前記事の続き・・・
「HID 装備の新車がオートレベライザー非装備・・・だと!?」
僕の脳内常識を覆す VW の暴挙 (笑) に深くメスを入れるべく、今日は VGJ の
カスタマーセンターに電話して事の真相を聞いてみることにしました。
電話口の担当兄ちゃんが明らかに引いているのをヒシヒシと実感しつつ、10分くらいかけて詳細に
質問内容を伝えまして、めんどくさい質問してごめんね、急いでないからゆっくり調べてねと申し
添えて電話を切りました。
ところが、ものの 30 分で折り返しの電話がありまして、期待半分・不安半分で回答を聞いたところ・・・
<VGJ カスタマーセンターの1次回答>
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ザ・ビートルの仕様変更により装着された手動式のヘッドライト・ハイトコントロールにつきましては
国交省に申請し認定された装備ですので車検時等も問題なく、安心してご利用頂けます。
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・・・ウン、そうだよね。
じゃないとメーカーとして売れないもんね。
でも僕が知りたいのはそういうことじゃなくて、根拠っつーか法的なヨリドコロなのですよお兄さん。
という内容をじっくり 5 分ほどかけてご説明しまして、重ね重ね面倒な客ですまんがゆっくりでいいから
返事頂戴ねと申し伝えて電話を切りました。
今度はさすがに1時間経っても折り返しがなく、じっくり調べていただいているご様子。
ここで別の角度から確認してみようと思い立ち、神奈川陸運支局川崎検査登録事務所(以下、川崎陸事)に電話で確認してみることにしました。
なんで川崎かというと、首都圏で一番暇そうな陸事だからです(笑)
検査課に出た感じの良い担当官に質問をぶつけてみると即答で以下の回答が。
<川崎陸事の回答>
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平成 17 年以降の登録車両でロービームに HID が装着されている場合は原則として自動式の光軸調整装置
が必要です。ただし空車状態と定員乗車状態での光軸差が一定の範囲内にある場合は手動式でも認められます。
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なんという明快でわかりやすい回答でしょう。
僕が散々理解できないと悩んでいたのは「定員状態と空車状態の光軸差の変位」の定義だったようです。
そして、初期傾斜と呼ばれる空車時の光軸角度を示すマークがヘッドライトに刻印されているとのこと。
▼調べたところ、コレのようです。

これはググって拾ったホンダ・インサイトの「刻印」です。ロービームを示すライトマークの横に 1.0% と記載されていますね。
このあたりの詳細は
「別添 52」の別紙 5 に詳しく記載されています。
じゃあ、ザ・ビートルのヘッドライトにもどこかにこんな刻印があるんだろう?
と思い調査を開始しますが、ネット上にはさすがにそんなマニアックな画像は存在しないようです・・・
(誰か調べたら教えてください!)
いずれにしても、例外規定があることは判明したのでザ・ビートルはこの規定を満たしていることがほぼ確定しました。
あとは VGJ の回答待ちとなったわけです。
そして質問から8時間経過した本日夕刻、ついに VGJ から回答がありました。今度はかなりまともな内容でした。
その要約は以下のとおり。
<VGJ カスタマーセンターの最終回答(要約)>
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保安基準上、光束 2,000 ルーメンを超えるロービーム、または LED を用いたロービームの場合は
自動式の調整装置が義務付けられておりますが、ザ・ビートルは光束 2,000 ルーメン以下でこの
条件から外れるため、今回の仕様変更から手動式の調整装置を採用し、認可されております。
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なんと、光束についても「免除規定」があるですと?
裏を取ってみましょう。
<
"別添52" より抜粋>
---
4.2.9. その他の要件
(略)
目標光束が 2,000lm を超える光源を使用するすれ違い用前照灯又は主要
なすれ違いビームを発生させるために LED モジュールを有するすれ違い用
前照灯については、4.2.6.2.1.のただし書及び 4.2.6.2.2.の規定は適用し
ない。
---
確かに 2,000 ルーメン規定がありますね。
ここで言う 4.2.6.2.1. のただし書き及び 4.2.6.2.2. の規定とは・・・
<
"別添52" より抜粋>
---
4.2.6.2.1.
(略)
ただし、次に掲げる基準に適合する手動式
の前照灯照射方向調節装置を備える場合にあっては、この限りではない。
4.2.6.2.2
~以下、手動式レベライザーの要件について長々と記載~
---
否定の否定とかが絡んでややこしいのですが、この規定の周辺をじっくり読むと VGJ の言うとおり、2,000 ルーメン以下 (LED 式は除く) のロービームならば手動式レベライザーでも OK という解釈ができます。
川崎陸事は光軸範囲、VGJ は光束値ということで違う回答が返ってきたわけですが、よく読めば両者は矛盾せず、むしろ両方の条件を満たす必要があることも理解できました。
なるほどー、勉強になります。
というわけで、ヒカリノ的にまとめますとこんなところ。
***************************************
HID 車両でも下記いずれかの条件を満たせば自動式ではなく、手動式レベライ
ザー装備も認められる。また、ヘッドライトウォッシャーの装着も免除される。
<条件1> ロービーム光源が LED でなく、光束 2,000 ルーメン以下であること
<条件2> 定員乗車時と乗員不在時の光軸の変位が特定の範囲内にあること
***************************************
ちなみに、VGJ カスタマーセンター曰く、仕様変更前(~MY13)のザ・ビートルも光束
2,000 ルーメン以下だったそうで、もともとオートレベライザーの装着義務はなかった
ということです。
以上、知って得することはたぶんない自己満情報をダラダラとお届けしました。
では、また次回!
【2013-10-18 補足】
ザ・ビートルの使用するキセノンバルブを調べてみたのですが、
ベロフのザ・ビートル適合表 (PDF) によれば適合なしとなっていますので、少なくとも {D1,D2,D3}/{S,R} ではないようです。
更に調べたら
ちょっと怪しいサイトに行き着いたのですが、ここに書かれている情報によれば D2H という規格だそうです。
【2013-10-25 補足】
上記の怪しいサイトに書かれたライトユニットは模造品のようで、純正には D5 または D6 という 25W 2000lm の規格に沿った光源が使用されているようです。(コメントで頂いた情報です。裏はとっていません)
Posted at 2013/10/17 20:31:34 | |
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