
とあるクルマの助手席に乗り、横横経由で向かった先は “いつもの
馬堀海岸”。
車内には、大排気量車特有である “低めのエグゾーストノート” が響いている。そう、ぼくが乗っていたのは “国産最速” と名高い日産
R35GT-R。
以前から “R35には一度試乗したい” と思っていた。そのため、
日産本社に行ってみたり、箱根の
Fun2driveさんにお邪魔することを計画してみていたけれど・・・どれもこれもタイミングが合わず仕舞い、結局試乗には至らなかった。
こんな感じだったので “R35とは縁がないのだろうなぁ” なんて思い、試乗に関しては諦めモード。そんなことすらも忘れかけていた昨年10月、Dr.Pさんが “R35を契約した” という。“うわー、乗ってみたいんですけど、R35!” とお願いしてみたところ、神奈川までわざわざ乗ってきてくれたのが、
昨年末のこの日だった。
馬堀海岸に到着したのは、丁度、Magic hourに差し掛かった頃。冬の澄んだ空に、蒼から橙へのグラデーションがみられた時間だった。
Test drive of R35GT-R-3 posted by
(C)ginapoolholic
先に述べておくと、ぼくは “GT-Rファン” というわけではない。名車と名高いBNR32、BNCR33、そしてBNR34にも、凄く興味があるというわけではない。
では、何故 “R35に興味を持った” のか? それはクルマ自体に興味を持ったというよりは “
水野和敏という人間が造った工業製品” に興味を持ったというほうが正解なのだと思う。
NC Roadsterを造った貴島さんにしてもそうなのだけれど、“
クルマに哲学を持ち込んでいるような人間”、凡俗に言い換えると “
これだけキャラが濃いヒト” が造るクルマはどんなクルマなのか? それを自身の肌身で感じてみたかった気持ちがあるためだ。
Test drive of R35GT-R-4 posted by
(C)ginapoolholic
復路は、Dr.Pさんのご厚意でステアリングを握らせてもらうことに。
R35は全長4670mm、全幅1895mm。ぼくがいつも乗っているNC3 Roadsterは全長4020mm、全幅1720mmなので、数字上比較すると “明らかにデカイ” ・・・はずのだが、不思議とそれほどまでの大きさは感じなかった。
一速に入れて、スルスルと走り出す。R35に搭載されている
DCTはBorg Warner製の6速。走り出し〜極低速のマナーはぼくのcayman PDKよりも良い印象だが、高速域での “カチっとハマってる感” はPDKのほうが良い印象。まぁこれは “比較すれば” の話しであり、実際にはそれほど大差ない。
ただ、“大きく違う” のは、おそらくトランスミッションからであろう、停止〜発進時に車内で鳴り響く “カラカラカラ” という独特な音。ご存知の方も多いと思うが、R35は前後重量バランス適正化のために
トランスアクスルが車両後方に配置されている。その関係からなんだろうか?
