2011年11月04日
東日本大震災直後、日銀の発表で「資金の供給能力をいくら増強した」なんて記事があった様に記憶しています。
金融政策の実態に関しては疎いのであんまり偉そうな事は言えません。でも結局あれって通常は債権や何がしかの金融商品に化けてしまっている預金資本を、地震があったからってすぐに現金化する訳にもいかないので、一時的に当座必要になる現金を用意するとともに、緊急融資に必要なお金をすぐに用意できるように日本銀行券を大量に用意しておいた、という事だと解釈しています。いくらやばい状況だからといっても現金を無差別にばら撒くわけにもいかないでしょうから。
市中への現金の流通量を増やしていくためには一つには預金金利を上げていく事。もう一つは融資の貸出量を増やしていく事ですよね。多分。
まあ国債の発行総額のこともありますから、国にとっては今現在、公定歩合が上がることは決して歓迎したくない事でもあるでしょう。
けど、一般的に先進国の通常金利は普通に4%程度はあって当たり前、と言われていたようです。海外に住んだことがないので外の状況は分かりかねますが。
でも、今のアメリカや欧州のような危機的状況に至るまでの各国の国債金利はたしかに4%台でした。
外貨預金なんてものを銀行で売っていたのも、この日本と海外との金利差を当て込んだものです。それだけの差があれば換金手数料もカバーできるかな?という感じで。
こと、ここまで壊滅的に金利が低い国内では以前のような金利収入が見込めません。複利を前提にすると、10年で元金が倍になるという金利が8%という事になります。昔はやたらと定期預金にしてきた理由はここですよね。ところが今は、.....という状況。
高齢者にとっては、ここに来て年金も減額、金利もほぼゼロ金利となれば、今までは元本は可能なかぎりそのまま保持しつつ、金利と年金で何とかしのいでこれたにしても、これからは残してきた預金を取り崩していかざるを得ません。そりゃあ、使わないようにもなるわなあ。文字通り「虎の子」なんですから。
せめて消費税を含めた税金を上げる事を口にするのであれば、息をしているだけで掛かってくる公共料金を何とか減免する事を考えるなり、公定歩合を上げて市中の金利を上げる方策を採るなりしてからが先に来るべきだと思うんですけどね。
さて、本題の融資量の拡大について。
結局未だ手にしていない「未来の収入」をアテにして、楽しい所は今満喫してしまおう、という魔法の手段がローンなる金融商品です。コレがあるからこそ見かけの流通量がいきなり増えてしまう。
特に住宅需要などは注ぎ込む期間も量も桁が変わってきますからおいしい商売であったはずです。まあ、形を変えた奴隷制度というか娼婦の借金制度と似たようなものなのかもしれません。
ところがコレ。
なんとなく、という程度の感覚なんですが、どうも金融機関の与信能力が低くなってきたような、というのか。簡単に言えば貸し渋りなんですが、悪く言うと金融機関の側の「貸す側から見た高望み」といったらいいのか。
もちろん、あまりにも簡単に「融資OK」としてしまうと行き着く先はサブプライムローンの二の舞ですから、それは現に戒めるべきなのは重々承知しています。ただ、経済の活性化という側面で見る限りにおいては「見かけ上とにかく商品の流通量は増える」ことも事実な訳です。もちろん回収できなければ意味を成さないのも当たり前ですけど。
もちろん経済状況のこともありますから、以前のように簡単にOKを出すこともなくなってはきました。けどそれ以前のレベルで、足切りの様な形で融資を否認されるケースが少なくなくなってきたような感はあります。とにかく正社員じゃあなくてはダメ、とか。先ずは所得証明を出してもらわなくちゃあダメとか。
そのくせ、まあ私は車屋ですから車のローン申請の場しか見てませんけど、所有権留保をしてまで車を売ろう(つまりは債権の保全)という姿勢までは見せない例が多いです。昔はローン物件の所有権留保なんて当たり前だったんですけどね。
つまりそういう点を見ていると、何とはなしに「めんどくさそうな奴には貸さないようにしておいて、もっと楽な案件だけ取れればいい」というような姿勢が裏に見え隠れするんですよね。
またこういう一見「安全そうに見える案件」のみを引き受ける姿勢は、そうした案件を出してくるお店側にも条件を付けるようにもなって来ました。
以前聞いたところですと「整備工場を併設している販売店」だとか、「店舗を構えて看板もきちんと出してください」とか。その他主要取引先の銀行がどこで資本金はいくらだとか従業員数・開業年数・その他色々......という感じです。
しかもコレって売り上げに直結するとは思えない全く意味を成さない無意味な投資であることが大半で、逆にコレをして経営(資金の回転)が危うくなったらどうする?という事には絶対に答えてくれないんですよね。
なんだか先日の消防指導をきっかけにして廃業した町内のスーパーを思い出してしまいました。
こういう事を聞いていると、何だか「保険代理店としての事務所はこうしてください」的な如何にも杓子定規な保険会社社員の妄想の産物というか、それにそっくりだなあ、と。自宅で事務所を開く場合には「自宅玄関と事務所の入り口は別々にして」とか、「事務スペースとは別に応接セットが云々」とかね。
しかもコレで代理店手数料の料率に差を付ける、何てことも本当にしているから馬鹿馬鹿しい限りですけど。
どうも金融関係社員というのは別の世界の妄想の中だけに生きる生き物のようです。しかも性質の悪いことにその妄想を現実世界に押しつけないと気が済まないらしい。どうも「持ちつ持たれつの関係」の中でやっているという意識はあんまり感じません。
となると、出来る限り金融機関のお世話にならずに過ごしていくためには現金を抱え込むか、自給自足でやっていくかの2択になってしまうんですけどね。
とりあえず、クルマを買おうと思ったら「無理せず、高望みで無いレベルで、自分で用意できる額の範囲で」の3原則は死守しておくべき時代になってきたように思います。
もちろんお金持ちには金融機関も甘い顔をしますから、そんな心配はご無用なんでしょうけども。
Posted at 2011/11/04 11:30:10 | |
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