2021年04月18日
とあるお客さん用の箱バンには必ずルーフラックを取り付けます。指定のラックは精興工業社製TUFREQ(タフレック)です。それなりに安価で手配できるので。スーリーとかになるとポーンと値が跳ね上がります。選択肢はありません。
昔ロッキーとかいう名前のラックを組んだ事はりましたが、今はどうか知りませんがメッキが薄かったせいか直ぐに錆びてしまったのと、あまりにもバラバラすぎて組むのが大変だった記憶があります。
初めての手配では組付けに依頼主の社員さんの手を借りる事もあったのですが、3度目くらいから1人で据え付けています。もちろんライトバン以外のNV200バネット(これが一番数が多い)でも1人で乗せます。
Amazonが最安である事が多いので、ここで手配する事が多いのですが、質問のメールがたまに来ます。そんな事もあって一度くらい据え付けについて書いておいても良いかな、と思ったので少々。整備手帳が本来なんでしょうけどNV200を個人車として登録した事がないので、とりあえずコッチに書きます。
まず用意しておいた方が良いモノ。
脚立
ドライバーのプラスとマイナス(マイナスの代わりにヘラ状のモノでも良い)
メガネレンチ 10mm×2、車種によって12mmも。NV200バネットは必須。
ラチェットも良いけど本締めはメガネの方で。
ヒートガンもしくはドライヤー
ゴムハンマー
メジャー
マスキングテープ
マジックペン
このくらいかな。
1人で2m近い車高のクルマにタフレックを据え付けるとなると、説明書通りにラックを組み上げてから乗せるのは無理というか無謀です。余程筋力があれば不可能ではないでしょうけど高所作業で腰を痛めるのは危険ですし、乱暴な作業はせっかくのクルマの天井をキズモノにしかねません。
一番最初にするのは「どの足が、どの位置に来るのか」をキッチリと特定させる事です。何番目の足なのか、左右どちらの足なのかが指定されているので間違えないように。
次に左右の足を繋ぐ横桟を仮組みします。
横桟が中央位置に来るよう、取付説明で指定された寸法通り(多少のズレはあるけど)に左右の位置決め合わせて足を仮組みします。
本締めしないのは、微妙に寸法が出ていない事が多いので、後で微調整が効く方が都合が良いからです。ねじ類の本締めは全てが組み終わってから行います。
NV200の場合は後ろ3つ分の固定が天井へのボルト締めなので先にボディに足を組み付ける方がやり易いでしょう。というか私は先に固定します。
ただ、このボルト固定が多少やっかいです。天井にねじが切ってある所には塗料が回っていますし、雨漏り防止の意味も含めて付属のねじにはねじ留め剤も塗布されています。となると2重にねじの寸法が微妙にズレているので、ねじがなかなか噛み合ってくれず、回り方も渋い。
当然ねじは最初指で回すのですが、食ってるのか食ってないのか、よー分からん。ただ分かり難いからといって「こんなもんで良くってよ?」ってな具合にテキトーにメガネなんかで回してしまうと後で青くなります。ここは分かり難くても慎重に。天井から水漏れなんぞ笑い話にもなりません。
天井への足の固定というファーストステップを超えると、次の難関がラック左右にある荷崩れ防止のガードバー組付けです。これを先ほどの横桟の左右に組み付けます。横桟が中央位置でないとガードバーが組み込めませんので、再度、横桟の左右出っ張り寸法を合わせます。
次にやっておくべきなのがタフレック組付けにおける重要な作業。左右のガードバーと荷台横桟を繋ぐプラ部品の歪み修正です。
このプラ部品が成形後に歪んでいる事が多く、そのままだと横桟に組付け出来ない事が多いです。ココのプラ部品の変形がタフレック最大の泣き所です。マイナスドライバーで強制的にこじって形を修正しても良いのですが、ヒートガンで再加熱する方が手っ取り早いです。程良く柔らかくなった頃を見計らってデカいマイナスドライバーかヘラ状の道具で歪みを修整します。
当然の事ですが素手で加熱部分は触らない様に。ヒートガンはとっても凶悪(強力)です。炙りすぎてプラを溶かさないようも注意が必要です。何事もホドホドが大事です。ちなみに私の場合はヒートガンにハッコーのものを使っています。
