンドリングを誇っていた事実を見れば、慎重に設計されたマクファーソンストラットは、少なくとも寸法的な制約だらけでサスペンションとしてマトモに設計されていないダブルウィッシュボーンよりは遥かに高性能であるとゆぅ事が言えます。
マクファーソン・ストラット posted by
(C)ginapoolholic
3.マルチリンク式
本来はダブルウィッシュボーンもマクファーソンも複数のリンクでタイヤを拘束しているので「マルチリンク」ですが、今日では、3本以上のリンクでタイヤを拘束しているサス形式をマルチリンクと呼ぶ様になりました。
現在では1輪当り5本のリンクを使って拘束しているモノもあり見た目が異常に複雑ですが、設計自体はそれほど複雑ではありません(かつてレーシングカーのF1などでは、世界チャンピオンのタイトルが付いた‘58年以降‘78年頃まで、駆動輪=後輪は常にマルチリンク式でした)。
マルチリンク式はその名の通り沢山のリンクが必要なので当然高コストとなりますが、敢えて採用する最大の利点は、設計自由度がダブルウィッシュボーンより更に広い、とゆぅところです。
それではこのマルチリンクが最も優れいてるか?と申しますと、市販車の世界ではそぅウマくはいきません。
まずマルチリンクはリンク機構が複雑になり、その分サスペンションを上下させる場合のヒステリシス(作動に伴う摩擦抵抗?)が大きくなり、路面継目ショックなどの比較的高周波の振動遮断が悪化します。
更にダブルウィッシュボーンと同様に十分なアーム長が取れていないモノも多く、性能よりトランクを広げたかったとかフロアを下げたかった、などの理由で採用されているケースも決して少なくは無い様です(低いフロアの下にもコンパクトにまとめられる、とゆぅのもサスペンションの設計自由度の重要な要素と一つです)。
マルチリンク posted by
(C)ginapoolholic
・・・・以上の様に、カタログに記載されているサスペンション形式自体でその能力を推察する事は困難です。重要なのはどれほど要求性能を満足する様に設計されているか?であって、逆に考えますと、要求性能さえ満たせばサスペンション形式は何でもかまわない、とゆぅワケです。
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そして、マクファーソン・ストラットに関して、更に掘り下げた回答が記載してあるのが
コチラ。
質問内容は『こんにちは。インプのビデオ見てて気が付いたのですが、ストラットサスペンションって何ですか?いい物なんですか?スカイラインやエボ(7)は違うサスペンションらしいのですが・・・。よろしくお願いします』
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・ストラットサスペンションって何ですか?
ストラットとは、元GMのエンジニアであったマクファーソン博士の発明品、マクファーソン・ストラットの事だと思います。過去に似たような御質問がありました。とりあえず参考URLを御参照下さい(σ(^-^)ワタシも回答してます)。
こぅゆぅ御質問では、ホントはスケッチを書きながら御説明しないと大変判り辛いですが・・・・ザックリ御説明致しますと・・・・マクファーソン・ストラットは、1本のスライディングピラー(伸び縮みする棒=これをストラットと呼びます)と1組のロワアームから構成されており、それまで使われていたダブル・ウィッシュボンの問題点を全て改善出来た夢の様なサスで、`50年代に最初にフォードで採用されて以来世界中の自動車メーカーがこぞって採用してきました。
サスペンション-1 posted by
(C)ginapoolholic
・いい物なんですか?
