![cant ー[技研] cant ー[技研]](https://cdn.snsimg.carview.co.jp/minkara/blog/000/017/405/409/17405409/p1m.jpg?ct=bbac443d0cc3)
線形の、
①平面的な直線および曲線の組み合わせを示す平面線形、
②路線に沿った勾配を示す縦断線形、
③曲線区間において車両が円滑に走行できるように設けられる片勾配・カント
のうち、
③曲線区間において車両が円滑に走行できるように設けられる片勾配・カント
について。
(以下、引用)
平面線形で前述したとおり、曲線部を走行する車両には、曲線の外側へ押し出そうとする遠心力が作用する。過大な遠心力は、乗り心地を阻害し、安定した走行に悪影響を与える。
そこで、曲線部の内側を下げる、あるいは曲線部の外側を上げるなどにより、車両に遠心力と反対方向の傾きを与えることで、車両の曲線部の走行を快適・円滑にすることが行われる。道路においては、路面全体を曲線の内側に傾けることから、これを片勾配(かたこうばい)と呼ぶ。片勾配は、縦断勾配と同様に百分率(パーセント)で表す。一方、鉄道においては、曲線の内側と外側のレールに高低差を付けることで、同様の効果が得られる。これをカント(cant)と呼び、レールの高低差(日本ではミリメートル)をもって示す。
効果 [編集]
片勾配およびカントの役割は、以下のとおりである。
遠心力による力を低減する働き
車両に遠心力が作用すると、自動車ではタイヤと路面の間に横滑りを起こそうとする力が作用し、鉄道車両においては車輪がレールを押す横圧が作用する。これらが過大となると、自動車は横滑りを始め、鉄道車両は車輪がレールを乗り越え脱線を起こす可能性がある。これに対し、片勾配やカントは、その傾きにより遠心力と逆向きの力を与え、これらの影響を低減する働きがある。
転倒・転覆を抑制する働き
遠心力は車両の重心に作用する。したがって、重心の高い車両では遠心力により、外側へ転倒・転覆しようとする回転力(モーメント)が作用する。これに対し、片勾配やカントは、車両の重心の位置を曲線部内側に移動する効果を持ち、逆向きのモーメントを与える。これにより、転倒・転覆の回転力を低減する効果を持つ。
乗り心地を改善する働き
遠心力は車両のみならず、車両内の搭乗者・乗客等にも作用する。過大な遠心力は乗り心地にも影響を与えるが、適切な片勾配やカントは乗り心地も改善する。たとえば、遠心力と片勾配・カントによる回転力が一致した場合、車内の人間は遠心力を感じない。
(以上、引用。)
とまあ、
ここまでが引用で、
この資料が語っているのは、地面そのものが片勾配している、
このブログの語でいうと「バンクしている」場合なのだが、
あえて、ここに加えると、
車両そのもののバンクでも、
要は、
車体そのものを傾けても、同様の効果が発生する。
さて、
(以下は完全にフィクションであるため、実在する人物・団体などとは如何なる関係も存在しません。)
練馬トンネルで高高速を狙うなら、カーブを、全力加速状態で走る必要性がある。
「奴」は、構造的・本質的に、それが苦手だ。
「奴」は、構造的・本質的に、動力機構を、荷重の殆んどを、リヤ側に集中させている。
「奴」の、構造的・本質的なコーナリング性能が、極度に上がる瞬間は、ブレーキングによって荷重が前に移動したときなのだ。
だから、
練馬トンネルのカーブに対して、「奴」はハンデを負っている。
対して、
こちらにはアドバンテージがある。
機械的なアドバンテージなのだが、
それを、俺は
「振り子」
という名で呼んでいる。
つまり俺のGT―Rにも振り子機構が搭載されているわけだ。
この技術は、2009年の東京モーターショーで、このGT―Rを生産するメーカーが「発表」したものである。
「開発」ではなく「発表」である。
車体をカーブの内側に傾けることで、コーナリング性能を高めるための技術で、
2009年の東京モーターショーから数えて、
そのさらに15年くらい前からだろうか、
鉄道界で登場し始めた技術だ。
2009年の時点の鉄道界では、既に特急列車において一般化していた。
それまでは、
「走り屋の世界」でも、
「速さを求める」ためには、
最終的にはブレーキングで「タイムを詰める」ということなのであって、
つまり、「究極のブレーキング」ができるようにならなければ、
「速さ」は求めることができない状況が、なお続いていた。
だが、どうだろう?
カーブを、全力加速状態で抜けることが出来るようになったのなら、どうだ?
そうした「トレーニング」、ひいては、レーサー含めた走りを生業とする者、あるいは志す者全てが不要となってしまうではないか。
当時の未熟な俺は、そう感じたのだった。
「振り子機構」の登場は、相当にインパクトがあった。
走り屋を志していた、当時の私にも。
また、
2009年の東京モーターショーのコンセプトカーの技術も、
さらにこの兆候に拍車を掛けるものであるように感じもしていた。
しかし、それらは、誤解だった。
まったくもって誤解だった。
速さを、
特に、闘争行為としての速さを求める場合、
全力加速状態でカーブを駆け抜けることが、
大変に好都合な場面が存在した。
それが、環八。
もっと具体的にいうところ、この先の井荻JCT・練馬トンネルなのだ。
つまり、「振り子」は、俺にとっての「武器」だったのであって、
決して、俺を消滅させるものではなかったのである。
「奴」が来た。
抵抗の多いこの舗装で、
しかも先はR200のカーブなのに、250km/hオーバーの速度である。
オレンジ色をした、井荻トンネルの空間を瞬く間に消費し、
前方に5000ケルビンくらいはあるだろうか、白色の空間、井荻JCTが見えてくる。
やはりその瞬間は、やってきた。
テールライトが強烈に輝く。
奴のリヤが僅かに持ち上がり、フロントは沈み込んだようだ。
その刹那、
奴の頭が急速に右方向を向いたことがわかった。
右前輪が見えるようになる。
カーボンセミメタルがローターを削る音。
ブレーキシステム全体に響き渡り、二つのトンネル全体にこだましているのがわかる。
ローターが、オレンジから白熱電球の色に変わるのが見える。
そう思うも、つかの間、
こちらも振り子システムが作動し、奴のリヤに張り付いたまま、奴を追い抜かそうと猛烈な加速の準備をする。
だが、
奴はそれをさせない位置にポジショニングしていた。
予想通りといえば予想通り。
第一段階の武器を出すのは、もう一瞬我慢せざるを得ない。
(中略)
練馬トンネル出口付近がまた右に緩く曲がる。
今度は、奴は後ろにいるので、こちらをブロッキングできない。
こちらは逆に、
「第一段階の武器」・振り子の効能を最大限見せつけつつ、300km/hオーバーで走行。
完全に引き離す。