>https://www.hakko.com/japan/products/hakko_heating_gun_883b.html
バンパーを凹ませてしまった時の修正にも使えるくらい強力な奴です。
だいたい形が整ったら所定の位置に合わせてガードバーのプラ部品を横桟に押し込みます。一気に奥まで押し込もうとせず、少し入ったら次の箇所をちょっと入れ、また次の箇所、と繰り返します。全ての接合箇所が組み込めたら、今度はプラハンマーとかゴムハンマーでコンコンと叩き、プラ部品を奥まで押し込みます。
左右のガードバーが入ったら、ボルト固定をする前に、前後の飛び出し防止バーも組み入れてしまいます。後からは入りにくいので。固定するのは最後で大丈夫です。
で、組込が終わったら左右のガードバーをボルトで横桟に固定するのですが、先ほどの加熱が充分だと、この時もプラが適当に歪んでくれるのでボルトが入りやすいです。無理矢理ハンマーでボルトを入れようとすると、逆にボルトのねじ山を変形させてしまいがちです。経験者は語る。どうせならプラを歪ませた方が良いので、上手く入らない時はプラを再加熱しましょう。
また、ボルトがスムーズに入ってくれない時は、横桟がガードバーのプラ部品の奥までキチンと入っているかを確認しましょう。ねじ類を本固定でなく全て仮組み進めていたのは、こういう時に寸法の微調整が効かせやすい、という理由からです。
ここまで出来たら後は仕上げ作業です。横桟の間を埋める補助バーを入れ、ねじ留めし、他の部分のボルトの本締めに入ります。結構いっぱいあるので締め忘れにご注意を。
1人でのんびり作業して2~3時間ってとこかな。始める時間が遅いと暗くなるので注意が必要です。夏は日が長い代わりに日陰や夕方はヤブ蚊も酷いので日中の作業がやはりオススメです。
これでとりあえず完成です。
そういえばタフレックに付属のボルト類はそれなりのモノでしかない様なので、首の長いレンチで締め上げるとボルトをねじ切ってしまうことがあります。まあ、ココも経験者はってトコなんですが。なんで使うレンチは1/4インチ程度に止めておきましょう。私の場合はコーケンZ-EALを使ってます。わざわざこの為だけにデジラチェ買う気にはなれません。自転車バラすわけでもないし。
あと設備投資に思い切りが付かないまま、採石を蒔いただけの露天で作業するので、ココからは出来たらそうした方が良いよ、というお話し。
まあ今回の作業に限りませんが、作業する前にブルーシートとかを敷いた上で作業する方が良いです。タフレック付属のボルト類は黒染め仕上げのボルト・ナット・ワッシャー類ばかりなので、地面に落とすと探すのに一苦労します。今回も1つボルトを落として探すのに20分くらいロスしたかなあ。
せめてコンクリ敷きの屋根付き作業場(車庫という言い方もある)欲しいなあ、とかれこれ10年以上考えている気もするけど今だに決断がつきません。いくら掛かるんだろ?って思って、そこで思考停止を繰り返しています。
あれこれ考えると結局工場が欲しいという話に行き着くのですが、クルマはホイホイ買って(ったって中古車ばかりだけど)も、そういうモノには尻込みしてしまいます。
Posted at 2021/04/18 12:21:26 | |
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2021年04月10日
クルマに限った話ではありませんが、塗料というのは薄く塗るもんだ、とは良く聞く話です。塗料が濃すぎるとムラになりやすいですしね。
そうして適正濃度に調整された塗料を更に微粒子にして塗装できるベル塗装機とかを使い、年間を通じて完全調温・調湿され、ホコリの入らないように密閉された塗装ブースで塗料を帯電させた上で塗る訳です。環境への影響を考えると出すぎるミストも出来る限り抑えたい。だから水性塗料を電着させる。年間生産台数を考えるとクルマに引っ付かずに無駄になってしまう塗料の量もバカになりませんし。
ただ焼き付けによる塗料硬化は物凄く長い電気炉が必要でしょうから、それを考えるとこれからは化学反応で硬化する塗料に変わっていくのかな?という気もしないでもありません。知らないけど。
