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イイね!
2010年08月22日

日本車の明日はどっちだ 2

前回アップしたブログにコメント頂いたナインツさんへの御返事が異様に長なってしまいました。でも、これはこれで1つの文章としてもまとまっているかな?とも思いましたので、今回ちょっと昇格して再録・追加修正をして1本に再構成してみました。



初代プリウスが世に出た後の数年間は、日本車というかトヨタにとっての爛熟期だったと思っています。

営業職にある人間としてはあまり好ましくない行動ではありますが、個人的に「これはだめだ」というクルマに関しては、欲しいと言われれば特に何も言うことはないにしても、「あれ、どう?」と聞かれたときにはハッキリと「やめとけ」と答えていました。仮にそれが自社の販売車種であったとしてもです。
そういう人間でしたが、この時期以降のトヨタ車は、素直に勧められる内容を持っていたと思っています。もちろん全てが全てではありませんが、少なくとも積極的に否定するほどのクルマは以前に比べれば明らかに少なくなった、と今でも思います。

このため、当時のトヨタ車に関しては、他ディーラーの取扱車でも、そこの営業さんへの「セールス同士の紹介」をして、結構な台数を納めました。
車の出来に関して否定する要素がそれほどなかったのと、他のディーラーに行かれて、そこでまた別のディーラーとの繋がりを作られたくもなかったからです。それよりは、さっさと自分が動いて自分が手配してしまう方がいいや、と。

それに、そこで紹介をしておけば、そこからの逆紹介も期待できますしね。実際に紹介も貰ってましたし。
そんなこんなで、あちこちの他トヨタディーラーから営業所に、私宛によく電話が入るので、所長が不思議がっていたものです。


話を元に戻します。それ以降、現在の状況について。先生を見失い、次を何処に見定めたのか。


今現在は「プリウス」以外に頼れるタマが無い、というか、「それ以外には何にも用意していないorモノになる物がないのだろう」という事は思っています。

あの当時、トヨタ本社から営業研修と称して私の居た営業所にトヨタ社員が来ていました。
その当時ですら聞いた話では「今はもう電気系の技術職ばかりです」という事でした。おそらく本気で次のタマは電気だと当時から踏んでいたのでしょう。豊田章一郎さんも基調講演でそうぶち上げてしまいました。


例えば営業職の中にも、未だに本気で「燃料電池車が...」と口にする人も居ますが、電気は厄介なんです。現実問題として、あれがモノになるとは到底思えません。まあ、「エコ=我慢すること」という共通認識でも醸成できるのならばともかくとして。


電気を蓄えるにしても、バッテリーのエネルギー容量は到底ガソリンに及ばず、重量もかさばります。
ガソリンは、使ってしまえばその分タンクは空になりますので、エネルギー残量が減れば減るほど重量が軽くなるというメリットがあります。その点、バッテリーはエネルギータンクではなく、「発電プラント」というのがその実態ですから、残量が少なくなっても軽くなることはないんですよね。つまり「腹が減り、更にその重さが身に沁みる」という事になってしまうわけです。
そのうち素晴らしいバッテリーが......、という期待は何時の時代もありますが、バッテリーの現実に打ち砕かれているのが現状です。

水素自動車なんてアイデアもありました。
確かに理屈上は「水素を酸素と反応させれば水になる」だけなのですが、じゃあ、どうやって水素を運ぶの?原子番号1の物質ですよ?
ということで、最小の原子である水素を透過させないように分厚いタンクを積む、なんて事を当初計画していましたが、それが半端でない位厚く重くなる。しかも、やはり原子番号1な物質ですので、大してエネルギー容量がない。
となれば大量に積み込む必要がでてくる訳ですが、高圧タンクなんて重くて仕方がない上に、水素は反応しやすい物質でもあるので危なくって仕方がない。

ちなみに、宇宙ロケットなんかはよく知られているように液体水素を燃料としていますが、あれって、打ち上げるその時にもまだ燃料注入はしてるんですよね。漏れまくっているので、次から次へと注入し続けている。でもまあ、その時限りの物でしかないのでいいんでしょうけど。


じゃあ、という事で燃料電池、つまり水素を含む物質から水素のみを取り出して、酸素と反応させる、という方式。ガソリン改質やらエタノール改質やらという方式です。
水素を酸素と反応させる、という理屈は水素自動車と変わりません。水素単体で運ぶのがきついので、その前段階の物質を載せて、その場で水素を作っちゃおう、という事です。

言うのは簡単なんですが、その水素を取り出す「改質機」。結局触媒を使ったりする装置なんですけど、触媒がやはり白金頼りです。しかも、触媒の作動温度というものがあって、それが100度以上ということなんですが、そこに行くまでをどうするの?という事とか。
結局、改質機の触媒を暖める為にヒーターが必要で。つまり必ずアイドリングの為のバッテリーは必要な訳です。で、温まってから水素を作り出して。で、やっと作り出した水素で得られるエネルギーは?という事に。



