2012年10月06日
車検の是非という話題はよく採り上げられるものです。それについての雑感などアレコレ。
さすがに車屋さんという業種で車検が切れたまま乗っているという事例は、いくらなんでも聞いたことがりません。勿論狭い私の了見の範囲内では、という限定条件の中の話ですが。
多分私の想像の範囲内では、車屋さんには主に2系統があると思うのです。一つはメカニックが整備工場を始めるパターン。もう一つが私のような営業職出身の者が車屋さんをはじめるパターン。
2つとも前職が車屋さんであったという事が共通点ですが、もしかしたらそれ以外の、まったく前歴は無いけど儲かりそうだから車屋を始めた、なんてパターンももしかしたらあるんでしょうかね?
まあそれはそれとして、基本前職が車屋さんであった場合は「車検を切らす」という事が前提条件としてあまり無いのでは、という気はします。だって、メカであれば「機械は基本メンテするのが当たり前」というのが体に染み付いているだろうし、営業職にしたって車検期間が有効なのが当たり前以前の常識という感覚でしょう。
ただ営業職ならではという事で、車検を切らせて平気な顔をして乗っていた場面や人には少なからず遭遇しています。初めて会ったのは営業所に来店されたお客さんでした。
最初は気が付かずに応対をしていたのですが、車検切れに気が付いたのは乗ってきた車の査定と新車見積を依頼されたからです。査定の最初の作業は車検証の内容の転記なのですが、その際に車検切れに気が付いたときにはびっくりしました。
勿論、そんな管理をされているような車が値段の付く様な時期に代替される事がある筈もなく査定価格はゼロだったのですが、さすがに聞いてみました。「車検が切れているようですが、気が付かれているんですか?」って。そうしたら返ってきた答えは「もう替えようかと思っていたので、そのままにしておいた」と平然と返されました。そんな人いるのか?って感じでしたね。
私のもう一つの顔である保険屋ですが、その保険屋の中には割りと車検に無頓着な人もいました。車屋出身、というばかりでもないので感覚が薄いといったら良いのかどうか判りませんが、車検切れという事は勿論、保険屋のクセに自賠責も切れたままで乗っているんですから図太いというのか呆れたというか。
ただ後から確認してみたんですが、保険会社としては実務としても車検証の提示を車両入替時くらいにしか要求していません。保険の継続時に保険会社を換えたとしても、ネット系損保のやり方は知りませんけど、代理店には「今までに他所の保険会社が確認して継続もしていた筈なんだから車検証の提示までは求めない」と言って来ています。つまり「車検切れ」の車が存在する、という事を想定していないんですよねえ。
だから、仮に車検切れであったとしても任意保険そのものには入れてしまう、というのが現実です。勿論車両保険を請求するような事態の時は車検証の提示を求められますから、その際にアレコレと一悶着あるのでしょう。けど、対物保険の請求だけだったらばれないだろうなあ、とは思います。多分。
先日、嫁さんのアイの車検を通してきました。
本人、車検が来る事をすっかり忘れていたようで「とにかく安くして!」の一点張りだったので止む無く、そのままの裸の金額で請求書を作ったわけです。その額48,555円也。この額を安いと思うか否かはともかくとして嫁さんは喜んでいました。
金額の内訳としては
重量税 6,600円
印紙代 1,400円
自賠責保険料 21,970円
車検整備・検査 代行費用一式 18,585円
という具合です。
ちなみにほぼ同時期に行ったサクシードの車検だと
重量税 6,600円
印紙代 1,700円
自賠責 14,190円
車検整備・検査 代行費用一式 18,585円
で、合計41,075円です。これが実際の金額。
この金額を見てお分かりいただけると思いますが、車検車検と言った所で実際の整備費用は微々たる物で、現実的に車検というイベントは税金徴収の代行機関と言っても良いのが実情なワケです。車検を受ける車が重量級の乗用車ともなれば重量税が跳ね上がりますから、さらに税金負担分が重くなります。整備料金自体は車の状態に応じて、という事でもありますから何がしかの追加整備さえなければ基本このままの金額ですからね。