塗装によってクルマの仕上がりが随分違って見えますからメーカー(クルマメーカーは当然、塗料メーカーや塗装設備の機械メーカーとかも)も塗装には敏感です。とは言っても、生産者側がよってたかって全集中で塗られた塗料の膜はせいぜい0.2mm程度の厚みしか無いそうです。この厚みの中に努力の成果が凝縮されていると考えると胸が熱くなります。
まあ、軽は塗膜が薄いから気を付ける、とは鈑金屋さんからも耳にする言葉ですが、マツダやホンダ辺りも車窓から見える駐車場の風景を見る限りでは随分とボンネットや屋根が禿げているクルマが多い気はします。ただ気を付けなければイケナイと思うのは、メーカー純正でそういう仕様である事もあるのでしょうけど、それ以外に補修の結果そういう結果を招いてしまった事も少なくないであろう事です。要は腕の悪さが招いた結果かも知れない、と。
昔、ハイエースをカスタムしている業者さんが塗装にいちいちクレームを付けてマスキングテープだらけになったクルマを戻してきて「ここ、クレーム。塗装し直して。」って言ってきていました。まあ台数が多かったので黙認していたようですが、車輌搬送その他を手伝わされる側としては正直「ハイエースはセンチュリーじゃねーんだよ」って思ってました。しかも塗装し直した跡が後になって丸わかりになる可能性だって否定できない。
メーカー純正は安く上げてあるけどウチは一品モノの手仕上げ、とは腕自慢な工場の良くある口上ですが、その腕自慢な内容をつぶさに見ていると先ほどの全集中な塗装を生かす方向というよりはいきなり磨きを掛けちゃったりして台無しにしてるんじゃないかと思う事も、ね。
キレイな仕上がりの為には平滑な下地が重要な事はたしかですが、ゆず肌を平滑にする、という事はイコール0.2mmしかない塗膜のユズ肌分は削っているという事でもあります。新車塗装のユズ肌がダメだというなら平滑度を出す為のレクサスの5回塗りとかセンチュリーの7回塗りにメーカーがいくらコストを掛けているかを考えるのも良いんじゃないかな、と。
だから、せめてエッジになっている所はマスキングテープで保護するなりしているならまだしも、無神経にバフを掛けたとしか思えない仕上げを見つけると心が折れます。最悪エッジの所に下塗りの地が出されちゃったりね。経験させられた側は語る、みたいな。
下地仕上げの後に塗られるコーティング剤も、謳い文句は星の数ほどありますが果たしてメーカー純正塗料に比べてどれだけ良いモノなのか眉唾だと思っています。高価なのは生産量が少なければ当然そうなるし、工賃が高いのも1人がかかりっきりになってやってれば、そういう数字にもなる。
もちろん、お金を掛けるのは愛情の証でもありますし他人様の車で他人様の財布の事ですから、どういった扱いをするのかもこちらの知ったことでは無いのですが、手を掛けることがイコールそのまま良いこと、という図式はあまり信用しない方が良いかと思います。
ちなみに今まで見た補修工場で一番設備の整っていたのは某・巨大発動機の板金工場でしたが、いくら設備が整っていても、ってのはあります。まあ数こなしていけば上手くなっていくって事はあるにしても、あくまで工員本人の自覚の上で、という事もあるし結局、何度か修理に出してみないと何とも言えない。
逆に自称・腕自慢の町工場で今どき道路に面した露天の作業場でエアーガン吹いて塗料のミストを外に舞き散らしている工場がありました(流石にコレには目を剥いた)が、流石にここには修理は出したくないなあ。
ふとBOØWYの曲で「数をこなしているのとモテてるのとは違う」っていうフレーズがあった事を思い出しましたが、なかなかに現実は難しい様です。
Posted at 2021/04/10 14:36:33 | |
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2021年04月10日
先日、信号待ちしていたら車が燃えはじめた、という通報がありました。クルマ屋になって30年ですが直接のお客さんでの車両火災など初めての出来事です。予想だにしない電話口からの言葉に私の思考は一時ストップしましたが、それはさておき、とにかく現場に急行。到着後に運転手さんから聞いた話だと