達成目標としては、「二酸化炭素排出用を減らす=ガソリン使用量を減らす事」。と、同時に「現在のガソリン自動車と同等の利便性や快適性が確保できること」。また、「ガソリン自動車と同等の安全性が確保されるべきこと」。この3点でしょう。

で、非常に無理のある技術内容に向って、それ一本しか道を用意しない形で突き進んでしまったのでは?と想像します。で、他の選択肢はばっさりと切り捨てた、もしくは傍流の技術として日陰者扱いされた。
これもまた想像の域を出ませんが、欧州メーカーは早い段階でこれらの新世代エネルギーに関して見切りをつけたのでは?と思われます。ロータリーの時のように。

ハイブリッドがモノになってしまった瞬間、「次の階段が見えた」と勘違いしてミスリードしてしまった事。「次は電気だ」と、それ一辺倒になってしまい、それ以来、機械屋・エンジン屋が傍流扱いになってしまったこと。
おそらく、こうした流れが今に行き着く1つに理由になっていると想像しています。
ただ冷静になって考えれば分かるように、あくまでハイブリッドシステムは「ガソリンエンジン(というよりガソリンというエネルギー源の優秀さ)におんぶに抱っこ」が現実の状態であり、あくまで本筋はガソリンエンジンの効率向上なんです。やはり現状、ガソリンというエネルギー源の優秀さを抜きにして、今のクルマの快適性は成立しません。


初代プリウスの優秀性を否定するつもりはありません。ただ、ハイブリッドシステムがプリウスの売りとするならば、あくまで2代目プリウスの名前を関するに足る製品は「初代エスティマ・ハイブリッド」だと思います。

あのボディにエスティマという名前をつけてもいいのか?という根本的な疑問は残りますが、殊、ハイブリッドシステムに関しては次の可能性を感じさせてくれる製品でした。
また、「3代目プリウス」を襲名するべきは「2代目エスティマ・ハイブリッド」でしょう。2代目・3台目プリウスは私の目には初代のハイブリッドシステムの「焼きなおし」・「バージョンアップ」以上には写りません。


ただ、「プリウスショック」とまで言われ、絶賛されたことが却って災いしたのでしょうね。名声に溺れてしまいすぎた。
しかも、当時の奥田社長の後、2代続いたのがどうやら財務畑出身らしい張さん、渡辺さんです。彼らに機械の事を理解するセンスがあろう筈がありません。

で。

世界戦略、拡大戦略にうつつを抜かしつつ、保守本流たる機械の効率向上を押しのけ、電気・ハイブリッドに軸足を移すという愚を冒した。

あくまでサブシステムであってこそ光るものがあるのに、本質を見抜けないままでいた。

もう1つ、プリウスの本質はハイブリッドなどではなく、車体骨格、基本設計の「全面新設計」によるベーシックカーの世界基準への大幅なバージョンアップが本筋でした。しかもこの骨格をカローラクラスに投入してきたことに意義があったわけです。
これも両社長たちは見抜けなかった。どころか置き去りにした。


もちろんリーマンショックが大きいことは認めますが、それ以前からの技術的な停滞と、本筋から外れた系統への傾倒が今になって大きく響いている、というのが今の現状でしょう。それこそ「失われた10年」といっても良いと思います。


よく、日本の自動車技術者達には「ゴルフ」信奉者が多い、と聞きます。私も、ゴルフではありませんが同じフォルクスワーゲン社の製品としてルポを実際に所有し、使ってみて、その優秀さには感心しています。これはよく出来ているし、手を抜いていないな、と。

ただね。

「信者」・「ベンチマーク」では、到達点はそこでしかない、という事も言えると思うんですよね。その先を見据えた理想状態がハッキリとイメージできなければ、絶対にそれを越えることはありえません。
製品として世に出ている以上、開発者の目線は既に次を向いているはずです。つまりは既に通過したポイントでしかない。これが常に彼らの後塵を拝する理由の大きなポイントだと思います。



先生ではなく、理想状態を思い描けていないこと。こうあるべきだという、自らの根っこが非常に細いこと。これが造りたい、という意志が有るのか無いのか。

もう1つ。トヨタという大企業に就職できた時点で、気持ちとして1つ終わってないか?という疑念もあるんですけどね。


就職する、というのは通過点です。例えば同様に結婚するということなども通過点。だから個人的には右倣えで一斉に「就活」・「結活」などという言葉を口にする光景は大嫌いですし、それに踊らされる方々、扇動する側も大嫌い。

何でそんな他人の言うことに素直に相乗りし、納得できるのかなあ?あまりにも自分が無さ過ぎるのがまずいと思うんですけどね。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2010/08/22 12:04:28