しかし、自賠責の金額。この内訳もいい加減見直すべきだとは思うんですがね。
現実的には交通事故であっても健康保険による診療が可能なわけです。ただ、自賠責対応の場合は基本自由診療ですから診察料が跳ね上がる。実際には健康保険による診療点数の2倍ないし3倍と言われているくらいです。
それに加えて言い方は悪いですが暇人が事故相手(被害者)だと延々慰謝料目的としか思えない通院日数と通院期間を治療に費やす事も珍しくありませんから、まあ支払い明細を見て「よくもまあ通ったもんだ」とこちらが感心するようなものも珍しくないです。
まあ全員が全員そうだと言い切るつもりはありませんが、支払い内容はもう少し吟味されても良いんじゃあないかなあ、と。一時下がった自賠責ですがココンとこジワジワと騰がり続けていますからねえ。
車検整備と言えば、本当にこんなんで良いの?ってくらいの車検場の検査項目。
勿論まったく無駄というつもりも無いですけど、でも実際は「その時・その場」のライン検査が通れば車検そのものはOKという事もあるわけで。
いい加減、OBDコネクターもほぼ全車種装備されているわけですから、そうした先端装備に対応する検査内容であってもよろしかろうに?とは思うんですが。良い金取ってるくせに、とかね。エコカーか否かで税金に差を付けているのであれば、実際にエコカーの名前通りのものとなっているのか、位はチェックするのが筋だと思うんですが。
そういえば先日、少々過走行気味の車の車検を依頼されました。もちろん過走行であろうが無かろうが車検整備項目がガラッと変わるわけもありません。
でも、そんなこともあって今後のこともあり、一応古巣の某トヨペット店に「幾らなら車検受ける?」と反応を聞いてみました。勿論、ディーラーならばそれなりのきちんとした整備をするから、という理由ではなく、単に「ディーラーにやらせました」と言えば「まあ仕方ないか」という反応が出やすかろう、という半ば逃げの理由なんですが。
で、すると。
「指定工場だという事もあって、いろんな所からの横槍もあり、店内に表示している整備金額から業者割引10%以上の値引きは事実上出来ないのが実情」
って言われました。それって事実上のカルテルじゃあないの?とも思いましたが、そんなこと目の前の1アドバイザーに言ってみた所でどうなるもんでもありません。そういう事ならば単に仕事は出せません、というだけです。まあ良いんですが。
基本、私的には車検整備自体は必要なイベントだと思っています。
現実的にユーザーの質的な劣化は著しく、車が有って当たり前の環境は車をどんどん白物家電的な存在へと気持ちの中ではしていきます。中国製みたいに爆発するのは困り物ですが、まあそれでも周りに被害が及ばなければ、それはそれ、何かと引き換えにそういう製品を選んだその人の自己責任と言ってしまえばそれだけの話です。
ただ車と言うものは外に出かけるためのツールである以上、他者に被害を及ぼす可能性を否定しきれません。管理の悪さが本人に帰結しきれるのであればそれは致し方ありませんが、それに止まりきる可能性も薄いわけで。
となれば半ば強制的にでも整備を受けさせる機会はあってしかるべきだとは思います。
ただ、システムそのものが古びてしまい、形骸化しきっている感は否めない所だと思います。
メンテナンスフリー化が進んだとはいえ、それは確実な「ジ・エンド」が将来来るというだけで、それを阻止しようと思えばやはり適切な時期に適切なメンテナンスを施すしかないのは変わらない事実です。整備・点検の時期を延ばすのは一概に得策であるとは言えません。
単に無整備車が氾濫しているだけの結果になっているのは上記のような整備への関心の低さと製造後の初期トラブルの激減したためでしょうかねえ。数年前から始まった半年点検・1年点検の事実上の消滅も無関係ではないと思いますが。
まあ何にせよ「人の上前を刎ねる」ことで飯を食おうとする人を減らすことが何よりの先決事項ってことはどこの業界も変わらない事ってことでしょうかね。
Posted at 2012/10/06 11:52:25 | |
トラックバック(0) | 日記