クルマの火災発生に気が付いた直後、クルマを道路上に放置はせず、近くの周りに被害の及ばない所まで移動(というか元々ソコが当初の目的地だった)した後、車外に非難すると同時に貴重品は外に持ち出して車から離れて待機。
ココは大事な所ですね。
火災発生を確認したら現場に車を置いて車外に非難し、身の安全を確保する事が第一です。ただ、もし車輌の移動が可能なら、周囲に被害の及ばなそうな所にクルマを移動させ交通の流れを長時間阻害させない様な対処も大切です。道路を使用している人は1人だけじゃありません。現場付近に私が着いた時も、前方に見える消防車付近までクルマで行こうとすると通行止めされていてお巡りさんに止められました。関係者である事を告げても最初はお断りされるレベル。でいろいろ事情や関係を説明した上でやっと数十メートル戻った所にある公園の駐車場に車を止めて徒歩で行くことを許可されました。
直ぐに思いつく、お手軽なコンビニへの非難は道路上の他車の交通被害は避けられるかもしれませんが営業被害も相当なものになる可能性があります。こういう波及損害って対物とかの保険対応が可能なのかなあ?後で調べておきます。
未だ事件は終着していませんが、いずれにしても頭が痛く後味の悪い事件です。
Posted at 2021/04/10 12:57:59 | |
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2021年04月09日
昔の福野氏の初代ヴィッツに関する記事中に「トヨタの社内基準が仕上げの足を引っ張っている」という指摘があります。
要は「設計コンセプトの一新という大目標の元に開発された車であっても走行試験の社内基準までは変えられなかった」事がヴィッツの走りの印象を悪くしている、という内容なのですが、まあこれ、如何にチームワークの統率が難しいか、という事なのだろうと思います。
個人プレーは良いんですよ。あくまで個人の中で完結してしまったものなら仮にそれが途中でぶつ切りになろうとも、あくまで個人の中のお話しですから他人事でしかありません。ただソコに他人とか組織・企業が係わったり、その中の人の事となると話は別です。
まあ、先日の厚労省の宴会話なんかもそうかな、と思ったんですけどね。
新コロ対策に関する旗振役な省庁なのは分かる。ただ、それはそれとしてお役所の定例行事として2~3年に一回の定期異動は行われている。それに伴う送別会や懇親会なんかもある。特に今回は就任期間が期間でしたから「いやー今回は大変だったなあ」位の盛り上がりもみせたであろう事は想像に難くありません。
いやね、アホかと。人の移動を自粛する旗振りをしてんのなら部署間や任地の異動も自粛する、と考えないのかね?
というより人事は人事としての仕事をしていた、というだけなんだろうけど、全体としての統御が出来ていないというか、そういう目線を持って責務を果たすべき筈の上席に、座るべきでない人が座っている事が多すぎるんじゃないの?というか名誉職になってませんか?というか。ま、未だ民間の方がマシではあるんだろうけど官は酷いな、と感じることが多い。
IT化もそんな感じで単に手書きの箇所を手入力に置き換えただけとか、定期更新された画面が以前より格段に使い難くなっていたりとか、単に予算消化しただけみたいなのも散見される。ま、強権発動国家の方がそういう変化は早いんだろうけど、いつまで経っても変わらなすぎるのもどうかと思うよ、ホント。
定年延長も良いけど、技術職はともかく役職定年はもっと早くしたほうが良いような気はする。まあ、定年というのも一種の年齢差別ではあるので一律に、というのもちょっと違う気はするけど、変化を強制的に促す為のシステムと考えると致し方ない気もする。
だいぶ話がずれたけど、コンセプトは大事って事で。他人が絡む事柄は特に。
Posted at 2021/04/09 10:04:57 | |
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