2010年05月15日
足あとを拝見していると、結構車検費用の絡みでお越しいただいている方もあるようなので、知っている範囲で書いてみようと思います。
車検のシステムは見方を変えれば税金の徴収機会になっています。では車検を取らずにクルマに乗るとどうなるかというと、それが発覚した時点(つまり、お巡りさんにばれた時点)で免許取り消しその他の罰則があります。詳しくは各自でお調べください。
以前は、外見から車検時期の判断をするのにステッカーの色と数字で見ていたのですが、どうもお巡りさんはあれがよく分かっていなかったようです。此処4~5年の間に車検時期を数字で表すような表記に変わっています。
そんなこんなで税金なんですが。
重量税がかかります。自動車税を払っていなかった人(2年間丸々払わずにいる豪儀な方も中にはあります)は、未納分と延滞金の合計分も払わないと車検を受けさせてもらえません。税金は何処でも一緒なので詳しくは各自でお調べください。減免のない代表的なところで行くと~1tまでが3万円、~1.5tまでが4万5千円、~2tまでが6万円です。
自賠責です。保険とは言いながらも入っていることが義務づけられている訳ですし、そうでないと車検も受けられませんからまあ、税金みたいなもんだなあ、と勝手に思っています。自家用乗用車で24ヶ月22,470円となります。
あと、車検手続きにかかる申請手数料は1,800円とかそんなもんです。
実はこれが実際の車検にかかる必要経費です。つまり自分でやって来れればこれだけでOKという事。書類は自分で書けばいいしね。
トヨペットのセールスだった頃、ありていに言えば口減らしの為に、メカニックに「セールス研修」と称した嫌がらせをして辞めてもらうなり、辞めてしまうセールスの頭数の補充をする、という事が行われていました。まあ、営業の現場を肌で知ってもらうなんて体裁のいい言い訳はともかくとして、実態はそういうことです。
で、ある時。先日までフロント業務をしていた熟練のメカニックに、営業会議の際、所長があることを尋ねました。つまり「車検の実作業そのものには一体どれ位時間がかるのか?」という事です。
その元メカニック曰く「よーいドンでやって1時間もあれば。かかりっきりでもよければ4~50分くらい。」と答えていました。私的には「え?それっぱかしかやんないの?」てな感じ。
実際、車検の作業内容は1年点検とさして変わらないそうです。多少念入りに行ってはいるようですが基本は同じ。つまり、本来ならば12ヶ月点検と作業工賃そのものは大差無い筈なんです。せいぜい1万5千円程度ということですね。
もう一つ余計なことを言うと、車が大きかろうが小さかろうが、日本車だろうが外車だろうが、見るべきところ「要点検箇所」は変わりません。まあ、高額車の場合エンジンカバーがいっぱい入ってたりするので、目的の箇所に到達する前に外すカバーが多く、これを外していくのが面倒という、本来の作業以外の作業はあるにしても。
という訳で、高額車や外車は整備代が高い、というのは実は嘘で、そうした車のほうが高額な整備料金を請求しやすい、というのが本当のところだと思ってます。
昔は下回りの防錆塗装があまりよろしくなかった事もあり、また、洗ってこないと陸運局の検査ラインで検査官に文句を言われたりもしました。このため下回りの高圧洗浄機による洗浄とシャーシブラック(まあ水性塗料の黒のスプレー缶、というだけなんですが)の塗布なんていうメニューもあったりしました。
でもいまはユーザー車検の台数が増えたこともあり、特に文句も言われることも無いし。また、下回りの防錆処理もしっかりしてますので別にそんなことやらんでも、車としてはどうって事はないし。
中にはコンピューター診断機にかけてエラーチェックをする、なんてことも言ったり言わなかったり。でも、別に異常があればとりあえずは何処かしらのチェックランプがつくだけだし、チェックランプが点いたことが無ければ、別にコンピューターのメモリーにも履歴は何も残りません。ということで意味はないでしょう。
今回のプリウスみたいに「メーカー推奨の更新プログラムがある」場合はまた別ですけど、それはこっちで金銭負担をするべき性格の物ではないはずですし。
ということで、オイル交換とかエレメント交換以外には特に費用のかかるところはないでしょう。特に初回車検で2万とか3万キロ程度の走行距離なら「はっきり言って、やること(整備が必要な所)などない」という感じですね。いやマジで。
以前ならLLCとかも考えなくはないですが、今の冷却水は寿命が延びています。スーパーLLCとか言ってね。10年無交換とか書いてあるくらい。流石にそれでも5年目位の時期には交換を考えますが、それ以前ではある程度過酷な使用状況でもない限り、手をつける必要はないのが原状でしょう。ベルトの張り具合にしても今は自動調整が当たり前のようになってきてますしね。
そんな訳で、現実的にも5年以上、5万km以上といったメーカー補償の範囲を超えだすところまで行かないと、定期交換部品とか、消耗品の交換は別ですが、要整備箇所は出て来ない(もちろんノーマルで乗っていることが前提条件)なあ、という印象ですね。ごくごく普通の乗り方ならば。
請求書の内容をみていたりすると「代行費用」だの、「検査機器使用料」だのと言っていますが、あれもこじつけみたいなモノ、といったらまずいのか。
整備工場の中には、陸運局から「あんたのところの検査ラインは、陸運局の物と同レベルの信頼性が確保されています」というお墨付きを貰っているところがあります。もちろん、これらの検査機器の維持にもそれなり(おそらく500~1000万円クラス)の初期投資がかかっているはずですから、それはそれで「ちょうだいな」といいたい気持ちも分からなくもないのですが、陸運局に行けば同様の施設があるわけですし、利用料は遥かに安いし。これが「検査機器使用料」なる物の原資ですね。
自前で検査ラインを備えるメリットとしては、クルマを陸運局まで1台1台持ち込む手間が省ける、という事があります。でもこれは工場側の都合だし、どうせ1度は書類を陸運局に持ち込まないと新しい車検証とステッカーを発行してもらえないし。
でも検査ラインで落ちても、テスター屋さんと呼ばれる業者があるので、ダメだった所だけそこで調整するということも可能だしね。
代行手数料というのは、この書類を持ち込んで車検の継続申請をする手数料なのでしょう。多分。
大体そんなところですねえ。
車検というのはあくまでも「服装検査的な」モノです。検査ラインを通過させてみて、基準に達しているかどうかを調べ、ダメならその箇所を整備させ、OKなら税金を納めさせた上で、新しい有効期限の検査証とステッカーを交付する、という流れです。別にここぞとばかりに整備をしなければいけない時期ではありません。
ただ、車検というとお金がかかるイメージが強くて請求しやすいのと、ほぼ必ず何処かしらの工場には入庫するので、整備をするタイミングとして適当だ、というだけです。
そういうことを踏まえて「整備が必要になったときに」「その都度」整備をかけておれば、車検とはそれほどお金のかかる話にはなりません。税金分が同時請求されているので分かりにくいのですが、本来の金額はそんなもんです。
御参考までに。
Posted at 2010/05/15 09:41:18 | |
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