
昨日はロードスター話でしたので、今日はベンツ君で。
言葉は悪いですが、大部分の私も含めた日本人の傾向として「分かりやすい部分で他の車に見劣りしない。大体みんなと同じものでいいんだけど、ちょっと見栄も張りたい。そして出来れば、それをお値打ち価格で買えれば言う事はない。」と、少なからずこういう意識はあると思います。
私がちょっと違うのは「みんなと同じもの」という部分で、できればなるべく選ばれることのない部分に意固地になる、というところでしょうか。
こういう人を日本語で表現すると「へそ曲がり」とか「天邪鬼(あまのじゃく)」になります。こういう人が周りの雰囲気に対して鈍感になると、嫌われるもとになるので注意が必要です。自覚をしなければいけません。はい。
さて、話を戻すと。
そういう傾向の選ばれ方に翻弄される日本車は、依る術として「先生がこうしてるからこうしました」的な身の振り方をすることがママ、見られます。
私が某トヨタディーラーに新入りのセールスとして入社した時、「なんだこりゃ?」と思った「標準添付品一式」と呼ばれる新車の付属品(*注1)に、「ファーストエイドキット」なるものがありました。
(*注1) 付属品とはいいながら結構な金額を出して、新車代とは別に御代をいただく商品。実態としては各販売店の担当者が勝手にセレクトした「コレくらいは(例 フロアマット等)付けるでしょ?」的なモノと、「これくらいの金額は欲しいよね」的な、用品売上合計目標金額に合わせて辻褄合わせをされたセット商品群の名称。
名目としては緊急時における車載用の救急用品セットなのですが、何が面白くないってそれだけで8,000円程したことです。
じゃあ、その中味は?というと、消毒薬などは使用期限もありますし、クルマ屋で扱うモノに医薬品が入っていてはマズイので、それに抵触しないよう、三角巾とか、包帯とかガーゼのセット、ハサミ、メンディングテープなどが入っているだけという。減菌はされているにしても、この金額はないでしょう?
加えて、いかにも帳尻あわせ的なモノっぽさを漂わせる光景として、それを車内にしまうスペースが特に設けられていなかった事があげられます。
ほとんどの場合ガランとしたトランクの中に落ち着き何処も無く、右に曲がろうとすれば遠心力で左の壁に当たる音が「とすん」と聞こえ、左に曲がれば右側から、止まれば奥の壁から、またもや「とすん」と、妙に寂しい、自身の存在の自己主張の音が虚しく聞こえてきたものでした。
おそらくこの由来はベンツ先生にあるのでしょう。私のCにもこのファーストエイドキットが搭載されていました。
ただ、流石はオリジナル。偉いことに、ベンツ先生にはキチンと搭載スペースが確保されています。場所は冒頭の写真にある通り、後席後ろのリアトレイです。Cの場合、後ろに人が乗らないときには、後方視界に邪魔なヘッドレストが後ろに倒れて格納できるようになっているので、その2つのヘッドレストに挟まれた真ん中のスペースがファーストエイドキット用に割り振られています。
たぶん、W124あたりにも装備されていたんじゃないかな、と推測します。で、それを横目に見ながら開発を進めていたであろう初代レクサスLS400、日本名セルシオも乗員保護にここまで気を使っていますというアピールの為にファーストエイドキットを搭載するスペースを確保してきた、と。
ちなみに場所は助手席のシート下です。そこに専用のケースが収納してあって、標準付属品一式の中に含まれていたファーストエイドキット(セルシオ専用タイプ)がピッチリ収まるように作ってありました。
ところが他の車種には、添付品の中の一つとしてのラインナップはあるけれども、積載スペースまで考慮されるということはありませんでした。それが上記のトランクの中をさまようファーストエイドキット、という事態を招くことになったのです。
でも確か当時のセルシオ用のファーストエイドキットはその中味だけで1万円ちょっとしたんです。わざわざ「ファーストエイドキット 高級タイプ」とかいう名称がついていて。うろ覚えだけど中味の補充セットなんてのもあったような無かったような。
それ以外に「ファーストエイドキット 汎用タイプ」ってのもあって、セルシオ用はたしかB5サイズくらいの大きさだったのに対して、その他汎用タイプはその半分くらいの大きさでした。ちょっと厚くはあったけど。でもそんな所まで作り分けなくてもいいじゃん。
で、確かそれが2代目のセルシオの時まではあったような気がするんですが、3代目の時には記憶に無い。というより設定そのものが消えていたような気がします。汎用タイプだけはその後もしばらく売っていた気がするんですが。
このくらいの分量と内容だと、サラッと書けてしまうのでもう少し余談を。
セルシオの3代目の発表前。たしか7月の半ばか終わりごろだったでしょうか。その頃にセルシオのセールスマニュアルなる印刷物が配布されました。
メーカーにはあるでしょうけど発表前に正式な本カタログは販売店には届きません。資料はセールスマニュアルだけです。
それでも「事前受注を取って来い」などと無謀な事を言われる光景は、自分で売ることを全く想像していない上司のいる販売店では日常茶飯事です。
そんな状況でも「早く欲しいから」とか「折角なら、人より早く乗りたい」の一心で事前予約(当時確か50万の予約金を入れてもらっていました)を戴いていました。ありがたいことです。ちなみに事前予約でお金を戴いていたのはセルシオとソアラだけでした。
各車の新車セールスマニュアルには「これくらいは用品を売って利益確保を図りましょう」なんてページもあって、当時のセルシオだと、フロントスポイラーやらなんやらがいっぱい掲載されており、目標金額1台あたり11万とか12万とか書いてあったような気がします。
ただ、実際には金額はさておき「みんなが付けている物なら俺のにも付けといてくれ」という感じでしたね。特にセルシオ・ソアラクラスは。
それに付け込んで、というと言葉は悪いですが、果たして此処まで必要なのかと思えるくらい高価なフロアマットセット(1セット7~8万)とかクリーンボックス(要はゴミ箱。15,000円位?)とか、ナンバーフレーム(通常タイプが1枚5千円位。24金メッキタイプなんてのもあって、これが8千円程。)などがメーカーで用意されていて、その中から数点を選び、販売店独自の標準添付品一式なるものが価格表に載せられている訳です。
ちなみにマークⅡのフロアマットだと、37,000円くらいの物が添付品となっていました。
標準添付品の中に、必ずといって良い程含まれていたものに「ナンバーフレーム」があります。何故か日本車はこれが好きで、ナンバーが裸のままだとみっともないという理由(?)で着けてあるクルマが大半です。ベンツなどではわりあい素っ気無く、そのままにしてあるクルマが大半な気がしますが。
で、当時のセルシオの添付品一式の中にも当然のようにラインナップされていたのですが、おそらく販売店独自の価格表を作った時の担当者は、トータル金額しか気にしていなかったと見えて1枚分の価格しか価格表に入れていませんでした。
この結果、はたから見たらマヌケな話ですが、当時のセルシオにはナンバーフレームが前だけか、もしくは後ろにしか付いていない車がいっぱいあります。大半がトヨペットで販売された車であることは言うまでもありません。みんな、特にセールス自身がそこまで気にしていないんですね。
ちなみに自分の納めたセルシオにだけは前後2枚とも付けてあります。
ここまで書いて思い出したのが、特にリアにつけてあるナンバーフレームに関してのお話なのですが、ここまでくると少々長くなりすぎてきているので、この話はまたの機会にいつか書くことにします。
それでは。
Posted at 2009/10/06 18:28:47 | |
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