
雑記帳4です。なんか今までのタイトルが硬かったので、ちょっと方の力を抜こうと思いまして変えました。
さて、よく言われるベンツの雨対策としては1本ワイパーとレインレールがあります。もう一つとしてワリカシどこにも書かれていない(見たことがない)ドアミラーについて少々。
一本ワイパーについては結構あちこちで採り上げられています。曰く「払拭面積を広く取るために敢えてワイパーを一本にし、タイミングを合わせてそのワイパーを伸縮させて拭取ることにより広大な払拭面積を得ることに成功した」などなど。うん。確かに拭取り面積は広い。開発姿勢も素晴らしいと思います。
私もこの文章を読んだときには「ほー、わざわざ金かけてこんな複雑そうな動きをするワイパーを作ることまでして拭取り面積を広くしているのか。確かに運転席はいいとしても2本式は助手席側の上端は拭取っていないしな。」と感心もし、自身がオーナーになったときには「おお、1本ワイパーだ、ベンツ様だ。さすが他の車とは違うわい」と喜んでいました。
買った時期は11月ごろでしたから、季節的に雨の多い時期というわけではなく、その活躍を日々実感するには時期を待つことになりました。
季節は春先。季節の変わり目を告げる春雷です。おそらくその時初めてワイパースイッチを3段階目に回したような気がしますが、このとき初めてこのワイパーの実力を目の当たりにしたのです。
「みえねー。」
スコールと表現してもいいような、ワイパースイッチの3段階目まで必要とするような豪雨に対して1本ワイパーは全くの無力だったのです。
まさに壊れんばかりの勢いで「ブオン、ブオン」と相変らず伸び縮みしながらワイパーはフロントガラスを健気に行き来しているのですが、拭取り面積よりも大事な拭取り速さを要求される(だって端っこがどうとかいう前に前が見えないんだもん)事態にはまったく非力であることを身に染みて実感いたしました。
私はまだ経験していませんが、実はこのワイパー。幾つかのサイト様からの情報による、自分では実地情報が未確認なのですが、某○ナセ様では「アッセンブリー交換で20万円くらい」と言われるそうです。それだけあったらクルマ買えちゃうよ、あんた。
このワイパー。オーバーホールが効くらしいのですが、外すのにえらく手間を喰いそうな気がして未だに手をつけていません。
中には伸縮しないワイパーに変造される方もあるようです。左右斜め45度の前後域で伸縮するようになっているので、この近辺になると伸縮にも力を費やす(つまりこのタイミングで力が掛かり壊れやすくなる)こととなり、その為に更にワイパーの動きが遅くなるようです。
元々1本ワイパーは、元の位置に来るまでに往復角度として360度の行程を要します。一般的な2本ワイパーは左右分割していることもあり1往復に180度しかかかりません。同じ回転数でモーターを回せば一つ箇所を拭取るのに倍の行程と時間がかかるわけですから豪雨には弱い訳です。
ちょっと弁護をするなら御当地ドイツでは、こういう温帯地域でのスコールのような雨の降り方はないんでしょうなあ。はたまたこういう雨の降った場合は危険なので運転を中止するように、という警告なのだと言われれば「ははあ」となってしまいますが。
この伸縮ワイパーを変造された方の記事を読むと、ワイパーゴムを上下入れ替えて根元方向に伸びたゴムを先端に向けて長さを調整(頃合を見てカットしてやる)してやると拭取り面積もある程度は取り戻せた上に、余計なフリクション(伸縮時の)もなく、非常にスムーズに動くようになるとのことです。
お次はレインレールです。
一応何かの話で聞いた限りだと、
「フロントガラスの両サイドに設けられた深い溝によってワイパーで拭われた雨水を受け、両サイドのガラスに雨水が流れて視界をさえぎることを防ぐ。両端にたまった雨水は走行時の力によって屋根の左右に設けられた雨どいを伝い、そのまま更にリアウインドウ左右にも設置されている溝を伝いトランクサイドの雨どいまで雨水を導き適切に排水される。」
といった感じの説明であったように思います。なかなか壮大なシステムです。確かに普通に走っている分にはサイドウインドウに雨水が流れていることは少ないように思います。
ガラスの立たせ方も雨水が流れやすいような角度で云々、という話も耳にした事はあります。でも雨が降ってから乗り始めたであるとか、巡航速度の遅い時にはあんまり効果がないので、出来れば「○インX」のようは撥水処理剤をサイドガラスに塗っておくと更に効果的かと思います。
フロントガラスへの塗布は個人的にはあんまり好きではないのでやっていません。定期的な塗布をサボると、ただ単に強力な油膜でしかないので、かえって剥がすのに多大な苦労をしますので。
ちなみに私のベンツ君はシリカスケール(雨染み)が気になっていたので先日ガラスコンパウンドを使い磨き上げてあります。これをやっておくと視界が晴ればれするのでお勧めです。でも注意してやらないと、ただ単にガラスを傷つけて終わりという事にもなりかねませんので失敗されても責任は取れません。あくまでも自己責任でやってみてください。
あ、そうそう。ガラスコンパウンドって、けっこうお高い(ボトル1本7~8000円位したような気がします)ので、これもお勧めしない理由です。
ディーラーなんかで撥水コーティングをしていますけど、あれは施工前にガラスコンパウンドで一応の磨き上げをしてから施工しているはずです。これを利用して「コーティングはしなくてもいいから磨き上げだけしてくれ」と頼んでみるといいかもしれません。確かガラスの撥水コーティングが2,000円くらいでしたから、「磨き上げだけで2,000円でいいから、その代わり徹底的に磨いてくれ」とかね。
ちなみにベンツのセダンにはリアワイパーを設定していないという話を聞きました。全部を確認した訳ではないので本当かどうかは知りませんが、その方が言う理由としては
「ベンツのリアガラスは、走行風によって雨水が流されやすい最適な角度で設置されている。このため、リアワイパーがなくとも良好な視界が得られるようになっている」なんだとか。へー。そんなに違うかなあ?
