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イイね!
2012年12月16日

技術の対価

新日鉄の電磁鋼板に関する訴訟の記事を見ました。

その中で目に留まったのが「あまりにも低すぎる発明の対価」という部分です。それをみて思い出したのが青色LEDの発明を巡る所属企業と当の研究者との訴訟問題です。

たしかに研究者本人からすれば、その発明の対価が単純に給料にどの程度反映したのかという部分が一番分かりやすいところでしょうし、技術者を遇する事が薄いという新日鉄の企業姿勢にも批判されるべき所はあるのでしょう。多分。


ただ当の雇用者としての企業からすれば、商品開発に関しては「ある程度のモノを形にまで持っていってくれるんだよねえ?」ということは織り込み済みの話での雇用ではなかったのかな、と。もちろん電磁鋼板や青色LEDなどは企業にとっても研究者本人にとっても場外ホームラン級の発明だったとしても、本来そういうものを求められたからこそ就職もでき生活の安定だってあったわけなんじゃあないのかな、と。

となると莫大な成功報酬を求められた企業側としては、そこに至るまでに費やした研究者本人の人件費なりといった身分保障や、研究環境の整備費用や維持費用といった諸々の初期投資はどうしてくれる?という話であるでしょうし、仮にアイディアが実を結び、実用化の目処がついたとしても今度はそれを売れる商品とするための製品化の為のハードルだって低くない事も少なくない。

となると、いくらそれで会社は大儲け出来たとしても、じゃあ「それは俺のおかげなんだから幾ら寄越せ」というのもなんだかシンプルすぎて乱暴な話なんじゃあないかな、と。それが営業方面の実績であったとすれば程度はあるにしても分からない話でもないんですが。

そんなに「技術者に対する報いが薄い」会社であると思うんなら、新日鉄自身をそうでない会社に会社にしていくための努力をする、という方向もある筈でしょう。


もちろん退職するのは本人の自由なわけですけど「培ったノウハウは全て俺のもの」と、欲しがる企業に対して既に実になっているノウハウを売り渡すのと、海の物とも山の物とも知れないものに対して初期投資をしてもらうのとでは出発地点が違いすぎるのではないのかなあ、と首を傾げます。
もっとも全てが個人開発の技術であるならば文句を言う筋合いもないですが。



もっぱら他人事の世界としてこの事を採り上げているんですが、書き進めているうちに「じゃあ自分はどうなんだ?」という事も考えてしまいました。
例えば私の保険や車関係のお客さんたちはトヨペット当時にお付き合いのあった方々が中心となっています。もちろんそこからご紹介などで広がっていったルートもあるわけですけれども、あくまで中心はそこです。

そこから今に至る営業内容の核になっているのは、それでも一応初期投資をしてくれたトヨペット在籍時に培われた経験であったりノウハウであるのは間違いない。

じゃあ、それを基にして保険会社に雇われたり自分で事業を始めたりしているというのは、小粒ではあるにしてもトヨペットに損害を与えているのも事実なんだろうなあ、と。
という事は、トヨペットにとって私の事業規模が目に余る程度でないから特に問題視されているわけでもない、というだけであって、トヨペットに目くじら立てられれば訴えられても文句が言えないのかもしんない。

もちろん独立を図ったのは私一人じゃないんだけれど、まあそんな事を言われる事は無いにしても、両者が上手く折り合う着地点としては結局、私がトヨペットの外局として柴田事業所みたいな形で「干渉せず・干渉されず」という独立採算の営業事務所みたいな立場を採るのが一番落ち着くんだろうなあ。



で、そんな事を考えてみると件の元新日鉄社員なんかも「私はもうアソコとは関係ありません」って公言して商売をするのを新日鉄が黙認していたというか傍観していたのが問題の根っこの一つかな、と。
技術流出や販売経路の離脱を懸念するのならば、退職者や独立社員には再雇用などというごまかし的な飼い殺し策ではなく、双方にとって張り合いのある、きちんとした対等の場を与えて双方にとって上手く生かすというマネジメントを何でもっと熟考しなかったのか、と不思議でなりません。


2ちゃんねるの書き込みでも他に韓国系の浄水技術だかの会社にヘッドハンティングされてるんだけど、なんていうのも見かけました。
結局つまるところ求められるものは、もちろん報酬もあるのでしょうけれども当人たちにとっては「やりがい」や「生きがい」であって、疎外される事なく張り合いを持って現役で居続けたいという「気分」なんじゃあないのかな。社内で「管理者」になることがイコール「幸せか」と聞かれれば必ずしもそうばかりではないのはみんな知っている事でしょう。
重大な発明が必ずしも本人の幸せに直結していないのかもしれない、という事は不幸だよなあ、と思ってしまいます。
ブログ一覧 | 日記
Posted at 2012/12/16 16:28:44

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この記事へのコメント

2012年12月16日 17:37
おばんです。

企業もちゃんと技術者を大切にしてこなかったツケが
このようになったかと。

そういうことをしてきた企業は、案の定地盤沈下をしています
からねぇ。シャープやらパナソニックやら・・・。
コメントへの返答
2012年12月18日 20:01
コメントありがとうございます。

今現在60歳前後のいわゆる団塊の世代と呼ばれる方々の車業界の人に聞くと、圧倒的に言われるのが「所長になりたかった」という言葉です。私流の受け取り方でいくとそれは「偉くなりたかった」とか「管理職になりたかった」という事でしょうし、恐らくは当時としてはそれが正義だったんだろうなあ、と。
じゃあ何でそんなに所長になりたかったの?と尋ねると「自由に使える交際費が違う」とか何とか。何だかなあ。


ただ人にはそれぞれの幸せの形というものがあったはずでして、研究者にとっては「研究者であり続ける事」が幸せである人だって決して少なくない筈だと思いますし、営業職だって現役セールスであり続ける事が幸せな人だって少なくなかった筈です。つまり、管理職が決してその人にとっての幸せの形であるとは限らず、苦にしか感じない人だって少なくないのだろうなあ、と。



ただ、管理者になり取締役に登りつめられた稀有な方々には、そういう役職にならないとできない職域だってある筈でして、その中の一つには「技術者の幸せ」の形を守ることだってあった筈だろうと思うんですよね。

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