
あれは十年以上も昔の話、
新しいマシンを手に入れて間もない頃の夏の日だった。
乾燥重量177キログラムに150馬力を発生するパワー。
何よりスーパースポーツでありながら公道を意識した設計
―「カミソリステア」は伊達じゃなかった。
「もう誰が来ても負ける気がしない」
ライダーをそんな気持ちにさせるほど、当時このマシンの走りは衝撃的だった。
この日もいつものワインディングを自分のペースで流していた。
いや、流しているとは本人の気持ちの問題で、既に今まで乗ったマシンとは一線を画すペースだ。
「付いて来られるなら付いて来い。」
そんな気分で走っていると、ミラーに一つの灯りが映り込む。
「このマシンに付いて来れるとなるとCBR929RRか?」
しかしそんな事はどうでもよく、このマシン―「YZF-R1」の真の実力を発揮すべくペースを上げる。
一瞬先程の灯りがミラーから姿を消す。ところが、その明りが再びちらつき始めたかと思うと、
僅かずつではあるが、その明りは徐々に車体のシルエットを露わにしながら差を詰めて来ている。
同じくヤマハが誇る2サイクルのレーサーレプリカ。ただ、YZFの敵ではない筈だ。
ところが、現実にこのリッターマシンを追いまわした揚句、今現在ほとんど並ばれている。
それも徐々にコーナーがきつくなるにつれて顕著だ。
このコーナーを抜けたらどうにかパワーの差を生かして逃げ切りたいところだが・・・
「この先は数日ほど前の土砂災害で砂が浮いている」
悔しいがここで勝負はお開き。スロットルを緩めて減速に移ろうとしたその瞬間だ。
横に並んだ相手は減速するどころか更にペースを上げ、そのコーナーに突っ込んでいく。
「馬鹿が知らないのか!そのままでは転倒だ!!」
他人の事ながら祈りと諦めの心が交錯したその時、ライダーは自らその浮いた砂の上へ、
そして・・・
それをきっかけにリアをスライドさせ向きを変えたと思ったら、
後は何事も無かったかの様にそのコーナーをクリアしていった。
それは舞踊を極めた者の寸分の狂いの無い美しさか。
それともスポーツを極めた者の、一切の無駄を省かれたフォームの洗練さか。
只々、そのライダーの鮮やかなライディングテクニックに見とれるばかりだった―。
ねーからwww
そう言う訳で前回の土砂災害でもあるように、所々で道路が埋まり、それが原因で冒頭の写真のように、アスファルトの上に砂が浮いている箇所がちょくちょく見受けられます。恐らく地元だけでなく全国各地の山間部でも大体似たようなもんでしょう。
夏の暑さも過ぎ去り、道路も復活した事によって早速多くのライダーたちが市街地から登ってきてますが、毎年この浮いた砂に足を取られて転倒するライダーを1、2台は必ず見かけます。
という事で自分を含め全国のライダーの皆さんも気を付けて安全運転に努めましょう!
Posted at 2011/09/25 15:42:32 | |
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