ただ、リアワイパーのユニットが後ろから追突された時に車内に飛び込んでくる、という事故例があるそうです。これを気にして極力リアワイパーを設置しなくともいいように努力してます、という事はあるかもしれません。というか、そのほうがベンツらしいという気もします。
最後のドアミラー編です。
冒頭の写真はドアミラーを横から状態です。
私は趣味も含めてクルマ磨き(電動ポリッシャーを使った総磨き)もするので気がついたのですが、ベンツのミラーは日本車に比べると非常に複雑な形をしています。日本車ならば精々つるんと丸いだけが関の山なのですが、ベンツの場合はあちこちにラインが入り、溝があり、角度がつき、となにやら曰くありげです。
大体雨の日に乗ると気に入らないのはドアミラーにかかった雨水が鏡面にかかって視界を妨げることです。
サイドガラスにかかる水滴は撥水コートで何とか処理できます。ただ、ドアミラーの鏡面は面積が狭いので処理し難いということがあります。日本車ならば鏡面そのものには「親水膜ドアミラー」などを採用して見やすくしてあるクルマもあるのですが。ただ、あれの寿命ってどのくらいなんでしょう?
私のCのドアミラーは少々濃い青色の着色が施され、ヒーターが入り、更に外側3センチ程度の部分の鏡面が角度を変えてあって、鏡面に映る角度を拡げてある、というものとなっています。これだけなら「二段階鏡面式ヒーテッドブルーミラー」などという名称で、日本車でも見られるものです。ベンツはそのミラーの風防も違うのです。
まず最初に気がついたのは鏡の風防のフチ周辺に掘り込まれた溝です。これがぐるっと下端を除く全周に掘り込まれています。おそらくこれは風防についた雨水を流すためのレインレールです。
風防本体は上下で角度が変えてあります。上半分のほうが倒れ方をきつくしてあるのです。おそらくこれは上半分に付いた雨滴をスムーズにレインレールに導く為の角度としてあるのでしょう。では下半分の角度は?
よく見ると風防の下のふちは下に垂らして拡げてあります。対して風防の下半分は丸く膨らませてあります。一旦流れ始めた雨滴が下まで来た時には勢いをつけて流れるようにとの配慮かと思われます。
勢いが付いた雨滴は下のヘリに当たって鏡面に付着することなくはじき落とされます。
上記の事は私がCを観察して想像したものです。
手元にあるW124の写真ではそこまでの風防の形に関するこだわりは感じませんが、それでも鏡面自体が随分奥まった位置に設置されており、風防のへりまで行った雨水が鏡面に飛沫となって付着しないようにするという配慮はしてあるように感じます。
こと風防の形に限って特段デザイン以外にこだわりを感じない日本車の場合、雨の際には風防のふちにあたった雨水はそこに溜まって飛沫となり鏡面に付着することが多いものです。今度よくご覧になってください。
おそらくドアミラーによってさえぎられた風が鏡面の前で内側に渦を巻いているのではないかと思われます。このため飛沫が余計に付着しやすいのでしょう。
ドアミラーについては書かれているのを見たことがないので、ここに書いたことは私の想像に過ぎません。でも形から察するにおそらくそんなに間違ったことは書いてはいないだろうと思います。でなければわざわざこんな金型作成に時間がかかる形にはしないだろう、と思うからです。
一回で抜けるように少なくとも3方向からのスライド金型は使うでしょうし、めんどうな箇所にディティールは入ってるし。
こうした深い配慮には脱帽いたします。
ただ、さすがベンツ様。このミラーも例に漏れず、よく壊れる、という話も耳にします。
なんでもミラー開閉用モーターの配線が、スレ防止のカバーを被せていない裸線らしく、あんまり頻繁にドアミラーを閉じたり開いたりしていると被覆が向けて銅線が裸になりショートしてしまう個体も少なからず、のようです。閉じたままで開かない、開いたままで閉じない、ということですね。
何でこういうところが抜けてるのかなあ。プランニングに時間を掛けているのはわかるけど、耐久試験の想定状況がどこか間抜けているんですよね。私達が使って良かったものだからこれでいいはずだ、みたいな。
随分長くなってしまいましたので、今日はこの辺でお開きです。