
ある日、ある時。ちょっとお仕事でロードスターに乗っていました。ちょっと、といってもその日はお昼過ぎからずっと乗りっぱなしで浜松市内から磐田、浜北引佐とぐるっと100件程も回ってくるつもりだったのです。
当初は快適に走ってくれていました。すでにこのときは凡その掃除も終わり、ブイブイ走り回っていた頃です。新品で買い換えたオーディオは仕方ない、雑音は入るもののパネルはピカピカでしたので、それはそれでまあいいや、と思っていました。ちょうど季節は今頃だったでしょうか。
既に暗くなり始め、涼しくもありましたので、リトラをあげてヘッドライトは点灯、ヒーターを入れて送風状態、オーディオも入れっぱなし、という状態でしばらく走っていました。
で、ある時「?」と思いました。
「あれ?入れてあったはずのラジオから全然音がして無いじゃん?」
場所は磐田の福田です。うちに帰るにはまだまだ距離があります、というより一番離れた地点でした。
ラジオが聞こえなくなるという症状は一番初めにありました。このときにはまだオリジナルのオーディオが入っていたので、コンデンサーあたりの部品の経年劣化がくるだろうから仕方ないだろう、と判断しました。それもありオーディオを入れ替えたのです。
少なくとも今回、ラジオを入れてから随分しばらくは作動していましたし、そのくせ、今でも画面表示だけは動いているではありませんか。うーんおかしい。オーディオが壊れたか?でも買ったばかりだしなあ。おかしい。ハズレを引いちゃったか。うーん。なんとなく嫌な予感もしたし、送風音もうるさかったので、この時点でヒーターの送風は切りました。
まだまだ用事の途中だったので、仕方なくそのまま走っていました。福田から竜洋に入り、そのまま天竜川を渡るころになって新たな症状に気が付きました。
「んん?あれ、なんかヘッドライトが暗くないか?もっと明るくなかったっけ?」
おかしいです。いくら古くてもヘッドライトの光量が途中で落ちるか?んん?掛塚橋の上で止まって考え込む訳には行きません。でも、どう考えても電気系統の異常です。ということは........?心なしかエンジンの鼓動も微妙に調子を崩したっぽい気がしないでもありません。
本能的にエンジンを切ったらヤバイ感覚はありましたので、エンストだけはしないよう、そのまま知り合いの業者の所まで直行です。時間は午後10時近かったですからもちろん開いていません。ですが、クルマを自由に止められるスペースはありますから、ここで何かあっても交通の邪魔になることはありません。
ここに辿り着く前に何気にパワーウインドウを動かしたら妙に動きが渋い。
という事は電気の容量が何らかの所為で少ないんだな、と。
次にヘッドライトを切ってみました。すると、今まで沈黙を保っていたラジオから音が聞こえだすではありませんか。おおっ?こいつ生きてるじゃん?ということは?
バッテリーが仮にダメだとしてもオルタネーター(発電機)さえ生きていれば、そこから電気が直接供給されるだろうから、エンジンが動いている限り電気の容量が足りないということはナイだろう?
じゃあ、仮にバッテリーは大丈夫だけどオルタネーターがダメだということなら?もちろんバッテリーの中に溜め込まれている電気しか余力は無いわけだから余力分をあちこちで使い分けるしかないよな?エンジン着火、ヘッドライト、ラジオ、ヒーターの送風、パワーウインドウなどなど。
すべての症状の辻褄が合うじゃん。
という事はこいつ、オルタネーターが死んでるな?嫌な結論だけど。
なら、おそらく今エンジンを切ったら再始動はできないよな?うーん。まあ、切っちゃえ。えい!
さて、再始動。んー。やっぱりかからなくなっちゃったな。スターターへの電力供給だけで手一杯になっちゃって、着火電力まで手が回らないんだろうなあ。ということはやはりオルタネーターが死んでる可能性大だな。
このままではおうちに帰ることができません。流石にこの時間(10時半くらい)になって業者を呼び出す勇気もありません。
さっそく任意保険によるレスキュー隊の手配です。JAFに年会費払うより任意保険にこの手のサービスは自動付帯されてますので、使わない手はありません。ただ、近頃はこの手のサービスが保険会社によってはオプション化され始めているので御注意を。
もちろん、ハナからそのつもりでエンジンも切ったのですが。
しばらくしてレスキュー隊が到着。
事情や経緯を説明して、やはり救援隊の方も同意見となりました。まずはジャンプしてもらいエンジン始動。バッテリー電圧を計ってもらうと既に10Vほどまで落ち込んでいました。
さて、ここで悩んだのが、このままうちまで牽引してもらうか、それとも自力で帰るか、という選択です。一応牽引は50キロまでOKなので大丈夫といえば大丈夫なんですが。
しばし悩んで結論、自力で帰ろう、という事になりました。
今から思えば、これは綱渡りでしたねえ。
分かる人はわかるでしょうけど、ここは天竜川町、うちは村櫛町ですから、その間、ざっと20キロ近くはあるでしょうから。
さて、意を決した以上は、腹をくくるしかありません。レスキュー隊の人には「また呼び出すことになったらゴメンね」と、お礼とともにお詫びを入れておきました。
さて出発。
なるべく明るい道を、危険ではありますがポジショニングランプとフォグだけで走ることにします。電力消費は極力抑えなければなりません。
そーっと、そーっと。
無闇な回転数増加も着火回数が増えますので、ここも我慢です。
ゆーっくり、ゆーっくり。
それでも、無情にも何回か信号機にその運行を止められて冷や汗ダラダラです。
何とか、かんとか浜名湖大橋を渡りきったはいいものの、この頃にはエンジンの回転すら不安定で怪しい状態でした。こうなったらライトを消すしかありません。ハザードのみで走行です。
ここまでくれば、あと一息。この時間(11時半くらい)になって、ここまできてロードスターを押すのはまっぴらです。
ということで何とか自宅に到着。この日も無事に家にたどりついたのでした。
で、後日、マルハの容量アップのオルタネーターと値上り前の専用バッテリー(高かった)方を通販で購入。入替をいたしました。
ただ、一つ。これはマルハのオルタネーターのリングが悪かったのかどうかは分かりませんが。
妙にベルトの食いつき・掛かり具合があっていないようで、その後ベルトが滑ること数回。テンション調整も数回。今でもたまに鳴きます。
それでもオルタネーターの容量は、あって困ることはない、ということでマルハ製にしたのですが、結局それ以降、電装品が増えることも増やすこともなく今に至っているので、リビルトの純正オルタネーターでもよかったかなー、とちょびっと後悔しています。
以上、オルタネーターに振り回された顛末記でした。