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この記事へのコメント

2010年8月22日 23:39
こんばんは
 h.shibataさんの話し、楽しく拝見しております

 サプライヤーを一変させた意味でも,前突対策にしても初代プリウスは良く出来たシステムの車でしたね。
その前、初代、ビッツ。あれが僕にとっての衝撃でした。ボディ剛性。
やっと日本車もスタート地点に来たなって思いましたもん。
その後、他メーカーも追陣出来るようになって。
結局シェア持ってるトヨタが動かないと部品納入単価は下がりませんから
その意味では今後のトヨタには軽量、安全、適正価格化してってほしいですね。
僕は車なんてどこのでもOKです。値段なりの作りをしていれば。
見渡しても無いんですけどね
コメントへの返答
2010年8月23日 14:14
コメントありがとうございます。

今後もこういう話題が提供できればいいとは思いますが、その分情報収集というかアンテナも高く伸ばしていなければなりませんねえ。やれやれ。


さて。

以前、非常に疑わしく思ったことがありました。それはヴィッツのモデルチェンジの時の事です。それはフィットの時にも感じたんですが。

果たしてモデルチェンジをすることで、あれを超える事が出来るのか?という根本的な疑問です。
下手げな変更は却って後退をすることも大いにありうる、という危惧です。

燃費数値や静音性能や室内の広さなどといった「前モデル比」などという数値にはほとんど感心がありません。

果たして変えるほど意義のあるモデルチェンジが出来るのか?

新型1台に投入するに足る、質と量の両面に亘る知恵や工夫が溜め篭められたのかな?という事は常に疑問に感じます。
だって、そこまでに行かないのであれば改良ではなく、改悪でしかないから。却って変わらない方が良かった、なんて事だって枚挙に暇がありません。

結局ネタに詰まったから、安易に「前代モデル比で+何センチの居住性改善による商品性の向上を....、」なんて言い訳するんですよね。
だから、元のままでよかったサイズが、どんどん大きくなってもとの良さがスポイルされ続けていく。
元のデザインのままでよかったのに、変わった事を強調し続けなくてはいけない強迫観念が先行して、元の端正さが失われ続けることになる。ヴィッツにしてもフィットにしても、プリメーラ初代以降にしても。欧州車で言えばプジョーとかさ。406なんてカッコよかったのにねえ。

それこそエコに反する。そう思います。
2010年8月25日 12:59
こんにちは。
今回も、色々と考えさせられました。

ベンチマークは到達点で、その先が大事ですよね。
理想や思想ですか…
日本車も、メルセデス、BMW、VWなどヨーロッパのクルマをベンチマークにしてますが、そこがゴールになっているような印象は受けます。

その先が無いから、モデルチェンジ前のモデルよりボディやエンジンの排気量が拡大される傾向があるのかも知れませんね。
先代モデルより、良くなったと理由づけ出来ますから。
分かりやすい、言い訳ですね。

トヨタもそうですが、やはり機械屋、エンジン屋さんを大事にしてこなかったのが、大きな痛手になってしまいましたね。
自動車の本質って、何かを見落としてしまったのですかね?
僕個人の意見ですが、CVTを何故ここまで日本車メーカーが採用する事にも疑問に思ってます。

ヴィッツ、フィット、プリメーラ、インプレッサは、初代には魅力がありました。
ホンダTYPE-Rシリーズも、やはり初代モデルに魅力を感じます
何故、性能が良くなり、品質が良くなったのに、
クルマとして魅力を感じなくなってしまったのか、
よく不思議に思います。
コメントへの返答
2010年8月26日 6:09
コメントありがとうございます。

この次の文章を書いていて、ちょっとまた考えている内容が「果たして営業とはなんぞや?」という事です。

今構想中の文章に重複することになるでしょうけど、実際、相手の意を捻じ曲げてまで、というほどの力のある営業ってのは、それほど数はいないと思っています。
それよりも最低限、何かしら相手方に引っかかる物でもなければ、そこから先に入り込む隙はなかなかありません。これは経験上の話。

となれば、つまるところ営業力で云々、というよりは商品力そのものに依存したアピールしか出来ることはないのではないか?という半ば諦めにも似た営業の限界は感じています。詰まる所機械としての魅力を突き詰めるしかないだろう、というね。

営業サイドの意見と言ったって、突き詰めれば、営業職にある人間の浅薄な好き嫌いの好みをベースにした「感想」や「印象」でしかありませんから。「ドイツ車っぽい方が今の時代には良さそうだ」、とかね。アベンシスみたいに。

寄らば大樹....、で安心する人が多い状況では「仕掛け」で随分と商品動向が違っても来るでしょうけど(ファッション業界での作られた流行ですとか、昨今の何でもかんでも軽じゃなきゃダメ風潮とか)、波とするためにはやはり先行者たる2割の層が動くか?に拠ると思うんですよねえ。やっぱり。

となると、営業の役割としてはせいぜいがスパイスの部分とか盛り付けに相当する部分がいいところかなあ、とね。
もしくは行き過ぎたエンジニアの暴走を「おい、それはやりすぎだろう」と、せいぜいが軌道修正を促す程度に留めるべきじゃあないのかなあ、と。

そんな風に思い始めるようになりました。というか、それこそが欧州流のクルマ作りのパターンなんだろうなあ、とも思っているのですが。

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何シテル?   01/14 11:39
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