2011年09月10日
トラックに乗っているお客さんがいます。
この方、私がかつて在籍していたトヨペットの営業所で、別のセールス(つまり前の担当者)から平成7年の頭にハイエーストラックを買われ、それを昨年の6月頃まで乗っていました。15年程というわけですね。前の担当がトヨペットを退職されて以降、私が担当セールスとなり新車は買ってもらったことはないのですが、何やかやと現在もお付き合いが続いています。
私がトヨペット退職後数年間の間隔を挟んで再び車方面のご面倒を見るようになってから(トヨペットを辞めてから3年ほどは、近所の業者のところに整備に出していた)は、おそらくそれまでもいろいろあったのでしょうけど、すったもんだしました。もちろんそのたびに呼び出されたのですが。
まず第一に困ったのがこのトラック、ウッドデッキだったことです。
ウッドデッキ自体はいいのですが、困るのは荷台を支える横根太の部分まで木だったこと。
それまで知らなかったのですが、ウッドデッキの荷台の場合、荷台そのものはスチール製で、その上にコンパネを張ってあるだけだと思っていたのですが、根っこの部分まで木製だったんですねえ。
つまり木の腐りが横根太まで進行すると、荷台そのものが自重に耐えかねて落ちてしまう危険性があるわけです。実際、このトラックの荷台後方は既に天板が腐って落ちてしまっており、後ろから2番目くらいの横根太まで腐ってしまいブカブカになってしまいました。止む無く照れ隠しも含めてコンパネをホームセンターで買い(それにも付き合わされました)、それを荷台に敷きっ放しにしていました。
本来ならばどうするか?と聞かれれば、荷台を引っぺがし、横根太に新たな材木を入れ直し、荷台の天板も新たにコンパネを敷き直してリフォームする、という事になります。
一応トラックの仮装業者にも見積もりを取ったのですが、やはり20万~25万くらいの事を言われました。作業期間として1週間程度は見て欲しい、とのことでしたから人件費15~20万程度の、材料費5万程度という所なのでしょう。
一人専任の、補助にもう一人はその作業に張り付くことになるでしょうから、そのくらいは言われても仕方ないところでしょう。
そういえばキーシリンダーが馬鹿になって、キーが抜けなくなったというのもありましたねえ。エンジンに火が入らない、という事でグロー(ディーゼルなので)も換えたし、バッテリーも換えたし。
その際に露呈したのがバッテリーターミナルの腐食です。ずーっと露駐だったこともあり、ターミナルもそうですが、電線との結合部も腐ってしまっていて、結局ここが抵抗になってしまっていてエンジンが掛からない、なんてこともありました。誰がバッテリー交換をしたのか知りませんが、その際にターミナル周辺部をグリスでコーティングしてなかったんですねえ。それ位しろよなあ。私ですらその為だけにグリス持ってるくらいなのに。
あとはオーバーヒートの兆候(ラジエーターの漏れが原因)が見られたのと、クラッチ交換がそろそろと。で、これらを最後まで手をつけずに引きずったので、結局車検時期も近づき、同時にこれらの作業をやると20万くらいは楽勝にかかるかなあ?と言うことになり、結局トラックを廃車する事になりました。荷台も結局は手をつけませんでしたし。
ただ、エンジンそのものは10万キロ少々の走行距離でしかありませんでしたから調子は良かったんですが。
でも今にして思えば、さっさと一つづつ手を付けていけば良かったんですよね。掛かる物はかかる訳でしょうがない。それをしないのならばソフトランディングをする手立てをあらかじめ取っておかないと、一触即発でいきなり胴体着陸なんてことにもなりえるわけです。
私個人としては、こうした作業のことを「リセット」と呼んでします。少々お金は掛かりそうだけど、それがあちこちに火種が出来て同時多発テロになってしまっては火の消しようがなくなります。
そうなると、どこかでリセットを掛けないと何時までもズルズルと「延々と瑣末な延命処置を施す」だけになると言うことです。
結局、車はにっちもさっちもならなくなり何時かは完全に息を止めざるを得なくなってしまいます。結局自分で息の根を止める行為に加担している事になっているんですよね。
リセットを掛けるにしても幾つかやり方があります。
1つは先ほどのように火種を一つ一つ確実に消しこむ。大掛かりな修理箇所が出た時も「何処まで乗るつもりなのか」をきちんと意識して、そこから逆算して「手を掛けるべきか否か」をきちんと判断する。
もう1つは、手を掛けずにその車とのランデブーをリセットしてしまうという事ならば、それはそれできちんと新車にしてしまいリセットし切ってしまう、と言う方法です。もしくは程度重視で少々予算オーバーになったとしてもぐずぐずと維持費を注ぎ込むことの無い様な程度の中古車で、今までのズブズブの関係をリセットする。
ところがありがちなことなんですが、何時までも煮え切らないメロドラマのように「何時までもズブズブの関係」が中々皆さんお好きなようで。
結局、あまり懐の痛くならない程度の金額で何とかお茶を濁そうと、浮くはずの無い浮き袋を必死に掴んで離さなくなってしまうんですねえ。結局それはお金を吸い込むばかりのブラックホールでしかないにしても。
私の役割としては、こうした病巣を適宜切除し、ダメならダメと断を下す、もしくはそういう方向に誘導していくのが本来のはずなんですが、なかなかね。自身の外科手術に積極的に踏み切れる方ってそう多くは無いんですよねえ。もちろん車のことに限らず、ですけど。
「金の切れ目が縁の切れ目」とはよく言う謂いですが、これって全くクルマのことにも当てはまります。
つまるところ、ある程度余裕を持った自己資金がプールできていれば先手先手の治療も出来たり、なんとなれば車を換えちまえばいいや、というリセットも出来るのですが、無い人、もしくは持っていても気持ちに余裕の無い人はどうしてもギリギリまで引っ張っちゃうんですね。
まあ、それ以前に「金が無いなら車を維持しようと思うな」という事もあったりもするんですが。無きゃあ無いなりに通す方法だってありますし、そうするのが当たり前でもあるんですが。
なかなかにしてそういう「割り切り」ともいうべき「自分への外科手術」って難しいようです。得てして他人の事になら「ばっさり」と割り切れてしまうんですけどね。
Posted at 2011/09/10 19:22:24 | |
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