ご覧になって頂いているお客様の中には業界人や明らかに私より果てしなく上級者の方の足あとも多く、正直こんな若造の主張?がどのような目で見られているかは不安でなりませんが、今の所ご指摘や苦情は頂いていないと言う事で良しとします(笑)
そう言う訳で今回はSW20が得意とするものや、反対に苦手とするもの(たぶんこっちがメイン)を、この車の構造からあくまで私の解る範囲で考察して行こうかと思います。
先ず
前回の記事ではSW20は速い部類であると書きました。確かに上級者の方が扱いこなせれば十二分に速い車であるのは確かです。しかし、前回に書いた通り初期段階での設計は80年代の物で、90年代後半や00年代の車と同じ土俵で戦う現在では、例えば約1.3tという車格に他より小径ホイール&小径ローターは役不足であるのは一目瞭然だと思います。
1.MR2の弱点って?
SW20は比較的ノーマルでもそのままハイレベルな走りを楽しむ事が出来ますが、残念ながらそれはジムカーナやミニサーキットに限った話で、トータルな走りの性能を求めるとなるとオーナーの工夫や努力が必要になってきます。要するにあまり何事も器用にこなせる子では無いようですね(笑)
キャビンのデカさ
2シーターでこれはなかなか広過ぎではないかと(笑)S2000みたいにむしろ狭くしてでも重量物徹底的にまとめた方が良かったと思うけど・・・デートで快適なのでOKです(爆)
逆にFFベースの横置きだからその分広く出来ましたってとこかな?
純正サスペンション
2型以降ともなるとターボにはビルシュタイン製の物が奢られ、ノーマルとしてはかなり優秀とも言われていますが、設計は90年代のもの。後の00年代でかなり進化したハイグリップラジアルを履いた場合、特に高速コーナーに差し掛かるとどうしてもタイヤに負けている感が否めません。これは以前、純正足にRE‐01R履いて広域農道をぬうわキロ程でぶっ飛んでた際、ちょっとしたギャップを拾った拍子に揺れが収まらず恐い思いをした経験からの個人的な感想です。
ちなみにジムカーナ的な使い方であれば純正でも結構ちゃんと走れます。むしろ車高調に比べて荷重移動の感覚を掴み易く、最初はこれを使ってガンガン練習した方が良い気がします。
高速コーナーでの恐怖感
SW20というよりMRそのものの重量配分は平均的に前:後=4:6が主流だと思います。これは
最初の記事でも書いた通りMR独特の強力な旋回力を発生しますが、特に車幅や後述のトレッドの問題があるMR2は良くも悪くも低速コーナーでの性能に特化してしまっているようで、少なくともフルノーマルで私の様な素人の腕では高速コーナーでの不安定さは堪え難いものです。
リアのトレッドとタイヤサイズ
SW20の純正は保安対策か特にリアが異常に引っ込んでます。これはSW20が大きいサーキット等の高速コーナーを不安とする一番の理由ではないかと。折角なので他の車種ともトレッドを比較してみる事にしてみました。すると、
トヨタ MR2 前/後 1470/1450mm
MG MGF 前/後 1400/1405mm
ロータス EXIGE 前/後 1455/1505mm
ホンダ S2000 前/後 1470/1510mm
ホンダ NSX 前/後 1510/1540mm
フェラーリ F355 前/後 1515/1615mm
確かにSW20の場合は5ナンバーという制約の中でリアに太いタイヤを履く以上”数値的には”リアのトレッドが引っ込んでしまうのはやむを得ませんが、それでも他のMRの多くや更にはFRのS2000でさえもリアのトレッドが勝っています。また彼らもリアにはより太いタイヤを履く以上、リアにも15インチを履くSW20では尚の事彼らにバランスという点でリードを許してしまう感が否めません。
ちなみにこれはリアのトレッドやオフセット、インチ数を見直すだけでかなり改善され、事実これは私が行っている7J+45mmから8J+32mmへの変更で高速コーナー対策としてかなり効果を体感しています。
大き過ぎる慣性モーメント
恐らくこれがMR2の性能でもっとも足を引っ張っている項目ではないでしょうか。先ず慣性モーメントって何?という方は
