
はい、
前編に引き続き後編です。今回は数学みたいになりますが・・・難しい計算等は一切省略してあるので、アレルギーを示さずに安心して下さいね。むしろ “理解しているとメリットになること” と思いますし。(笑)
さて、皆さんご存じのように、取り締まり測定には
様々な方法がありますが、代表的な方法はレーダードップラー方式。wikiからその原理を引用すると・・・
『測定する物体に向けて電磁波を照射し、物体による反射波を測定する。物体が運動している時はドップラー効果によって反射波の周波数が変化するため、これと発射波の周波数を比較することにより、運動の速さを算出する。』
とあるわけです。
つまり “反射波の周波数” を測定することで違反車の速度を割り出しているわけですね。で、それが本当に正解なのか、これまたwikiから
ドップラーの公式を下記に引用。
ドップラー公式 posted by
(C)ginapoolholic
(↑)の式のうち・・・
・音源の出す音波の振動数(f) = 測定器からの周波数 (
Xバンド:10.525GHz)= 一定値
・音速(V) = 340m/s = 一定値
・観測者の動く速度(Vo) = 有人固定式(地面においてあるだけなので0km/h)、パトカー追尾(一定時間同じ速度で走行しているハズ) = 一定値
このように(↓)の赤丸部分は “常に一定” の値を示します。
ドップラー公式-2 posted by
(C)ginapoolholic
なので、上記は “反射波の周波数(f’)と音源の動く速度(Vs)の値のみ変動する式” ということがわかります。つまり、どちらかの値が判明すれば、どちらかの値が判明する・・・ということですね。
とすると、取締りをする測定側は “反射波の周波数(f’)” を測定しているので・・・私たち測定される側で何とかできるのは “音源の動く速度(Vs)” のみです。
で、 “音源の動く速度(Vs)” なのですが、
速度(V)=距離/時間なので、レーダードップラー測定器が見ているのは “時間当たりに移動する距離” ということになります。従って、次は “レーダードップラー測定器と対象車の距離” に注目。
まずは、レーダードップラー測定器からレーダーが出る方向を(↓)と仮定。
レーダー方向 posted by
(C)ginapoolholic
■ Pattern1 - 観測者と対象が同一直線上の場合
(↓)図のように、A地点(レーダーから100m)、B地点(レーダーから10m)があったとします。対象車がA → Bへと走行してきた場合は “測定器に迫ってくる動き” になり、100-10mで90m迫ってくることが測定できます。
A to B posted by
(C)ginapoolholic
■ Pattern2 - 観測者と対象が同一直線上ではない場合
しかし、(↓)図のように、対象車がC → Eへと走行する場合ではどうでしょうか?
レーダーと直交するD地点を80mと仮定すると、E地点は92m、C地点は86mになります。(E地点へは30度、C地点は15度と仮定)
この場合、C:86m → D:80m → E:92m、レーダーから見た場合には、6m近づき → 12m遠ざかる動き、結果的に6m遠ざかることになります。しかし、クルマはその間にC→E間である69m(C→D 23m+D→E 46m)を走行しているのですね。
C to E posted by
(C)ginapoolholic
このように・・・
観測者と同一直線上のA→Bでは “90m走行において、90mの距離変移が測定できる”
の対して
観測者と同一直線上ではないC→Eでは “69m走行において、6〜12mの距離変移しか測定できない”
ことになるわけです。A→Bでは100%の距離変移を測定できるのに対し、C→Eでは8.4〜16.8%しか距離変移を測定できません。これではC→Eの正確な測定はできませんよね。ということで、ドップラー測定の弱点は・・・
“対象が進む方向と測定の方向に角度がついた場合には、正確な測定ができない”
ところにあると考えられるわけです。
ここで先程wikiから引用した公式を再度見直すと、左上に “観測者も音源も同一直線上を動き” という但し書きがちゃんとあります。(笑)
ドップラー公式-3 posted by
(C)ginapoolholic
もうすこし正確に述べると、角度がついた場合のドップラーは
cosθでの補正式があり、角度補正も可能なのですが、どうも測定器には “遠 or 近” の
二段階切り替えしかないようです。なので、測定側も測定器設置に関しては基準通り、かつ正確に行わなくてはならないことになります。
しかし、それを怠った故に生じたのがH15.7の福井簡裁における
判例。一部の弁護士さんもこういう
事例があることを把握しているようですし、ぼくの推測も強ち間違いではないだろうと考えています。
ということで、ぼくが推測するレーダードップラー測定器の弱点をまとめると・・・
【レーダードップラー測定器の弱点】
① 直線道路でしか測定できない
→ ドップラー原理より対象車と角度をつけられない為
→ 角度による測定誤差がある程度許され、ドライバーが違反を認めやすい速度が+30〜40km/h以上?(覆面PCなど)
② カメラは路側帯にわざと見せるように置いてあるわけではなく、測定精度を考えるとそこに置かざるを得ない
→ 頑張って目をこらしていれば発見できるハズ(笑)
③ 集団に対しては速度測定ができない
→ どこにレーダーを照射しているのか、正確には把握できないから
前編において “厳重注意のみ” で済んだのは、①+③じゃないかな?と予測しています。ただ、この時の警察官の方は、上記をある程度わかっていたと思うのです。でも彼は “点数を切れないであろうにも関わらず、自分をわざわざ停車” させました。で、停車後、自分の所に来て・・・
『運転手さん、スピード出し過ぎで後ろがついていっちゃったから・・・今後は気をつけてね!』
と口頭で注意、かつ握手してその警察官は去って行きました。
この事件、正直、減点になった時よりもインパクトがありましたね、ぼくにとっては。この警察官は “本当に安全について考えているんだな” と強く感じられたからです。
個人的には “取り締まりに絶対反対” というわけではなく、“場合によっては必要である” と考えています。しかし “それってノルマ稼ぎじゃないの?” と思えるような取り締まりと、上記のような真面目な取り締まりがあるように感じているのも事実です。
まぁ、こんなところに書いてもしょうがないのかもしれませんけど・・・昨年、国家公安委員長の
このような発言もありましたし、そろそろ “取り締まりの行い方” を再考する時期に差し掛かってきているのではないのかな?と思う次第ですが・・・如何でしょうか?
※ 上記はあくまで『素人の仮説』です。参照されるのは構いませんが『運転は全て自己責任』でお願いします。こちらでは一切の責任を持ちません。また、内容に関して、もし間違っていたら・・・コメントでやんわりと教えていただければ幸いです。(汗)
Posted at 2014/03/24 12:04:58 | |
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