2013年10月30日
個人的にはアレが付いたままなのが嫌いな方なので、自分が新車を買った時にはさっさとビニールは速攻で取っぱずしてゴミ箱直行ってのが大概のパターンでした。もっとも大概のパターンと偉そうに言ったところで4台しか新車を買ったことはありませんが。
ただ、人によっては私のようにゴミとしか思わない人もいれば、お客さんによってはものすごくビニールが付いていることをありがたがって、なかなか剥がさない人も少なからずいらっしゃいました。
もっとも、あんまりビニールが付いたままにしておくとビニールに帯電した静電気がホコリを吸い寄せますので、綺麗にしておきたい部分の保護カバーだった筈の物が、逆にホコリをなすり付ける原因になっていたクルマも少なからず存在していたのも事実です。でも無碍にそれを指摘されるのも、人によってはあまり喜ばれるかどうかが疑問なところでもあります。言い出すタイミングは非常に微妙でもありました。
さてさて、そんな話はともかくこのビニール。当然のことながら高額車にはびっちりとビニールカバーがコレでもかとばかりに突っ込まれ、場所によってきちんと材質にも変化を付けながらキッチリと貼り込まれているのですが、やはりというか何というか、安い車になると「こんなもんですか?」ってくらいにシンプルになったものです。
ただ、そういうもんなのかもしれませんが、こうしたビニールカバーびっちりの高額車を買われるお客さんであればあるほど、少なくとも私の接した方々に関しては「納車前に剥がしておいてね」という方が大半でした。
無理してそういう車を買ったという訳ではなく、あくまでも普段の足として、収入生活に合った車としてそういうクルマを買われていたのでしょう。普段の乗られ方・扱い方を見ても実にラフというか無造作と言ったらいいのか。ワリと乗りっぱなしにされている方が多かったような気がします。
いつもの余計な話ではありますが、セルシオを買ってくれたお客さんが、私がやっとの思いで当時買った(もちろんローンで)コンビモデルのロレックスデイトナと同じものを至極普通に使われているのを見たことがあります。あの時は(そして今でも)恥ずかしくって次の日からロレックスを普段使いで使うのを止めました。でも手放す気もないので今でも大事に持ってはいるのですが。
良い物を持つということや良い物が分かるということは非常に大事なことではありますが、その一方で「分相応」ってモノも厳然としてある以上、買い方も含めた「買える金額」である事と「ふさわしいか否か」って事は全く別問題であるんですよねえ。もっともそういう私自身は「似合わない」ことを自覚する貧乏人ですから、ロレックスを持つ方々に対して僻んだ目でそれを眺めるのが精一杯なんですが。
まあ、そんなことを含めて当時一生懸命買ってもらい、一生懸命納車準備をして納めさせていただいたかつてのクルマたちを今どきになって中古の若葉マーク付きだったりした状態で乗られているのを見る機会がたまにあるのですが、そうした光景は見ていて非常にフクザツな気分です。
話を戻して、でもそうしたクルマのビニールを剥がす作業だけでも2~30分は優にかかる重労働でした。「言うのは簡単、やらされる方は一苦労」という典型的な作業でしたねえ。
もっともこういう作業をやると、どういう部分にコストが掛かっているのかということを存分に見せつけられ、それを逆に勉強できる機会でもあります。当時のセルシオのシート生地にウールマークのタグが付いていることなど、こういう機会でもなければ知るはずもなかった世界でした。
じゃあ、というところでコルサあたりなんかは薄っすいビニール袋が背もたれに被せられ、その端っこがぺろんと座面に掛かっているだけだったような気がします。あまりにビニールカバーが少ないのでその辺りの記憶が既に殆どありません。ヘタするとサンバイザーのカバーすら運転席側だけだったような気もします。
マーク2あたりにもなるとビニールカバーもほどほど重装備になります。ドアトリムにもビニールカバーが掛けられ、一番下の靴先が当たりやすい箇所にも傷つき防止のビニールカバーが入っていました。この辺は安い車になると養生テープがペッと貼ってあるだけですなんですけど。
また、靴による擦り傷防止ということで勿論スカッフプレートにもビニールカバーが入ります。アルミプレートによる飾り板付きとなるとソコにも保護テープが貼られてきます。
助手席はあんまり記憶に無いのですが、運転席の足元にはマーク2クラスだとボール紙製の代用カーペットが敷かれていました。でもセルシオクラスになると単なるペラの紙シートではなく砂がカーペットに落ちないようにという配慮からか、左右席とも舟型になった深さの作られた紙カバーだったような記憶があります。そんなところすらも違ってたんですよねえ。
珍しいところでは、トヨペットではかつて「アバロン」という扱い車がありました。現実的には「大きいカムリ」といった感じの、いかにも「アメリカ~ン」という雰囲気な大柄なセダンだったワケですが、何故か国内では排気量だけで「高級車か否か」を判断されてしまうため、発売当初は妙な高値付けの車となってしまっていました。売る側にとっても、おそらくは買う側にとっても中途半端な存在だったような気がします。どうせならアメリカで売っていた「ウインダムとカムリの間」という位置付け通り、マーク2の最廉価モデルクラスの価格(220~230万くらい)で売っていればよかったのに、と思うのは私一人じゃあ無いと思うのですが(実際のアバロンは300万前後の価格帯)。いまさら遅いけど。
どうでもいいついでにアバロンを擁護しとくと、クルマとしては適度なトルク(3000ccもあれば当たり前という気もするけど)もあったし、室内も広大でクルマの動きも非常に素直な良い車だったと思います。個人的には。アメリカではよく売れていたらしいですから、やっぱり高すぎたんじゃね?とか、せいぜい2500ccあたりに押さえとけば良かったんじゃあないの?とか。
まあそれはともかくアバロン。
アバロンで印象的だったのは回送されてきた新車のハンドルにビニールカバーがグルグル巻きにされていたことです。それまで「ハンドルカバーがされていたクルマ」というのは記憶にありませんから、多分アバロンが初めてだったんじゃあないかな?外国人て奴はこういうところが気になるんだなあと当時は不思議に思ったものです。
ただそのビニールカバーの掛け方が、20cm幅くらいのサランラップのような物をハンドルの外周に10回以上もグルグル巻きつけてあっただけだった(多分、そういうカバーを掛けるための機械もあるんだろうなあと思ったものです)のも、いかにも大雑把な感じで、アメリカンな雰囲気を感じさせてくれたクルマでした。
でも最初はともかく、最後の頃は50万円引きでも売れんかったような所もおちゃめなアバロン君らしい所だったといえるかもしれません。
こんなところで新車のビニール話はお開きです。
Posted at 2013/10/30 16:17:54 | |
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