
昨日は稲刈り要員として一日中狩り出されてクタクタで更新できませんでした。ごめんなさい。
さて、実は「フライトジャケット」を書いた日に途中まで書きかけてあった「ベンツ 雑感」シリーズです。間違って消してしまったので、気を取り直して書き直しです。
ベンツC200 W202は私にとって初めての外車です。それ以前はトヨタの営業マンでしたから「トヨタの手法」というか「お作法」というのか、そういうものに慣れ親しんできていましたので、そういう立場からすると「目の色が違うと、こうも車というものが違って見えているのか」と、ちょっと感動したものです。
誤解を避けるためにあらかじめ書いておきますが、どちらがイイとか好きとかいうレベルの話ではなく製品の仕立て方やその着地点の設定がすいぶん違うものだ、というね。
「いいもの」の基準として、絶対的に「製品の仕立てや素材そのものが良いモノ」というものが一つ。もう一つに「求められる性能を高水準で満たす為に製法や材質を吟味されたもの」というものがあるように思います。後者の製品はメンテナンスを施すことにより、寿命を伸ばすことも可能な造りであることが多いようです。
ただ、両者の難点は非常に高価な物になりがちだ、という事です。もしそれらを安価に提供しようとすれば、なるべく大量に(品質は落とさずに)同じものを作り、一つ一つの単価を下げるしかありません。でも、どうしてもそんな造りじゃダメ、となればそれはそれなりに製品単価は高止まりせざるを得ないでしょう。製造できる生産数も限りが出るでしょう。
全体的には、トヨタ車は「先ず、製品単価ありき」なんだろうな、と思います。安価で、高品質な製品を創りあげ、世界中に供給する。ここまでするかと思えるほどに、こと細かな部分の品質を均一に揃え、製品単価を上げずに詰めていく訳です。別にこれは悪い話ではありません。そうでもなければここまで車は普及できなかったでしょうから。それもまた一つの、他社には及びも付かなかった立派な技術であり、コンセプトです。
その気になれば、学校出たばかりのお兄ちゃん・お姉ちゃんが普通に若葉マークつけて新車に乗れる御時勢なのです。また、次々と世に送り出される新車があれば中古車も氾濫していきますから、新車として世にでて数年だとしてもびっくりするような金額で入手できたりもします。ありがたいことです。
ではベンツはどうか。近頃のやり方はともかく以前は「先ず理想の製品を作る。しかるべき後にかかったコストを計算し、製品単価を設定する。」なんだそうです。あら、そう。なかなか危険なやり方です。製品が理解され、受け入れられる土壌がなければ、投資分の回収もままなりません。
それぞれ双方のやり方で、製品を信頼される内容で提供する・できるメーカーと、それを信頼し、購入し続けるお客さんたち、という幸せな関係がそこにはあったのだろうと思います。
ところが何を血迷ったか、両者とも相手の庭が青く見えたようで、双方の得意分野にお互いに乗り出そうとしました。結果は御存知のとおりです。
では、そのベンツが「イイもの」とした基準とその実際は?というお話。
ベンツに乗って感じるのは、先ず人ありき、という設計姿勢といったらいいでしょうか。人が乗って操作をする機械、ということをいつも感じます。教官が後ろに乗っている感じというか。悪く言うと親切じゃあない。
その点日本車はむちゃくちゃ親切。わがままいい放題って感じです。
例えばA/Tでリバースギアに入れたとするでしょう?日本車は形から入るのが好きですから、今時の車ならば軽自動車でもゲートシフトになっています。
で、先ずそのレバーの操作感がとてもスムーズで軽いんですよね。で、今どこにギアが入っているかがまずメーターの中のどこかしらには表示してあります。そして、リバースの時にはメーターの表示も赤くしてあったり、ピーピー警告音がしたり。こと細かに親切です。じゃあベンツは?
まず、気がつくのはメーターの中にシフトポジションを示す箇所がありません。リバースに入っていても音もしません。実に素っ気無い。その代わりといってはなんですが、シフトレバーの操作感が「いかにも操作しました」といわんばかりに「ゴク、ガク」と無骨に動きます。
手の構造にあわせて気を付けるべき操作は適度に操作がしにくく、頻繁に動かす可能性のある動きは操作がしやすく。ある程度は操作に注意が必要な造りなんだけど、慣れれば視線を移さなくても確実に操作が出来る。
慣れれば手元を見なくても今どこにギアが入っているか分かるし、慣れていないのならきちんと見てから操作すればいいだけのこと。
このため警告音もなどは必要ないし、シフトレバーを直接見ればいいだけなのでメーター内のポジション表示も必要ない、とバッサリです。反論する気も起きません。一事が万事こんな調子です。
日本車のシートは大概、リクライニング操作はレバー一本でクイッとやるだけです。車の中で寝る人もいるでしょうし(ディーラー時代の私など)、伸びをしたい人もいるでしょう。1Boxのワゴン車などはフルフラット(全てのシートを平らに出来ること)に出来るか否かが選択基準の一つでもありましたので、もちろんレバー一発操作が当たり前でした。
他の車はよく知らないのですが、私のベンツはそれほど甘くありません。クルマは寝る場所じゃあないんだ、とばかりにシートのリクライニングはダイヤル式です。微調整は楽なんですが、背もたれを寝かして伸びをしようと思うと、クリクリと丹念にシート横についているダイヤルを何回転も回さねば至福のときは訪れません。
でも、また元に戻さなければいけないわけです。それ以外の着座位置の調整はこと細かにできるようになっているのですが(日本車でこの車両価格なら、ここに電動モーターを入れて「電動調整式」としてあってもおかしくはありません)。
またそのせいか、日本車では一般的なチルトステアリングという、ハンドルの上下の調整機構がベンツにはありません。
おそらく「座った姿勢が崩れないように、シートの着座位置調整の上下幅を広くとってあるので、ハンドルの上下位置はそちらで調整してくれ。ハンドルを上下させるとメーター情報が読み取りづらくなる。その代わり補助の調整装置としてテレスコピックハンドル(ハンドルの前後位置が調整できる)にしてあるので、そっちを併用してくれ。」というところなのでしょう。
痒い所に手が届く、というわけじゃあないけど、回りくどい親切さという感じですかね。
もう一ついきましょうか。
初代セルシオの頃から日本車にも外気温表示が出てくるようになりました。取扱説明書を読む限りでは「外気温が表示されます」と書かれているだけで、まあそれだけのものだと思っていました。「今日は暑いなあ。外は○○度だ。」とか、「今日は冷えるなあ。氷点下じゃないか。」とかね。
私の「C」にも外気温表示が付いています。乗り始めの頃、取扱説明書を読みふけったのですが、外気温表示のページを読んで笑いました(けっこう取扱説明書自体が面白いので一読をお勧めします)。そこにある説明は?
「外気温表示があることで路面温度が推測できる。温度センサーはフロントバンパー内に設置されているが、路面を向いているので輻射熱を拾う。このため、実際の路面温度よりも数度高い温度を示すことが多いので注意が必要である。これによって路面の凍結具合が判別できるので、タイヤチェーン装着などの判断基準とすることができる。」
あ、そう、ふーん。そういう理由で付いてたのね、って思いました。「そうか、お前は北国の生まれなんだなあ。」って感じです。
さてさて。続きはまた後日。
Posted at 2009/09/30 13:32:41 | |
トラックバック(0) | 日記