こちら。よくMRはハンドルのレスポンスが良いとか言われますが、スポーツ走行のレベルになるとむしろその逆です。というのもハンドリングで言うところのレスポンスはステアを切った瞬間の追従性を指すと思いますが、このレスポンスは舵を切る前輪から重量物が遠い方がなんとなくダルそうなのは解りますよね?金づちを振る際に柄の下を持った方が頭の方を持った時より重いのと同じです(本当は柄の下を持つのが正しいですが・・・)。
してMR2は・・・
めちゃくちゃ遠いですねw
キャビンの件もそうですが、見ての通りMR2はハンドルからこんなにも遠いです。しかもこのクラスでは重いと言われる3Sにこの距離から旋回を伝えて行く訳ですから、更にフロントエンジン以上に前荷重を作る作業の手間も考えると、どうしてもこのレイアウトにおける初期の応答性はフロントエンジン車に劣るというのが解るかと思います。このレスポンスでの最強はFFかと。
ちなみにこれが後にこの車の苦手コーナーやドリフトの際にも詳細に触れますが、この車の欠点であり更に初心者に恐い印象を与える一因である”流れ出したら止まらない”特性を作り出している原因にも繋がっていると思います。
2.MR2の優れた点
今回はこの車の弱点に重点を置いたつもりなのでさらっと書いていきます。
後輪駆動屈指のトラクション
今更語る事も無いでしょうw
ヘアピン、パイロンターン(但し連続or複合は×)
この車の得意なセクションです。詳しい事は
こちら。
コツとタイミングさえ覚えればこの車でしか味わえない世界が待ってます♪
ボディー剛性
よくこの車は大きさの割に「重い」だとかネガな事を言われますが、その代わりにこの車のボディ剛性は同年式の車の中ではかなり優秀です。出来ればロールバーなど補強するに越した事はありませんが、ハードに使わなければノーマルでもなかなかの出来です。但しこの全体的にガッチリした重い作りが先程の慣性モーメントに繋がってる可能性も!?・・・判りません。
重心の位置(高さ除く)
SW20のイメージというと重心が後だとか、他にも数字だけでさらっと40:60くらいと流して案外ちゃんとした重心の位置までは把握している人は少ないのではないでしょうか?
まずは
こちらのページの測定におけるこの車の前後重量配分とコーナーウエイトは
総重量 1357kg
重量配分 43:57
コーナーウエイト
右前296kg 右後405kg
左前281kg 左後375kg
ちなみに車載工具とスペアタイヤを載せ、運転席に60kgのウエイト、ガソリンは満タンだそうです。
更に補足するとこの車は54L入るので、重さにしておよそ40kgくらいだと思います。
さて、仮に40:60ということにして(計算面倒なのでw)、先程と同様横から見た写真(真上からが良かったけどこれしか無かった)に当てはめてみると、
大体この辺の位置と言う事になります。思っていたより優秀じゃないですか!?
ちなみに重心の高さに関してはちょっと調べようが無かった(横転させるとか?)ので解りませんが、よく懸念される左右のバランスの悪さも、上のコーナーウエイトより運転席に60kgの重りが乗ったうえで左が45kg程度重いだけなので思っていたよりも良い方ではないでしょうか?
そう言う訳でSW20の重心は意外と車体の中心にあると言う事が判りました!
ちなみにこの記事ではアバウトな位置しか出してませんが、事前に
momonga99氏から頂いたメッセージより「重心はBピラーの下あたり」という事でした。ご協力有難う御座いました!
さてやっとここまで来ました。いつも読んで下さる方、また初めての方もここまでお付き合い頂き有難う御座います。次回はこれの補足という感じで得意コーナー・不得意コーナーにも詳しく触れて行きたいと思います。
※補足
慣性モーメントについて、普通物体は重心を軸に回転する筈ですが、ここでは前輪の方を軸に考えてます。というのもステアリングを切る際、最初に回り込もうとするのは前輪のみで、リアにこれが伝わるまで曲がる力は発生しません。結局それでリアがアウト側に飛ばされてから旋回=車体の回転が始まって重心の位置が意味を成してくると思います。たぶん・・・。
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MR2という車。 | クルマ
Posted at
2011/02/17 17:30:00