
2014 F1も19戦中10戦が消化。前半戦はMercedes AMG Petronasが他チームを圧倒する場面が多かったが、7/20に行われた第10戦ドイツGPはちょっと楽しみにしていた。その理由は “FRICサスペンションの使用が禁止” になり、Mercedes AMG Petronasと他チームとの接戦が期待できたからだ。
結果としては、Mercedes AMG Petronasの圧勝に終わったわけだが(苦笑)、今回のドイツGPは様々なバトルが勃発、“
2014F1で最も見応えがあったレース” だったように思う。
で、このような “バトル大盛り” のレースとなった要因のひとつとして・・・
FRICサスペンションは “ドライバーの感性を阻害していた” のではないか?
という疑問が、ぼくの頭をもたげた。
つまり、ドライバーは “余計なサポート” がなくなったことで、“自らのドライビング感覚” を活かしやすくなったのではないか?と思ったわけだ。それ故、アグレッシブな追い越しをかけられる・・・そんな状況になったのではないだろうか。
そこで、今回禁止になった “FRICサスペンション・システム” とは、一体どのようなシステムなのか?をちょっと知りたくなって調べてみた。“FRICサスペンション・システム技術分析” より引用させていただくと・・・
**【 FRICサスペンション・システム 】**********************
フロントとリアの相互接続(FRIC:Front and Rear Inter-Connected suspension system)サスペンション・システムは、長年存在している。例えば、フェラーリは、1970年代にケーブルを利用したシステムを使っていた数チームのうちのひとつだった。しかし、現在の油圧で操作される技術はかなり複雑で、さまざまな意味で「つながっている」、フロント・サスペンションを相互接続したり、リア・サスペンションを相互接続したり、フロントとリアを相互接続したり、さらには最も洗練されたシステムでは、最大のパフォーマンス的メリットのために4つのコーナーを対角線で接続したりすることができる。
パフォーマンス的観点から、この重量移動のその他の問題は、マシンが車高を変えるときに起きる空力学的変化である。重量移動により、マシンのフロントは地面に近づき、リアは地面から遠ざかるので、通常の空力学的マップでは、フロントのダウンフォースが増加し、リアのダウンフォースが減少するので、不安定性がさらに増加する。
FRICのようなシステムがあれば、ブレーキング中にフロント・サスペンションの負荷を増加して、リアの車高を下げ、アンダーボディとフロント・ウィングについてより攻撃的な空力学的マッピングにすることができるので、マシンの全体的ダウンフォースとグリップを増加することができる。
そのシステムが液体をマシンの対角線で移動させるほど洗練されていれば、横揺れを増加させることなく、サスペンションをかなり軟らかくすることができる。これもまた、全体的な空力学的グリップ増加を助けるので、ドライバーは縁石でかなり攻撃的に攻めることができる。
FRICサスペンションシステム posted by
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しかし、一般的にこのシステムは、マシンの各コーナーに4つのアクチュエータ(その位置は、2013年メルセデスF1 W04の図の矢印1と2で示してある)が、4つのサスペンション・ユニットを、コントロール・マニフォールド(矢印4)の隣に設置されたメインのアキュムレータ(矢印3)に油圧配管で接続してある。
【引用元】
FRICサスペンション・システム 技術分析:
詳細解説 1 詳細解説 2
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上記を読んでいるうち、このシステムに非常に類似したサスペンションシステムを搭載した “市販車” があるのをふと思い出した。そのクルマは
McLaren MP4-12C。
McLaren MP4-12C posted by
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MP4-12Cでは “プロアクティブシャシーコントロール” と呼ばれているこのシステム、沢村慎太朗さん著である
午前零時の自動車評論4の “2790万円のドライブゲーム” という章で批評されているのだが、あまり評価が良くなかったのだ。
こちらに関しても “どのように動くのか?” 原理を調べていたところ、“
専門家が気づかなかった車の非常識” に詳しく記載されていた。非常に複雑なシステムだが、原理的には面白いシステムだと思うので、興味がある方は一読されることを薦める。
さて、上述した “2790万円のドライブゲーム” のなかでまとめられていたプロアクティブシャシーコントロールの特徴は・・・
■ ロールには抵抗する
■ そのロール抵抗力は窒素室の圧力を上げ下げすることで可変制御できる
■ ピッチングには抵抗しない
■ 一輪だけのストロークはしやすい
このように “理論的には悪くないシステム” だが、沢村さんがMP4-12Cに下した評価は・・・
“強烈な性能を有するが、その性能を公道で引き出すための一番大事な要素が欠けていて、とてつもなく速いけれど速く走る気持ちを失わせるマシン” と結論づけている。で、その主因は “アシからエンジン駆動系までの主要部分におけるコミュニケーション能力の欠落” だろう、と。
もしかしたら・・・MP4-12Cと同じ現象がF1でも起きていたのかも??
ぼくは、F1、MP4-12Cともに運転したこともないので、上記は “あくまで予想” でしかない。ただ、こんな “ヨタ話” でも考えながら、今週末のハンガリーGPを観戦するのも楽しいんじゃないかなぁ?・・・なんてね。(笑)
Posted at 2014/07/24 11:26:14 | |
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