ここで意外に思われる方もいらっしゃるのではないかと思われますが、マクファーソン・ストラットが、ダブル・ウィッシュボンに代わるサスとして登場してきた点です。
特にH車の信者(?)の方に多いのですが、如何なるマクファーソン・ストラットもダブル・ウィッシュボンやマルチ・リンクに性能的に劣る、とお考えになるのは大きな間違いです。それは技術的根拠のない思い込みに過ぎません。
ランチア・ストラトスは、開発段階でリヤ・サスペンションをダブル・ウィッシュボンからマクファーソン・ストラットに変えましたし(その後のWRCでの歴史的快進撃は有名ですね)、ランボルギーニは4輪マクファーソン・ストラットでスーパーカーを作りました(←ウラコやウラコ・シルエットとゆぅヤツがそぅです)。
更に、かつてのロータスのハンドリングのキモであったチャプマン・ストラットはマクファーソン・ストラットのパクリ(或いは改善案)ですし、ポルシェは20年間もフロント・マクファーソン・ストラットで世界の量産車のハンドリングの頂点に君臨していました。
とゆぅワケでマクファーソン=低性能、とは必ずしもなりませんが、だからと言って「いぃモノ」とは断言出来ません。近年ではマクファーソンの致命的な欠陥が明らかになってきました。
その一つが「設計自由度の低さ」です。
サスペンションは多数のリンク・モーションが干渉しながら上下に動く装置ですが、その為に上下動に伴ってタイヤと路面との角度関係なども変わってしまいます。設計者は理想的な幾何学変化を慎重に決定し、その動きをサスペンションにモリ込もうとしますが、この時マクファーソンはその部品配置の為に設計の自由度が低く、思う様なタイヤの動きを実現し辛い場合が多くなってきました。
これは、タイヤの高性能化よってサスペンションに要求される特性が変ってきた為、と言えますが、何れにしろマクファーソンに代わるサス形式が必要になってきたワケです。
それが、復活したダブル・ウィッシュボンでありマルチリンクです。これらはマクファーソンから見ますと異様に設計自由度が高く、理想論を見出したサス設計者にとっては大変便利なサス形式と言えます(この設計自由度の為に、過去から現代までほとんどのレーシングカーがダブル・ウィッシュボンかマルチリンクを使っています)。
ただ、ここまで読み進めて御判りの様に、根本的に設計者がマヌケで設計の狙いがマチガイだったら、ウィッシュボンもマクファーソンもありません。形式はどぅでも「正しく設計された方が高性能」とゆぅ事になります(困った事に近年でも、マヌケな思い込みで設計されたと思しきウィッシュボンやマルチリンクが見られます。勿論、ここで車名は明かせませんが・・・・これらのマヌケ・サスから見れば、インプレッサのマクファーソンなどは大健闘であると思います)。
そぅ言った意味で「マクファーソン=低性能、とは必ずしもなりません」と申し上げましたが、一方、商品性とゆぅ問題もあります。
高価で高性能なクルマなら、サスなどもそれなりの機構になっている必要があります。複雑で高度な理論と高価な材質が取り入れられたサスは、性能云々以前に所有欲と探求心をカキ立てます。クルマとゆぅモノが流行やファッションの一部、或いは巨大でメカニカルなオモチャとゆぅ要素を持っている以上、これらの魅力も大変重要な要素です。
この点ではマクファーソンは大変地味です。マクファーソンのデビュー当時は、現代で言うところのマルチリンク相当の扱いでしたが、今日の様に普及してしまうと如何にも安っぽく、他の形式と見た目で勝負出来ないのは確かです。
「ホメる時は名指しでホメる」・・・・如何にも同業者的ですが(;^_^A)、例えばスカイラインのマルチリンク・・・・その設計思想から実際の見た目や効果まで、すばらしいの一言です。複雑でかっちょエェ機構とそれに見合った性能を併せ持つ、ある意味完成されたサスペンションと言えるでしょう。
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個人的には『サスペンション形式』において、もっと大きな差があるのかな?と予想していたけど・・・結局は『形式』ではなく、『正しく設計されたか否か?』が一番重要なポイントのようですね。勉強になりました。
自分自身は、ケイマンのリアの動きに不満はなし! 急激にブレイクするような動きは一切しないから。ただ・・・今回のように知識をつけて、再度911に乗ってみたら・・・印象が変わるんだろうか? 次回、何処かで911に乗るのが・・・不安なような、愉しみなような。(^^;)