“レースカー” を連想させるため、個人的には嫌いな音ではないけれども、“なんでこんな音するの?” と思われる方も結構いるらしい。“求めているモノ” の違いだろうね。ちなみに、PDKでこのような音は皆無。
Transaxle / R35GT-R posted by
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走り始めて、アクセルを一踏みすると “1740kgの巨躯を物ともしない加速” を体に突きつけられる。 “何コレ、はっやー!!” といった感じ。(笑)
試乗させていただいた
Dr.PさんのGT-RはMY12 modelで、トルクは64.5kgf·mと圧倒的な余裕がある。ただ、その加速のなかで “んっ?” と感じた違和感。思わず、“あれ?これってターボでしたっけ?” とDr.Pさんに尋ねると “そうそう。『ツイン』ターボだよ” と。
過去、ぼくがツインターボに乗った経験は一昔前の
Z32しかない。なので、その “圧倒的な加速感” は非常に新鮮だった。
550PSを叩き出す3.8L V6 ツインターボエンジンは、どの領域からでも “頭がおかしくなるような加速” をみせ、あっという間に周囲の景色を置き去りにする。Dr.Pさんはその加速を “ワープ” と表現していたけれども、強ち嘘でもない表現だよな、と思っていた。
Test drive of R35GT-R-5 posted by
(C)ginapoolholic
帰りは、釜利谷JCTを湾岸線方向へ。ステアリングフィールや足周りを確認するために、
並木トンネル、ならびに
桜木町トンネルを通過してみたかったのだ。
話は変わるが、昨年11月、
ドイツ国内を移動するためにぼくがレンタルしたのは “フルタイムAWDモデル” のパナメーラ4。パナメーラのサイズ確認のため、PCみなとみらいにて事前に
テストドライブをさせていただいたのだが、その際にドライブさせてもらったのは “FRモデル” のパナメーラだった。
前述した2車で、個人的に印象が良かったのは “FRモデル” のパナメーラ。パナメーラ4もかなり完成度が高いと感じたが、AWDがステアリングに与える影響は “小さいながらもゼロではない” ことを知った。なので、“R35も同様なステアリングフィールを示すのでは?” と懸念していたのだ。
ただし、R35がパナメーラと異なるのは、“常時フロントが駆動しているわけではない”
ATTESA E-TSという電子制御トルクスプリット4WDが搭載されている、という点。
(↓)の図を見てもらうのがわかりやすいと思うが、このシステムは、“走行条件に応じて” 前輪にトルクを0:100 - 50:50の範囲で配分してくれる。
ATTESA E-TS posted by
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で、肝心の “ステアリングフィールへの影響” はどうか?
街中〜高速をちょっと走ったくらいでは、“AWDの違和感” はさっぱり感じられなかった。当日はドライであり、それほどかっ飛んだわけでもないので、ATTESA E-TSが介入するレベルには至らなかったのだろう。(笑)
そのATTESA E-TS介入よりも “はっきりと感じられたステアリングフィール” としては、タイヤが路面を “面で捉えている” フィール。“1輪に対して2点で支えている” “角が立っている” といったほうが適切なのかな・・・。
それもそのはず、R35 GT-RのタイヤサイズはFr 255/40、Rr 285/35(R20)。“リアは結構太いよなぁ” と思っていたケイマンでさえ、Fr 235/40、Rr 265/40(R18)であり、ケイマンのリアタイヤとR35のフロントタイヤは “ほぼ差がない” ことになる。
このサイズ、“日本の日常” においては俊敏さをスポイルしている印象が否めなかったが、300km/h近辺では “絶対的な安心感” に繋がるのだろうな、と。そしてこれが “R35 GT-Rは何も起きない” と言われている一因なのかも。Autobahnを走らせたら、相当面白そうな匂いがするけどな。(笑)
Test drive of R35GT-R-6 posted by
(C)ginapoolholic
なんだかんだ書いてみたが、ぼくの結論として “R35 GT-Rは非常に面白いクルマ” だった。ぼくが “どうしても4座に入れ替えなくてはならない” 状況であれば、乗り換えの筆頭候補にあげると思う。(笑)
今まで、自分が追い求めてきたのは “コーナーを楽しめる” クルマであり、大排気量のクルマにはあまり関心がなかった。基本的に “直線の速さはお金で買える” と思っているからね( “キッチリ” 踏めるかどうかはまた別)。
なので、“加速で気分が高揚すること” など経験したことがなく、この試乗で “新しい世界” を覗かせていただいた。
このような印象が強かったので・・・個人的には、R35 GT-Rが最も真価を発揮するのは “Autobahnや新東名などをAve 250km/hで移動するような時” ではないか?と感じた。オーナーさんはどう捉えているのか、ちょっと興味あるな。(笑)
最後に・・・貴重な経験をさせてくれたDr.Pさん、ありがとうございました!
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日々徒然 | 日記
Posted at
2015/01/08 14:18:48